今まで読んできて良かったなぁという本をまとめてみました。せっかくなので100冊をまとめて一挙公開です。趣旨としては名著を紹介する訳ではなく、考え方の上で参考になった本を紹介するという方針です。しかしロクに記録していないし記憶も定かではないので、本当に良いと思ったものでも抜けているものも多数あると思います。また技術書については、専門外の人には意味が無いので省いています。
一般的に本を勧めるうえで、100冊並べるというのは一番効率が悪い方法です。書評ブログとしては、1冊もしくは類似の2〜3冊くらいを紹介するのが一番効率が良いのです。でも、私は意地悪なので、本を1冊紹介してくださいと言われると、10冊紹介するようにしています。暇な時に眺めてください。
歴史関係の本
私がジャンルとして一番好きなのは、歴史関係の本です。時間が許す限り延々と読んでいたいですが、そうも言っていられないのが現実です。面白いというより、考え方のヒントになる本をピックアップしてみました。
銃・病原菌・鉄 上下
人類の発展史を、大陸の形の南北と東西の違いや野生種による違いに着目しての独自の分析がダントツ面白いです。具体的な検証や裏付けより、発想の自由さというところで考え方のヒントになります。
ローマ人の物語 1〜15
紀元前から5世紀くらいまでで人類の歴史の大半を体験し、後の歴史は単なる繰り返しではないかというくらいの国家のお話です。文学を始めスターウォーズまでローマの歴史を前提にしたものは多数あるので、まずは抑えておく必要があると思います。ローマの歴史とは少し離れて、塩野さんがタイトルを"ローマ人"と人に焦点を当てたのは非常に面白いと思います。これを読んでから、色々歴史の古典を読むと頭に入りやすいですね。Kindle化が待たれる1冊です。
世界史 上下
因果関係を元に歴史が語られています。考えてみれば当たり前の話なのですが、事象の羅列ではなく何が原因でどうなったのかと筋道があるので頭に入りやすいです。例えば、教科書では青銅器時代⇒鉄器時代と推移したと説明していますが、そもそも何故、ほぼ普遍的に存在する鉄より青銅器時代が始まったのかなど、丁寧に説明されています。
日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造
今までは人類のルーツは何かと考える学問としては、考古学が主流だったと思います。一方で、ここ十数年で遺伝的な解明も急速に進んでいるので、非常にダイナミックで面白い分野です。多様性や局所性を知ると、進化の歴史は凄いなぁと思います。
今年一番面白かった本。銃・病原菌・鉄 ―1万3000年にわたる人類史の謎
風が吹けば桶屋が儲かるの世界史
日本人になった祖先たち
マネー・リテラシー
人生をより良く生きる為には、お金は抜きにして考えられません。しかし、失敗を糧に学習するには、非常にコストが高い分野です。したがって最低限のリテラシーは、読書を通じて学ぶのが良いと考えています。その最低限のマネー・リテラシーとは、住居・保険・投資の3つだと考えています。
金持ち父さん貧乏父さん
色々と批判はありますが、お金を生み出してくれるモノが資産、それ以外は負債という考え方は目からウロコでした。投資とは何かと考える上で、最初の一歩となりました。一度は読んでおくとよいと思います。
お金を生み出す家を買いたい!
家を借りたくなったら
同じ著者の本ですが、ぜひ両方共読んでおけばと思います。一般的には家の購入が人生で一番高い買い物です。人生を左右する重大なファクターの1つです。一方で、モデルルームを2〜3回見ただけで即買いしている人もいるのが実際です。家を買う/借りるの判断は、当人を取り巻く環境によりどちらが有利かは一概には言えません。しかし、その判断をするためには、しっかりした知識は不可欠です。長谷川さんの本は、それを身につける為の最良の入門書だと思います。
ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理
毎年、山のように投資関係の書籍は出ています。しかし、実際のところ、読むべき本は少ないです。特に一攫千金を夢見る人には、必読です。まずは、タイトルをよく読みましょう。
金融商品にだまされるな!
金融商品のリスクとリターンについて、解りやすく解説されています。銀行の定期預金が0%台なのに、債権が数%。その違いはどこからくるのかなど、リスクとリターンの観点から色々解説されています。この考え方が身につけば、世の中の詐欺に騙されることはないと思います。
生命保険のカラクリ
生命保険の「罠」
どちらも生命保険に対して否定的なタイトルですが、保険会社の社長と保険コンサルティングによる著書です。それぞれ別の立場から、保険の裏も表も語り尽くしています。また、生命保険入門も非常にお勧めですが、入門というタイトルのわりには学術レベルで保険を語ってるので、手軽に読もうとすると気絶します。保険は人生で2番目に高い買い物とよく言われています。その意味をしっかり理解した上で、何が必要か判断出来る能力が必要です。
この世でいちばん大事な「カネ」の話
金融のリテラシというより、生々しい現実が書かれています。キレイ事を言っても、お金がなければ何にも出来ないという現実を実感する上でお勧めの一冊です。
部屋を借りる前に、この一冊。家を借りたくなったら
これはひどい。「円仕組預金」の仕組みの裏側
この世でいちばん大事な「カネ」の話というか生き方の話
生命保険について勉強してみた
ビジネス書
いわゆるビジネス書です。ビジネス書は読んでいるだけで、仕事をした気になってしまうという意味で非常に危険な分野です。色々読んでみないと、良い本というのは解りません。一方で、読み過ぎるとビジネス書の無限ループにハマります。斜め読みして頭に目録だけ作っておいて、必要になった時に読み返すというスタンスで良いのかもしれません。
ザ・ゴール
人間、どうしても自分を起点に部分最適化を図ってしまいます。そんな中で、個々の生産性の向上よりも全体での最適化を図る方が利益貢献するよという話は、本当に反省させられます。私も何回か読みなおしているのですが、自分の立場が変わるごとに読むと常に新しい発見があり楽しいです。本田宗一郎か稲盛和夫か忘れましたが、欧米の最新の機械の生産性に驚愕を覚え、その後にその価格を聞くと、自社のオンボロの機械の方が費用対効果の方がよっぽど高い計算している一節を読んだことがあります。つまりは、そういうことなのだと思います。
ザ・プロフィット
利益を生み出す型というのは、実はそんなに多くないのでまず型を知るべきだという本です。いわゆるデザインパターンですね。
利益モデルの型を知るということ。「ザ・プロフィット」
ハイ・コンセプト
ダニエル・ピンクの中でどれから読むかとなると、これかなと思います。21世紀型の労働は何かと考えさせられる一冊です。ドラッカーと一緒に読むと面白いですね。
知識創造企業
これを読んでアジャイルだなと思ったのですが、野中郁次郎さんはアジャイルの生みの親というべき存在でした。しかも、ご本人はつい最近までそんなこともつゆ知らず。日本企業の研究がアメリカに渡り、その論文を元にソフトウェア開発の方法論が生み出され、それが日本に逆輸入されと。面白いですね。
ストーリーとしての競争戦略
戦略を立てる上で、腹に落ちるというのは非常に重要です。そこをストーリーという観点で説得力を持たせる方法論について、非常に解りやすいです。体系だった戦略を考える上で、丁寧に説明している珍しい1冊です。
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
新興のITの会社によく見られるのですが、何だかよく解らない戦略をとっているけど儲けているということがあります。フリーを読んで新しい儲け方があるのだと、概念として理解できるようになりました。フリーミアムで得た顧客から一定数の有料会員が生み出せるように、確率論に落とし込めるのであれば面白い戦略だと思います。一方で、現実的には安易にフリーミアム・モデルと喧伝している企業には要注意ください。
小さなチーム、大きな仕事
ソフトウェア業界では、Ruby on Railsで有名な37シグナルズの働き方です。すっかり一般的になったリーン・スタートアップの文脈で紹介されることが多い本です。小さな企業が小さなままで、世界を相手に出来るようになったという現実を実感できます。働き方の多様化を知るという意味でも、IT業界以外の方にも参考になると思います。
イノベーションの本質
イノベーションのジレンマ
組織の中で働いていると、イノベーションとは何だろうと疑問に思うことが多々あります。そんな時にこの2冊を読むと、自分が何を目指すかの指針になるかもしれません。一方で深く読み過ぎると、現実との矛盾に引き裂かれるかもしれません。
小倉昌男 経営学
昭和の名経営者と言われる人の本は、面白いものが多いです。何故なら激動の時代に勝ち残っているからです。また、晩年に書かれていることが多いので、人間を動かす言葉というのを熟知しています。その中でヤマトの創業者の小倉昌男さんは、志という意味で経営とはかくあるべきだというメッセージ性が強くて面白いです。
得手に帆あげて
こちらはホンダの創業者、本田宗一郎さんの本です。本田さんの本は大企業の社長が書いたとは思えないような躍動感があります。内容的には、なんじゃこりゃというような主張も散りばめられていて、他人の脳みそを生で眺めているような楽しさがあります。今振り返ってみると、私がエンジニアとして生きたいと考えるキッカケの1つでもあると思います。
企業参謀
大前研一さんの真骨頂、もしくは全盛期の本ではないかと思います。コンサルタントの本を読んでいると、これを読んでコンサルタントを目指すようになったという人が多くいることが解ります。分析とは何か、頭を使うとはどういうことか、そして今まで自分が物事の表面しか見ていなかったと思い知らされます。
経営者の条件
ドラッカーの本。原題は、「The Effective Executive」。Executiveの一般的な訳は管理職や経営者だけど、本書中では知的労働者という意味で扱われてます。経営学部は社長の息子とかが行く所と思って、経済学部を選んだ自分には目からウロコの本だった。マネジメントについては人を管理するものではなく、自らをマネジメントするものだという一文は心に刻む必要があります。
フリーとアテンション・エコノミー
シンプルに素早くいこう!!「小さなチーム、大きな仕事」
技術者の原点 本田宗一郎の人生哲学
考え方
アイデアのつくり方
冊子は薄いが内容は世界一濃い本です。世の中のアイデア本は、この本の焼き直しか薄めて水増ししたものです。凡百のアイデア本を100冊読むより、この本を100回読んでいる方が有効です。
いかにして問題を解くか
思考のパターンを事細かく説明しているという点で、この本に勝るものは他に知りません。願わくば、中学・高校の時に出会いたかった1冊です。
失敗学のすすめ
失敗の本質―日本軍の組織論的研究
何か事故や障害があった時の報告書に、事象や原因の分析の他に今後の対応策はつきものです。しかし、要約すると失敗しないように気をつけますといった内容に集約される対応策が、多くみられるのは事実だと思います。失敗学関係の本を読んでいると、失敗を論理的に分析する事の重要性や、そもそも失敗を隠蔽する原因となる背景がよく解ります。失敗を共有することを仕組みとして組み込んでいる組織が強いのでしょうね。
「みんなの意見」は案外正しい
多様性の大切さが解ります。また、個々人の想像力の差は大きいのに、なぜ国家単位になるとそれ程大きな違いがなくなるのかも解ります。或いは三人揃えば文殊の知恵という言葉の先見性の高さですかね。
図で考えるとすべてまとまる
私は考える時は、とにかく手を動かすようにしています。自分のスタイルに合っていて、その上で色々なテクニックが載っているので参考になりました。
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入社1年目の教科書
余人に真似できないような行動を、当たり前のように出来る著者による行動規範です。入社1年目と銘打ってますが、いつでも役に立つないようです。また、行動指針としては実にシンプルで、たった3つほどです。プリンシパルを持てということですね。
ブレーン・ハッカー 巨人の「肩」に乗れ!―「新しいこと」を次々に考える“脳”!
ニュートンの有名な言葉をタイトルに持ってきています。独創的なアイデアとは何かと定義し、どういった過程で生まれてくるのかを分析しています。その結果はタイトルの通りです。また読んでいると、ヤングのアイデアの作り方とかなり似通っていることに気が付きます。基本的な筋道は同じということでしょう。
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
一世を風靡した梅田望夫さんのウェブ進化論です。この本をきっかけにスーツ・ギークの議論が持ち上がり、エンジニアたちが自分を何かしないとと動き出したのが印象的でした。GoogleやAmazonが何者かと、世間一般に認知されるキッカケに1つでした。
99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方
科学というのは、仮説の積み重ねと話。だから世の中は仮説ばかりなのだから、1つの考え方にとらわれ過ぎないで、自分の頭で常に考えようという本。物理学者なので、物理の例で色々説いているのが面白い。
紙とペンを用意してどうぞ。図で考えるとすべてまとまる
やっぱり世の中の評判は、かなり正しいようで。 「みんなの意見」は案外正しい
入社1x年目の私が、『入社1年目の教科書』を読んでみた
模倣は創造の源。ブレーン・ハッカー 巨人の「肩」に乗れ!―「新しいこと」を次々に考える“脳”!
「指導の徹底」は対策ではない!!JR西日本は何を学んだのか?
確率統計・行動経済学
確率統計や行動経済学は、基本を知っているだけで自分をコントロールする上で非常に役にたちます。数式が解らなくても理解できるレベルまでこなれてきているので、是非抑えておきたい分野です。
統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀
経済学・統計学を学ぼうと思う人にお勧めです。学生の時は訳も解らずに覚えていたローレンツ曲線やレオンチェフ行列などを、どの人により何の経緯で作られたのかが解るようになりました。これを先に読んでいれば、授業も頭に入りやすかったでしょうね。またベイズ理論に対する、意外な真実も必見です。
行動経済学 経済は「感情」で動いている
統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
売り方は類人猿が知っている
この3冊はまとめて読むと面白いです。確率統計と行動経済学の考え方があれば、無意識のうちに非合理な判断をしてしまうのかが解ります。
ヤバイ経済学
一般的に真実と思われていることを、別の側面で解き明かしているのが面白いです。
世間のウソ
リスクゼロという狂気。この一文だけで気に入っています。
世間のウソとリスクゼロという狂気について
確率論で考え、人の行動をよみ、その背景を知る為の3冊の本
この著者は売れる本の書き方を知っている。 売り方は類人猿が知っている
読書論
古来、読書論というのは色々あります。自分の読書スタイルを確立するためにも、本の読み方を一度学んでおくと効率がよいです。
本を読む本
本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術
読書について 他二篇
バカの壁
半端でない成毛さんの影響力 「本は10冊同時に読め!」
教養・自然科学・その他
男たちへ
ローマ人の物語で有名な塩野七生さんのエッセイ。男たちへというより、女性が読んで男性をこのように教育せよという本かもしれないません。男性には、ヨーロッパ的な視点でこう見えるという点が参考になります。塩野さんの文章を読んでいると、教養がある人はどういう人かというのが解ります。
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明治・父・アメリカ
星新一さんが、父親である星一さんを通して明治時代やアメリカを紹介しています。非常に透明感がある文章で、不思議な読後感があります。ショートショートではない星新一さんの文章も、一度は読んでみるのはいかがでしょうか。
国をつくるという仕事
ルワンダ中央銀行総裁日記
この2冊は、是非同時に読むべきです。日本にいると当たり前のように存在する国家というモノが、実は人間が作り上げたものだということを教えられます。
若き数学者のアメリカ
国家の品格で有名な藤原正彦さんの本です。若い時代に独り米国に赴任し、文化の違いや孤独や不安で苛まれつつも克服し、最後にアメリカ社会に溶け込むには日本人として胸を張って生きていくことだと気付くまでの過程が描かれています。私も同じく海外で暮らしている時に読んで、非常に共感したのを覚えています。
「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ
「友だちの元カレは私の元カレだった!」というセンセーショナルな帯ですが、中身はスモールワールドを解り易く説明している本です。ちょうどmixiなどのSNSが流行りだした時で、複雑ネットワークとは何ぞやと知りたくて読みました。
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学
この本のお陰で、湿潤療法という存在をしりました。そして、キズパワーパッドを使うようになりました。初期の消毒はやっぱり必要ではと思いますが、怪我をした時に備えて一度読んでおくとよいです。
利己的な遺伝子
論理的な推論から、生物の行動原理を読み解くという考え方が非常に面白いです。
モーセと一神教
宗教の成立過程がよく解ります。かなりボリュームがありますが、読むとキリスト教を取り巻く世界の一端に触れられます。Kindle版が安くてお勧めです。
探求――エネルギーの世紀 上下
エネルギーについて、かなり網羅的に扱っています。これを読むと、結果的に地政学も解るようになります。
幸運な宇宙
宇宙について考えだすと、訳が解らなすぎて夜も眠れなくなります。定期的に情報をアップデートしているのですが、まだ解っていないということが解ります。でも、宇宙について考えるのは面白いです。この本を読んでいると、色々妄想を加速できます。
パラダイムシフトの目撃者か? 傷はぜったい消毒するな
昨今のリフレ論争に辟易している人たちに。ルワンダ中央銀行総裁日記
探求――エネルギーの世紀