プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

金利の仕組みを紐解きたい方々へ。「藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義」

 アクティブな投資をする方には、お勧めの1冊です。私も初めて藤巻さんの本を読んだのですが、タイトルの通りかなり実践的な知識が得られます。単に株の買い方とかの話ではなく、為替や長期金利がどのように影響しあっているのかと言った類の話です。中々こんなことを語ってくれる人はいなかったのでありがたい。(といっても6年以上前の本なので、私が読んでいなかっただけですがw)
 私の経験で言うと昔米国で働いていたことがあって、帰国の際に余ったお金を現地の銀行に定期預金にして来ました。その時提示されたレートが詳しくは忘れましたが、1年が5.3%、3年が5.0%、5年が4.8%とかいった感じでした。長期になるほど金利が下がる所謂逆イールドの状態でした。なんでだろうと思いつつ1年もので預金したのですが、その後の1年ごとの自動更新の際は3%,1%と利率は下がって行きました。市場は金利低下を予想していたのですね。(ちなみにドル円のレートも随分落ちました)この時に、藤巻さんの本を読んでいればなぁと痛感しましたw
 ちなみに全ての人がこの本の知識を身につける必要があるかと言えばNoだと思います。どちらかと言えば、まずは内藤忍さんの「60歳までに1億円つくる術」を読んで金融リテラシーの基礎と長期分散投資、複利の魔力を学ぶ方が先だと思います。ただ少しはハイリスクな投資をしたいという人は必読かと思います。私は資産全体のポートフォリオを考えた時に、10%くらいはハイリスクな投資をしても良いかと考えています。その10%分を運用する上で大変参考になりました。
 1度読んだだけでは理解出来ていない部分が多いので、これから繰り返し読んで行こうと思います。ちなみに本書は新書本で945円。分量・内容の濃さを考えれば、破格の安さだと思います。


下記、本書を読んだ際のメモの一部

 数年前の話になるんですけども、このときの10年の日本国債、この利回りが1.8%。10年の米国債が約6%。そして10年のフォワードポイントすなわちディスカウント幅は、4400ポイントでした。
〜〜中略〜〜
そうすると為替で相当損してもいいわけです。どこまで損していいかというブレークポイントが61円だっていうことです、10年先の、フォワードポイントが4400ということは。
 金融の知識が完璧な人が日本国債を買うということは、10年後のドル/円の直物が60円になっちゃうかもしれない、ひょっとすると55円になってしまうかもしれないと怖がっているということなのです。

米国債5年で2.39%。個人向け日本国債5年固定が0.44%。
ドル円は90円なので、今だとフォワードポイントは1755ポイントですかね。となると73円以下にならなければ米国債の方が良いのですが、今だと大分妙味がなくなっていますね。
U.S. government securities 5-year
個人向け国債 固定5年(第17回)の発行条件


P224

日本の長期金利を決定するのは、先程から言っているように債券先物市場ですから、充分理解してほしいですね。住宅資金を借りるのに固定金利にしようか変動金利にしようか考えるとき、中小企業のオーナーの方が設備投資等のために長期金利を見きわめたいなら、債券先物市場の日経新聞記事を理解できるようにしてほしいですね。

 長期金利の読み方。債券先物が最重要なようです。

P295

もうすでに、変動で借りていたんですけども、金利が上昇しそうだということで、固定のペイの金利スワップをすることによって、金利上昇に備えられるのですね。金利スワップとはこういう使い方もできるわけです。

 個人での金利スワップの活用方法。もし変動金利の住宅ローンを組むならば検討してもよいですね。


目次

 1. 為替のマーケット
   為替とは何か
   マーケットの参加者
   直物と先物
   為替を動かす要因   
   為替マーケット再考
 2. 短期金融マーケット
   日銀
   日銀はなぜ偉い
   日銀バランスシートの注目点
   LIBOR(ライボ)
   金融先物市場
   金融先物の利用法
   マイナス金利の世界
   一見長期債に見えて実は短期債
   国内コール市場とユーロ市場
 3. 長期国債マーケット
   長期金利はなぜ動くか
   国債マーケット基礎用語
   現物債マーケット
   債券先物市場
   債券先物はどう使えるか
   財政赤字問題
   マーケットの誤解
 4. 金利スワップマーケット
   金利スワップマーケット
   金利スワップを再考する
   スワップと薄価会計の問題点
 5. オプションマーケット
   オプションとはなにか
   運用と調達の考え方
   会議に関するリスク
   リスクコントロールシステムとしての会計
   ヘッジファンド
   ヘッジファンドプレイヤーの素顔
   外資VS.邦銀

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5 ビッグトレーダー当人がこのような金融の教科書を出すというのは、世界広しといえど無い
4 面白い内容でした
4 分かりやすかった
5 わかりやすいが歯ごたえあり
4 難しいけど何度も読みたい