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エネルギーについて考えてみよう。「探求――エネルギーの世紀」

 昨年末に原油や天然ガス、次世代のエネルギーについて、学んでみたいと思いダニエル・ヤーギンの「探求――エネルギーの世紀」を読んでみました。上下巻併せて、1,000ページ近くとかなりの大作で読むのも時間がかかります。でも、是非一度読んでエネルギーについて考えてみるのが良いのではと思います。ニュースの背景を知る上でも、かなり約にたちます。
 この本は原著が2011年9月20日に日本語版は2012年4月3日に発売したとあって、福島原発の事故も踏まえて最新のエネルギー事情について丁寧に書かれています。一方でAmazonのレビューに書かれている通り、訳については幾らか問題ある部分も多く読みにくいところもあります。それでも、世界を取り巻く今のエネルギーの現状を知るには最良の一冊です。


 第1部と第2部は原油に焦点を当てています。中東以外の石油や、非在来型と呼ばれるオイルサンドやシェールガスなど。この辺りを読んでいると、当面の間は石油が枯渇する心配はないなと思います。一方で、今までのように石油が安い時代が戻ることもないことが解ります。いわゆる非在来型石油は採掘コストが高く、石油が安い時には採算があいません。なので、シェールオイルなどを見て、石油が安くなると考えるのは間違いです。
 第4部以降は、主に次世代エネルギーの話です。太陽光・風力・水力と色々ありますが、行き着くところはコストと安定性の問題になります。読んでいる限りでは、組み合わせとバッテリーの重要性になるのではないかと思います。また風力などのエネルギーの大部分は、結局は太陽のエネルギーが形を変えたものという考え方は面白いなぁと思います。
 また現在の気候変動の研究が、氷河の研究から始まったという事実には驚かされます。何がどうつながるか、凡人には解りませんね。面白い本なので、興味がある人は是非時間を掛けて読んで色々考えて欲しいですね。


目次

第1部 石油の新世界
 ロシアの復帰
 カスピ海ダービー
 カスピ海の対岸
 スーパーメジャー
 石油国家
 流通途絶
 イラク戦争
 需要ショック
 中国の勃興
 追い越し車線の中国
第2部 供給の安全保障
 世界の石油は枯渇するのか?
 非在来型石油
 エネルギーの安全保障
 ペルシャ湾の流砂
 海上のガス
 天然ガス革命
第3部 電気時代
 交流電気
 核燃料サイクル
 価格統制の崩壊
 燃料の選択
第4部 気候とCO2
 氷河の変化
 発見の時代
 リオへの道
 市場を作る
 グローバルな政治目標
 コンセンサスを求めて
第5章 新エネルギー
 再生可能エネルギーの再生
 科学実験
 輝く光の錬金術
 風の謎
第五の燃料―
 効率
 節約の溝を埋める
第6部 未来への道
 炭水化物人間
 内燃機関
 偉大な電気自動車実験
“偉大な革命”



参照:
天然ガスの時代:「次世代エネルギーは終わった」とアメリカは言う WIRED.jp