プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

読書のコストの話。或いは電子書籍が本の頁数を変えるかもという予想

 Kindleの登場で再び注目をされている青空文庫をはじめとする無料の本。無料だったらみんな読みまくるのではと思われがちですが、実際のところそうはなりません。何故なのか考えてみました。


 読書には、本代という目に見えるコストと、読書に費やす時間という見えにくいコストがあります。無料の本で節約出来るのは前者の本代だけです。後者は依然として同等のコストがかかります。では、読書に費やす時間のコストとは、どういったものなのでしょうか?単純に考えると、読んだ時間×その人の時間給です。時給1,000円で働いている人が2時間で読んだら、2000円です。この観点で考えても、もともと本というものは、本代より読むためのコストの方が高いことが多いのです。人は無意識でそのことを知っているから、無料の本でも飛びついて読まないのです。
 さらにもう少し考えると、時間という財の特殊性です。先の例では、時間とお金を交換可能なものという前提で考えています。しかし現実的には、等価交換可能なものではありません。億万長者がお金にものを言わせて、大量の本を読めるかというとそうではないでしょう。時間は有限なのです。ということで、ますます読書に費やす時間は貴重ということになります。


 本のコストの内訳で議論されるのは、著作権料や印刷、流通、小売の取り分の話だけです。いわば業界側の話です。もう少しユーザーサイドの事情を考えれば、出版業界が再び隆起する術が見つかるかもしれませんね。Amazonは、自分にあった本を見つける可能性を高めるリコメンドの機能でユーザの信頼を獲得し、いつでもどこでも読めるKindleでユーザの隙間時間を有効に活用出来るようにしています。本を出版する側にも、もう少し工夫が出来るかもしれません。
 個人的には、今の本のページ数は300〜500ページが多いですが、電子書籍の普及で変わるかもしれませんね。例え10ページでも有益なものであれば、購入する人は多いでしょうし、長い文章を読むよりそれの方が良い選択する人も出てくると思います。紙の出版だと流通コストを考えて、本にある程度の値段をつける必要があります。しかし、電子書籍の場合は、あまりそこを考える必要がありません。100円で10分で読んでもらうという観点の本が出てくるかもしれませんね。私も挑戦してみたいです。


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