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ジャレド・ダイアモンドの文明の崩壊。森林破壊と和歌山と

最近、通勤・昼休み中にKindleでジャレド・ダイアモンドの文明崩壊を読んでいました。全作の銃・病原菌・鉄は、文明の発展の話でしたが、今回はタイトルの通り崩壊の話です。相変わらず大胆な仮説と綿密な調査と推論が面白いです。上巻は、イースター島やバイキングのアイスランド、ポリネシアの島々など。下巻は、近現の社会の崩壊の話です。どちらかと言えば、情報が圧倒的に少ない文明を考察している上巻の方が面白かったです。やっぱりイースター島の話とか想像力を刺激されますね。

 全編を通して言えるのですが、文明の崩壊の大きな要因の1つが環境の破壊。特に森林資源の破壊が引き金になることが多いようです。日本にいると余りピンと来ませんが、全世界の森林の割合は30%くらい。気候や土壌によっては、一度伐採すると中々再生しない地域も多いようです。ググってみたら、日本はおかしい。先進国なのに、森林率が68.2%とトップクラス。
森林率

中国 : 21.2%
韓国 : 63.5%
日本 : 68.2%
インド : 22.8%
フィンランド : 73.9%
フランス : 28.3%
イタリア : 33.9%
モナコ : 0.0%
オランダ : 10.8%
ノルウェー : 30.7%
ロシア : 47.9%
スウェーデン : 66.9%
イギリス : 11.8%
アメリカ合衆国 : 33.1%
カナダ : 33.6%
オーストラリア : 21.3%
アルゼンチン : 12.1%
ブラジル : 57.2%

 本の中で指摘されてたのですが、日本は豊かな森林資源があるのに他国から輸入して森林資源の破壊を推進していると。先日、和歌山に旅行に行っていたのですが、実際のところ圧倒的な木の量なのですね。本当に、ちょっと放っておいたら森に飲み込まれそうな勢いです。トトロの森どころか、もののけ姫の森くらい鬱蒼とした感じなんですよね。まさしく紀の国(木の国)そんな和歌山ですら、日本では森林率が5位くらいという驚きの事実があります。
 現状の日本の林業は、熱帯雨林の再生を考えないレベルの伐採にコスト面等で負けています。平地と山間部という違いもあります。ただ、この本を読む限りは、継続的に伐採出来るよう工夫していけば日本の林業も成り立つのではという気がしてきました。面白そうなテーマなのでまとめて読んでみようかと思っています。

 後、面白い話も幾つかありました
・オーストラリアは農業国としてのイメージが強いが、実は気候・土壌的に農業に適していなく止めた方が良い。
・石油の採掘は儲かるし、実はそれほど環境負荷も掛からないようになってきている
・一方で鉱物の採掘は、環境負荷が高いし殆ど儲からないとか。特に金が絶望的に儲からない。

 100年先のことを余り考えたことがなかったのですが、子供世代のことを考えると実は自分と全く無関係な時間ではなかったです。環境の持続性を考えるという意味で、よい一冊でした。是非、ご一読あれ。ちなみに、逆の「森林飽和」のテーマの本も面白いです

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