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有機農業や田舎暮らしは、地球環境に優しいのか?

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 昔から違和感が拭えないのが、食料自給率の話や、自給自足的な生活を賞賛し地球環境に優しいという風潮です。もっというと現代社会において、田舎暮らしが環境に優しいのかという話です。

食料自給率の話



 TPPの話などで折にふれて繰り返される食料自給率の話。カロリーベースだと39%で、生産額ベースにしても64%とのことです。食料安全保障の観点から、もっと高めないといかねばという議論があります。もっともらしい話ですが、正直どうなのかなと思います。理由としては、肥料と燃料です。
 肥料の三要素としては、窒素・リン酸・カリウムです。空気の中にふんだんにある窒素や、比較的豊富に存在するカリウムについては問題ないですが、リン酸は原料となるリン鉱石の枯渇の懸念がされるほど資源量が少ないです。また日本はリン酸の全量を中国から輸入しています。この時点で、食料の自給率の話をしても仕方がないのではと思います。しかし、自給率の議論の中で肥料を含めて話す人を、少なくともテレビの中では一度も見たことありません。また、自給率の要素に、肥料は含まれていません。
 無機肥料が駄目なら有機肥料があるやんと思うかもしれませんが、有機肥料で全て賄おうとするのは夢物語です。無機肥料のみで衰えた土壌に対して、有機肥料を補助的に利用するのは有効だと思います。一方で、生産性の違いは歴然です。有機農業と慣行農業あたりをキーワードに検索を掛けると、いろいろと論文でてきますが有機農業の方が良くても7割くらいの生産性(3割減)のようです。今は、ほぼ世界中で無機肥料を中心とした農業なので、純粋に3割減したら食料足りなくなりますよね。かつ、有機肥料の肥料を生産する農地が必要になります。鶏ふんや牛ふん、後は堆肥の生産地です。これが農地の何倍にも必要になります。どこに土地があるのかという話ですね。ということで、個人的にはオーガニック礼賛は金持ちの道楽だと思っています。もちろん、化学肥料の問題もいろいろありますが、一方的に悪で有機農業が善とする風潮は好きではないです。
 また、肥料の話です。田舎で農業やってるので、たまに手伝っています。米作などは、ほぼ機械頼みです。田植えから収穫、精米と全部機械化されています。機械を動かすのは当然電気とガソリンです。両方共、元を辿れば輸入頼みですよね。ということで、食料自給率の議論はまやかしなんじゃないかなぁと思っています。

田舎暮らしの話



 田舎から大阪のアパートに帰ってきた時に、ふと気がついた点があります。田舎の家と住んでたアパートは、ほぼ同じ面積だけど住んでいる人が100倍以上違うと。田舎では、近所を村という単位で呼んでいますが1つの村(管理単位的には、町域です。)が200〜300人くらいです。当時住んでいたアパートが、13階建てで各階に7部屋あったファミリー向けだったので、たぶん200〜300人くらい住んでいました。ということで、面積辺りの集約率がここまで違うのかと気が付かされました。
 もちろん田舎の家の方が集合住宅より電気設備はないのですが、その水道・電気ガスを支えるインフラの集約度を考えると都会の方が効率的なのではと思います。気になって日本一人口が多い東京と人口の少ない鳥取で、都道府県ごとの民間部門の電力消費量を人口で割ってみると、東京の方が省エネでした。都会ぐらしというのは、結局効率が良いから集約が進んでるということです。

感想



 自然に触れ合える生活が人間に優しいのは事実だと思います。実際、私も子育ての為に少し郊外に住んでいます。ただ、人間に優しいというのと地球環境に優しいのは別問題だと思います。この辺りが混同されているような気がします。この辺りは、文明の崩壊や繁栄で繰り返し主張されています。色々な方面から考えてみたいので、農業やエネルギー関係の話をもう少し読んでみたいなぁと思っています。
 ちなみにリン鉱石の話、鳥の糞に多量に含まれていて、それが化石化したのがグアノです。グアノのおかげで、一時期は世界一の金持ちだったナウルとかそれに関係する話は興味深いのが多いです。

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