プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

2023年の振り返りと2024年の目標

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
2023年の主な活動は、技術書を2冊と技術同人誌を2冊執筆しました。登壇は、AWS Dev Dayの物理登壇と、JAWSUGでリモートで2本です。またAWS Ambassadorは引退して、代わりにAWS Community Buildersになりました。一昨年同様に昨年も、へとへとになりながら何とかやっています。

16,17冊目の本の出版

 2023年6月に出したのが、要点整理から攻略する『AWS認定 データ分析-専門知識』です。AWSを利用してデータ分析をすることのニーズは非常に高まっています。では、どうやって分析すればいいのか?その段階になると、各自思い思いやっていることが多いです。このあたりを体系的にまとめて、認定試験対策にもなる本を意図して執筆しました。

 AWSのデータ分析関係のサービスは非常に多岐にわたります。最初のガイドになるように、あまり不要な部分はバッサリと省略してコンパクトにまとめたつもりです。しかし、レビューをみていると「網羅性が低い」や「説明があっさりしている」などのコメントが目立ってなかなか難しいなぁというところです。誤字脱字が多いのは、本当にごめんなさい。

 そして、トドメがデータ分析専門知識が2024年4月に廃止とのアナウンスがありました。これは試験区分の再編成の布石だとは思うのですが、今後の増刷の可能性はほぼなくなるので悲しいですねぇ。

 17冊目の本は、AWS認定資格試験テキスト AWS認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト 改訂第3版です。AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイトの対策本ですが、遂に改訂の第三版まできました。それぞれの版ごとに、かなりの増刷を重ねているので(全然数えていないのですが)累計ではかなりの冊数になっています。

 第三版は全面的に構成を見直しています。そして中の文章も、かなり書き換えています。改訂部分は自分一人で担当したので、かなりの時間を要しました。そして、模擬試験は小西にお願いして、実践に即したものに仕上がっています。1回あたりの刷数がかなり多いのに早々に増刷されました。需要の大きさに驚くばかりです。
※執筆が遅くなったので、第二版で予定外の増刷が繰り返されました。関係者にはいろいろご迷惑をおかけしました。ごめんなさい

技術同人誌

 2023年は技術書典が2回ありました。今年は参加できる回は全部でる、そして出るからには新刊を出すと決めていました。その決意のお陰で、短編ですが、無事2冊出すことができました。

booth.pm

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 まぁギリギリに出すと非常に高くつくということが解ったので、今年は計画的に出していきます。宿題として残しているのは、次の2冊です。

  • AWS Organizations本を書いて、IAM本3部作として完結させる
  • データ分析基盤本の完結作として、実装編を書く

 これ以外に、IAM本を英訳してKindleで出してみたいとか、それだったら少し改訂するかなど、やりたいことはいくつかあります。

執筆以外のアウトプット

 冒頭に苦戦した1年と言った通り、アウトプットの総量は不調でした。個人ブログで11本、会社ブログで11本と、合計22本のみでした。2022年に比べるとアウトプットが回復したものの、全般的に火力不足です。執筆の仕組みを再構築しないと、現状の余裕時間ではこれ以上は難しいと感じました。

2024年の目標

 まず、アウトプット関係で2024年中に実施予定の項目です。

  • 技術同人誌2冊、試験対策本2冊、他新規1冊、既存本の改訂2冊
  • Kindleの英語本を出す
  • 大規模イベント登壇2回、勉強会4回登壇
  • Twitterフォロワー 8,000人
  • AWS Heroを目指すために、実績づくり

 必要な時間を割り出してみると、現状ではとても足りません。決意だけしても仕方がないので、仕組みに落とし込みます。

  • スマホに費やす時間を短くする。アプリタイマーの設定と、寝室にスマホを持ち込まない
  • SNS等に時間を費やさない。FocusGuardで、ブラウザでながら見を禁止する
  • 執筆習慣を作るための仕組みづくり(メルマガを想定)
  • 平日日中の仕事を18時で終了にする仕組み(詳細割愛)
  • AWS Community Buildersの実績登録を月1で実施し、アウトプット量を定期的に確認する。
  • 年間の執筆計画の策定
  • 手帳を毎日つけて、予実管理と振り返りの習慣化

 毎日の振り返りと、月単位の振り返りをしっかりしていきます。

まとめ

 ここであげた書籍等のアウトプット以外にも、仕事やプライベートの活動、投資活動などやることは沢山あります。もう無理の効く歳ではないので、できる範囲で今年も1年過ごしていこうと思います。本年もよろしくお願いします。

『AWSの薄い本Ⅴ データ分析基盤を作ってみよう 〜性能測定編〜』を書きました

技術書典に連続出場するために、AWSの薄い本の新刊を書きました。「AWSの薄い本Ⅲ データ分析基盤を作ってみよう 〜設計編〜」の続きの位置付けで、性能測定をテーマに扱っています


内容

 題名の通り、性能測定をテーマに扱っています。と言っても、CPUやディスクの性能、あるいはデータベースのパフォーマンスといった一番基礎的な部分を避けて、S3・Athena・Glueを対象としています。なぜ、これらのサービスを選んだのか。それは、CPUやディスクといったローレイヤーのサービスだと、AWSが公開しているスペック通りに動きます。一方で、S3やAthenaについて、どういった性能なのか知らないという人が多いようです。
 S3は、オンラインから利用するオブジェクトストレージです。その特性から来る強みと弱みがあります。AWSでデータ分析基盤を作る場合、データレイクはS3を使います。本書で述べていますが、S3は大量の小さなファイルを扱うには向いていません。なぜそうなのか、実際に測定しながら解説します。そして、そのことから導き出されるデータ配置の戦略についての考え方を解説しています。

 実際的な測定以外にも、性能測定の必要性や観点・やり方なども解説しています。AWSを使っていると性能測定した上での設計をすることは少ないかもしれません。しかし、設計に対して根拠をもった説明をするには、重要なことです。

目次

第1章 制約とアーキテクチャの決定1
 1.1 機能要件と非機能要件
  IPの非機能要件グレード
 1.2 アーキテクチャ検討へのアプローチ
  IP非機能要件グレードの性能・拡張性要件
  性能測定をして裏付けをとる

第2章 AWサービスとその特性
 2.1 Amazon Athena
  Athenaの性能特性
  Athenaの料金体系
  Athenaのそのほかの考慮点
 2.2 Amazon Simpl Storage Service (Amazon S3)
  S3の性能特性
  S3の料金体系
  S3のそのほかの考慮点
 2.3 AWS Glue
  Glueの性能特性
  Glueの料金体系
  Glueのそのほかの考慮点

第3章 性能測定の方法
 3.1 性能測定の目的設定
 3.2 性能測定をするうえで、重要なこと
  測定の目的
  測定環境の平準化
  実際の環境に近づける
  複数回の測定
  メトリクスの取得
  外部影響を最小限に
  変更との比較
  分析する
 3.3 測定ツールをどうするか
  ディスク/ファイルシステムの性能測定
  ネットワーク測定
  カスタムツールの開発
  テストツールのまとめ

第4章 サービスごとの性能測定
 4.1 Athenaの性能測定
  Athenaの検証の目的
  Athenaの検証環境
  Athenaの測定結果
 4.2 S3のデータ転送の測定
  S3の検証の目的
  S3の検証環境
  S3の測定結果
 4.3 Glueの性能測定
  Glueの検証の目的
  Glueの検証環境
  Glueの測定結果

第5章 測定結果に対する考察
 5.1 性能測定で判明したこと
  Amazon Athena
  Amazon S3
  AWS Glue
 5.2 結果に対する考察
  今回の検証で確認できたこと
  検証できていないこと
 5.3 データ分析基盤の設計への指針

第6章 まとめ
 あとがき

感想

 最近の自分の仕事では、AWSのサービスの評価をじっくりするような事は、なかなかできません。今回、本を書くためにひたすら性能測定をしていると、昔を思い出して楽しかったです。地道な検証を繰り返していると、今のCPUやディスク・ネットワークなどの基礎的なインフラストラクチャーの発展ぶりや、それを組み合わせたAWSのサービスの凄さを改めて実感できました。
 今回検証できたのは本当にごく一部ですが、この手のは今後ライフワークとして定期的にやっていきたいなと思いました。そのためにも、AWSのクーポン欲しいなぁw

takuros.booth.pm

技術書典15のオフライン会場に出展してきました

  2023/11/12 に開催された技術書典15 オフラインに物理出展しました。
今回は反省点ばかりです。次回への教訓に記録を残しておきます。


当日の売れ行きと考察

 当日の入場者数は、2,200人とのことでした。前回の14は、2,100人だったので100人アップですね。

 時間ごとの入場者数はわかりませんが、14時以降以外は売り切れていたそうなので、だいたい均等に来場されたのでしょうね。
さて、私のところの時間ごと・書籍ごとの売れ行きです。

時間 IAM本 セキュリティ
データ分析
設計本
昔話 データ分析
性能本
(新刊)
合計
11:00
5冊
4冊
4冊
1冊
10冊
24冊
12:00
6冊
5冊
5冊
1冊
6冊
23冊
13:00
6冊
6冊
6冊
5冊
6冊
30冊
14:00
12冊
11冊
11冊
10冊
7冊
49冊
15:00
6冊
5冊
5冊
3冊
5冊
25冊
16:00
0冊
1冊
1冊
1冊
1冊
4冊
合計
35冊
32冊
32冊
21冊
35冊
155冊

 今回は新刊を1冊書いていったのですが、売れ行きは芳しくなかったです。旧刊と同程度の売れ行きです。過去、単独参加の技術書典の動向とも比べてみました。

時間 技術書典7 技術書典14 技術書典15
11:00
151冊
43冊
24冊
12:00
94冊
37冊
23冊
13:00
82冊
48冊
30冊
14:00
43冊
25冊
49冊
15:00
45冊
22冊
26冊
16:00
36冊
11冊
4冊
合計
451冊
186冊
156冊

 前半の出足の悪さが目立ちますね。実はこれ、午前中にノボリ等の視覚的な案内を一切していなかったのです。新刊の案内を用意するのを忘れていて、まぁいいかと思って旧刊分含めてセッティングしませんでした。そうすると目に見えて売上さがりました。ちゃんと知らせること大事です。次回は、しっかり準備していきます。下の写真は、午前中の様子です。これだと、本当に人が立ち寄らないのですよ。視覚的に伝えることが大事です。

新刊について

 今回の新刊は、データ分析基盤を作ってみようの続編で、性能測定まわりの部分について書いてみました。性能測定といっても、RedshiftやAuroraのパフォーマンスの測定ではなく、S3のファイルサイズがGlueやAthena、あるいはファイルのアップロードに与える影響。結構大事な部分で、知らない人が多いかなと思って書いてみました。詳細については、別のブログ記事で紹介しようと思います。

2023年11月26日まで、技術書典15のオンラインマーケットで販売しています。物理本の送料も無料です。
techbookfest.org

新刊執筆までに

 原稿は、平日の夜や休日に書いています。最近は仕事も忙しく、休日も家の用事や商業誌の執筆などもたくさんあり、ほとんど時間が取れなくなりつつあります。そんな中で、今回は過去最高(最低?)に切羽詰まったスケジュールでした。割増料金を払って11月9日の10時までに入稿するプランを使う前提で考えたのですが、次のような状況でした。

11月4日(締切5日前)

11月7日(締切2日前)

11月8日(締切1日前)

11月10日(締切1日超過)

 締切を過ぎるいわゆる極道入稿というのをしてしまいました。なんとか間に合ったのも、すべて日光企画さんのお陰です。ありがとうございます。本来は別のテーマの話を書こうと思ったのですが、調べる時間や検討する時間を考えると間に合いそうにありません。そこで、10月末のJAWS-UG東京 ランチタイムLT会#4で話した性能測定をテーマにしました。これだと、話の構成も調査もある程度完了しているので、あとは書き出すだけという状態でした。ただ、それにしても準備不足は否めなく、毎日2〜3時間睡眠という状況が数日つづきました。この歳で、そういう生活は無理と実感しました。計画的に執筆しましょう。

 この一連のツイートを見てくれている人も、たくさんいたようです。当日来場された皆さんに、よく間に合いましたねとお声がけ頂いたことが多々ありました。物書きのプロの端くれとして、あるまじき姿だったなと反省しています。印刷のコストも、早割でやるより1.8倍以上になりました。いろいろなダメージを負って、計画的に進めることの大事さを改めて実感しました。

まとめ

 そんなこんなありましたが、新刊をひっさげて技術書典に参加できたのはよかったです。年間2回の参加は初めてです。自分の中で、技術書典は今後の方向性を模索するための場と位置付けています。会場で頂いたフィードバックをもとに、今後もいろいろな創作活動をしていきます。

 最後に、当日ご来場いただいた方々や、オンラインで購入して頂いた方々、そして技術書典の運営の皆様、ありがとうございました。また、よろしくお願いします

まだ間に合う。re:Invent直前に用意しておくアイテム(PC周り編)

AWS re:Invent 2023は、11月27日から12月1日の間にラスベガスで開催されます。このブログを読んでいる人で、現地で参加する人も少なくない人数がいるのではないでしょうか。持ち物の確認をしていたので、ついでにまとめておきます。

モバイルバッテリー

PCやスマホを除いて、何よりも大事なのはモバイルバッテリーです。PCを1回充電できるくらいの容量のものを用意しておくと、いざという時の精神衛生上よいです。昔はいろいろな製品がありましたが、今だとAnkerを選んでおけば間違いないと思います。ちょっと高いですが、Anker 737 Power Bankがお勧めです。(私も5年ぶりに買い替えました。)

ケーブル & 充電器

ケーブルは、必要なものを持っていきましょう。問題なのは、それをどう運ぶか。お勧めはダイソーなどの100均ショップで売っているケースでまとめるのがよいでしょう。ケースは少し大きめのものがお勧めです。急いで移動する必要がある時に、雑に入れられるようにしておくとよいです。充電用の薄型のものを一つ入れておくと良いでしょう。

また、USB2.0からType-Cに変換アダプタするアダプタも一つあると良いです。最近のPCは、Type-Cしか備えていない場合が多いです。急に四角いタイプのUSBを挿す必要がある時に安心です。私は、Pixelを買うと付いてくるやつを愛用しています。あれなんで、毎回付いてくるのだろう?

あと現地でWorkshopなど参加する人は、延長コード付きの電源タップを持っていくと良いかもしれません。電源コンセントはあるものの、それぞれの充電プラグの形状がワガママすぎて挿せないというケースは多々あります。そんな時に、延長コードがあると割と重宝します。私は、今年はWorkshop系のセッションは受けない予定なので、持っていきませんが。

SIM

海外の通信をどうするのか。使いやすさや料金的な問題から、ポケットWi-Fiを空港で借りて持っていくというのは止めた方がよいです。SIMを買っていくか、eSIMの海外ローミングがお勧めです。私は毎回、T-Mobileが使えるアメリカSIM 10日間使い放題をAmazonで買って持って行っていました。3,580円です。

今年は、Povoの海外ローミングにチャレンジしてみる予定です。7日間で3GB、2,260円。通信単価的には、先に紹介した方が安いですが、会場内はWi-Fiが使えます。外出時に使えれば十分なので、今年はこれで行く予定です。

HDMIケーブル

意外にあると便利なのが、HDMIケーブルです。ホテルの部屋に帰った後や、朝の出発前に、PCを使って作業をすることは多々あります。そんな時に、ディスプレイが欲しいなと思うでしょう。そんな時にHDMIケーブルがあれば、あら不思議。ホテルのテレビが、途端にディスプレイに変身します。

まとめ

実はSIMをどうするか以外は、国内での移動とあまり変わらなかったりします。それでは、皆さんラスベガスでお会いましょう!!

Storage-JAWSの第ゼロ回に登壇してきました

 既に1ヶ月以上も経過してしまいましたが、Storage-JAWSの立ち上げ回に登壇させていただきました。その時の記録を残しておきます。

storage-jaws.connpass.com

登壇資料と動画

 まず登壇資料と動画です。Storage-JAWSということで、ストレージにちなんだ話をしました。

speakerdeck.com


www.youtube.com

登壇とテーマ決めの経緯

 本編でも説明しているのですが、登壇の経緯です。技術書典で売り子をやっている時に、Storage-JAWSの主催者の藤原さんがご挨拶に来られて、今度JAWSUGを開くので何か話してくださいとご依頼いただきました。何の話を依頼されるのか解らなかったのですが、二つ返事で承諾しました。後日、Storage-JAWSの発足の話を聞いたという次第です。
 ストレージについて、そんなに専門性を持っている訳ではなく、立ち上げ回ということで何を話せば良いのか悩みました。幾つか候補があったのですが、5月にAWSの昔話の技術同人誌を書いた事もあり、ストレージサービスの昔話をしました。これが良かったのか悪かったのか解らないですが、けっこう昔の話を興味深くきいてくれる人がいたようです。ありがたい限りです。
 他の候補としては、EBSのアーキテクチャのDive Deepや性能測定の話も候補に考えていました。話すとなると、かなりの下調べが必要になりそうです。時間的余裕がなかったので、またいつか調べて話してみたいと思います。
 資料を見返してみると、s3fsの話題もいれています。ちょうど昨日、Mountpoint for Amazon S3がでましたが、このあたりも深く調べてみたいですね。

資料作成の裏話

 今回は私的な登壇なのですが、一応所属する会社に資料として問題ないかのチェックをしてもらっています。資料的には、特に問題がなかったのですが、担当者から、「佐々木さんは、いつもワインオープナーを持ち歩いているのですか?」と質問がありました。最後のスライドに対して、鋭い指摘です。
 普段使うカバンとスーツケースには、ソムリエナイフを常備しております。これで、ワインを選ぶ際に選択肢の幅が広がります。スクリュータイプよりコルクタイプの方が、種類が多いですからね。また、ほとんどのワイン売り場では、購入時にコルクも開けてくれます。しかし、栓が開いたまま持ち運ぶのは、大惨事を引き起こす可能性があるので避けています。なお、数年に一度ほど、飛行機に乗る際に入れっぱなしにしていて、なくなく処分させられています。皆さん、ご注意ください。

感想

 ひさびさのJAWSUG登壇で、かつ立ち上げ回ということで、非常に貴重な体験をさせて頂きました。機会を頂きまして、ありがとうございます!!今後は登壇も増やしていきたいので、お気軽にお声がけください

takuros.booth.pm

技術書典14オフラインに出展してきました

 2023/05/21 に開催された技術書典オフラインに物理出展しました。大変な賑わいで、コロナ禍という逆境の中を生き残って、よくぞ技術同人誌の文化を残してくれたという感動がありました。運営の皆様、本当にありがとうございました。

 混雑具合も上手くコントロールされていて、出展者として参加して非常に心地よい体験でした。今後も参加していきたいですし、後から振り返られるように、また新しい人が参加する際の参考に、記録や所感を残しておこうと思います。

当日の売れ行きと考察

 まず当日の来場者数です。主催の日高さんによると、当日の入場者数は2,100人だったそうです。

時間ごとの入場者数はわかりませんが、11時から13時までの入場チケットは売り切れていたようです。時間あたりMax500人くらい合計で2,500人くらいで設定していたのではないかと推測します。

 それに対して、私が当日用意した本は、次のとおりです。当日の来場者数は全く解らないので、売り切れを出さないことを目標に設定しました。

  • AWSの薄い本Ⅰ IAMのマニアックな話 30冊
  • AWSの薄い本Ⅱ アカウントセキュリティのベーシックセオリー 30冊
  • AWSの薄い本Ⅲ データ分析基盤を作ってみよう 〜設計編〜 100冊
  • AWSの薄い本Ⅳ 昔話で振り返るAWSの歩み 200冊

 IAM本とセキュリティ本は、BOOTHから在庫を取り寄せて30冊づつ用意しました。データ分析本は長らく物理本が欠品状態だったので増刷です。そして、昔話が新刊となります。後の2冊は印刷所である日光企画から直送してもらっています。こんなに要らないとは予想していたのですが、車で行く予定だったので、持って帰る前提です。(技術書典会場への送料は無料で、自宅に別送したら有料なので)

 さて、当日の売れ行きはどうだったのでしょうか?

時間 IAM本 セキュリティ本 データ分析本 昔話 合計
11:00
7冊
8冊
11冊
17冊
43冊
12:00
6冊
7冊
6冊
18冊
37冊
13:00
12冊
11冊
7冊
18冊
48冊
14:00
4冊
4冊
5冊
12冊
25冊
15:00
2冊
0冊
10冊
10冊
23冊
16:00
1冊
0冊
4冊
6冊
11冊
合計
32冊
30冊
43冊
81冊
186冊

※上記以外にも、現金決済が10冊あります。売れた時間を残していなかったのですが、1時間に2冊づつくらいで満遍なくといった感じです。

 なんとIAM本とアカウントセキュリティ本が2時過ぎに売り切れてしまいました。IAM本の発刊は2019年、セキュリティ本が2020年です。技術書典に来る人にとっては、もう見飽きているだろうという判断を元に用意した冊数です。正直言うとIAM本についてはBOOTH側の在庫もわずかで、増刷するくらいであれば改訂した方がよいと考え、用意できるギリギリの冊数をだしました。これが痛恨の大外れです。
 他の出展者とも話して様子が解ったのですが、久しぶりのリアルの大規模開催ということで、技術書典が初めてという方も多かったようです。そんな事もあって、IAM本を初めて見る人も多かったようです。私のブースの傾向をみると、IAM本とセキュリティ本・データ分析本は、じっくりと見本誌を読んで購入を決める方が多かったです。逆に昔話は、ノールックで買って頂くケースが殆どでした。なので、IAM本とセキュリティ本を売り切れを告げるのが申し訳なかったです。
 今回の様子をみると、既刊50冊づつ新刊100冊くらいがちょうど良かったようです。もう少し来場者が増えると仮定して絶対売り切れ出さないようするには、既刊75冊づつ+新刊150冊くらいですかね。いずれにせよ、普通にやっていると私の場合は200冊くらいが限界だと思います。

頂いた声と回答

Q. IAM本は改訂しないの?
A. します。秋までには。(いつの秋かは解らない)

Q. データ分析本の実装編はいつでるの?
A. 次の次くらいの予定です

Q. Organizations本は?
A. 次の予定です。

Q. AWSに入門したいのだけど、ざっくり解る本は無いの?
A. 面白いテーマです。ただ商業誌に、よい入門書が多いので同人誌として出すか悩ましいです

Q. AWS以外の本とか出さないの?
A. なんか書いてみます

技術書典7との比較

 参考までに、私の技術書典出展の原体験であり、最も混雑した回であった技術書典7との比較です。

時間 技術書典7 技術書典14
11:00
151冊
43冊
12:00
94冊
37冊
13:00
82冊
48冊
14:00
43冊
25冊
15:00
45冊
22冊
16:00
36冊
11冊
合計
451冊
186冊

※前回の様子
#技術書典 に初出展。AWSの薄い本 IAMのマニアックな話を書きました - プログラマでありたい


 技術書典7のあの混雑は、もう戻らないと思います。最初の1時間は、本当に身動きが取れないほどの人が集まって、一方通行オンリーでした。午後になると随分空いたなぁと感じていたのですが、それが技術書典14並の来場のペースです。どちらがいいかという話はありますが、私としては今回のようなゆったりした感じがよいのじゃないかなと思います。
 というのも、今回くらいの来客者数だと1人で店番していても、ブースに来ていただいた方と色々お話しながらでも充分対応ができました。日頃私の本やブログ・Twitterを読んで頂いている方とお話することや、見本誌を読んで頂いた方からフィードバックなどを沢山いただけました。私にとっては、技術書典のオフライン会場は、販売の場というよりマーケティングの場という位置づけにした方がよいと感じているので、今回くらいの混雑具合がちょうどよいです。

感想

 ということで、私の技術書典14のまとめです。今回のブログを読むと、お前のところは知名度あるから余裕だけど、出展者の多くはもっと大変なんだぞという批判は出てくるんじゃないかなと思います。ただ、記録は記録として残しておいた方が良いと思うので、そのままストレートに公開させて頂きます。
 私としては、あのコロナ禍の絶望の中で、運営の皆様の並々ならぬ努力と工夫のお陰で技術書典ひいては技術同人誌の文化が残っていったことに感謝感謝です。単純に販路という意味では、私の場合はBOOTHやKindle ダイレクトパブリッシングで確保しています。なので、例え技術書典が無かったとしても、もう困らないかもしれません。しかし、それだけでは新規で技術同人誌を書いてみようという人には参入者には厳しすぎます。日本の技術同人誌をとりまく環境は良い文化になっていると思うので、少しでも何か貢献していきたいなと考えています。これを見て、自分も出展してみようだとか、技術同人誌を書いてみようという人が出てくるとよいなと思います。それでは、また次回の技術書典でお会いしましょう!!

techbookfest.org

「AWSの薄い本Ⅳ 昔話で振り返るAWSの歩み」を書きました

今年はアウトプットするぞということで、2年ぶりに技術同人誌を書きました。2023年5月21日開催の技術書典14 オフラインで販売します。またBOOTHにも入庫中です。

booth.pm

内容

 技術的な話ではなくて、AWSが出た当初はどんなだったのかという昔話です。日本に最初のAWSリージョンが開設されたのが、今から10年以上前の2011年です。そして、AWS自体は2000年代からありました。そうなるとエンジニアを始めた頃から、当たり前のようにクラウドがあったという人が多くなっています。昔からAWSを見てきた一人のユーザーとして、AWSの昔話を残しています。現在ではAWSには様々なサービスがありますが、例えばEBSのようにこれが無かった時代はどうやっていたのだろうと疑問に思うようなものもあります。無い時にどうやっていたのかの工夫と、不便がどんどん解消されていった時の空気感を伝えようとしています。
 中のコンテンツは、ブログで発表済みのものもあります。ブログからブラッシュアップしていますが、私のブログを全部読んでいるよという酔狂な方は、ご注意ください。

目次

第1章 最初の AWS サービスは何か?
 1.1 AWS の何が画期的だったのか?
 1.2 ジェフ・ベゾスの掟(The Bezos Mandate)
 1.3 インターネット時代の malloc S3
 1.4 始まりのAWS SQS
 1.5 名前を奪われた、もう一つの AWS
 1.6 群衆のクラウド Amazon Mechanical Turk
 1.7 AWS が巨大なプラットフォームになったのは何故か?
第2章 EC2 クラウドという概念をつくりあげたパイオニア
 2.1 原初AWSの海に漂っていたEC2
 2.2 GUI のコンソール画面なんて無い!! 統合的な CLI も無い
 2.3 EBSが無い時代のEC2
 2.4 2006年にEC2を出したAmazonの決断
第3章 ストレージサービス AWS の覇権の原動力
 3.1 EBSもっともハードウェアに近いサービス
 3.2 S3 時代を超越したオーパーツ
 3.3 AWSのストレージサービス
第4章 IAM 遅れてきた仕事人
 4.1 IAM以前
 4.2 VPCにみるAWSの設計ミス
 4.3 IAMがAWSにもたらしたもの
第5章 Before After CloudTrail
 5.1 CloudTrailがなかった時代
第6章 何もないところから始まった AWS
 6.1 揃う前にリリース
 6.2 記憶を記録に

書こうと思ったキッカケ

 さて、そもそも何でこの本を書こうと思ったのでしょうか?前々から、自分が知っている事を残すというのは、意味があるのではと思っていました。「永富家の人びと」という本があって、これは鹿島建設の「中興の祖」と言われる鹿島 守之助が作った鹿島出版会が出している本です。永富家というのは、兵庫県たつの市にある旧家で、永富家住宅として国の重要文化財にも指定されています。鹿島 守之助は永富家の出身で、鹿島家に養子にいきました。その関係もあって、鹿島出版が、守之助にまつわる事項をまとめたのでしょう。

 この本には、永富家の他に、近隣の縁がある家についても記載されています。佐々木家も実父が継いだ加藤家も永富家と縁があり、昔から養子に行ったり嫁に行ったり貰ったりしていたようです。そんな関係もあり、佐々木家のことも記載されています。読んでいると江戸時代の当主(永富家からの養子)の振る舞いが身分不相応とかで藩に怒られて蟄居したなど、本人の性格とともに記されていました。こんな記録、よくまとめたなぁと思うと共に、まとめてくれた人がいるから百年以上後にも様子が解るのだよなと思いました。

 EC2, S3がリリースされてから17年が経ちました。振り返ってみると、わずか10年程の前のことも記憶があやふやです。また、いろいろな情報がインターネットにありますが、その情報も消えてしまうこともよくあります。なので、1冊の本でまとめることの大切さを実感しています。そんな大層なものではないですが、10年後の誰かに役にたてば幸いです。

感想

 最近、継続的に文章を書くのが大変になってきました。加齢もあるし、家庭環境・仕事環境もあると思います。この本をキッカケに、また創作意欲が湧いてくるといいなと思っています。なんだかんだ、毎日少しづつ書けるのが一番充実するんですよね

booth.pm