プログラマでありたい

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昨今のリフレ論争に辟易している人たちに。ルワンダ中央銀行総裁日記

 名著として名高いルワンダ中央銀行総裁日記を読みました。初版が1972年とかなり昔の本なのですが、かなり感動させられる一冊でした。若かりし日の成毛眞さんは、この本を読んで日銀入りを熱望したこともあったとか。一時はアフリカの模範生と言われたルワンダで、文字通り中央銀行を作り上げた日本人の物語です。
 国のシステム・制度を作り上げて行く一つ一つのエピソードは、幕末・明治時代の維新の時期を彷彿させる面白さがあります。狭い国土、少ない資源、過密な人口と不利な条件を背負ったアフリカの小国が、少しずつしかし確実に発展していく様は痛快でもありました。


 エピソードの一つに平価切り下げがあります。最近ではあまり耳にしないことですが、所謂デノミの話です。一昔の発展途上国では、経済的に行き詰まるとすぐにデノミを行っていました。それについて服部氏は大統領に対して次のように進言しています。

 まず他の措置を伴わない平価切り下げは若干の時間かせぎにはなるが、それ以上の恒久的効果はないことが第一の結論でありましょう。
 次に、成功した切り下げは、もっと広い財政経済全般における改革の一環として行われたものである。とくに財政均衡の措置が必ずとらわれていることが第二の教訓でありましょう。
 第三の教訓は、経済は生きものであって、自立的な法則によって動いてはいるが、法則の基礎になっている条件が変われば、それに順応してゆくものであるということです。

 要は、デノミが効果を発する場面もあるけど、あくまで他の方策と合わさった上で最大限の効果を発するということです。最近では、デフレ傾向の方策として、インフレ目標を設定したリフレ論が活発です。この本を読んでつくづく思うのは、財政政策だけで解決することは無いということです。財政均衡や産業の発展といったファンダメンタルが基であって、財政政策はその助けを行うだけのものだということです。リフレ論も良いのですが、財政均衡とセットで議論して欲しいものですね。成長戦略については、今の世の中だと国が考えてというものではないでしょう。政府の役割は民間の邪魔をしないことに徹するべきかと思います。
 まぁそんな話はおいておいても、こういった先人達が今の日本の基礎をつくり世界的な評価を築き上げてきてくれたのだなぁというのが解ります。私たちの世代も、その上に積み上げていきたいものですね。本の在庫がなくなっているようですが、機会があれば是非ご一読を。


ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)
服部 正也
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