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技術書典19の『第11回 刺され!技術書アワード』でAWSの薄い本7 S3の深淵を知るためにAmazonの奥地に行ったが大賞を受賞しました。と売上報告

 昨年11月に出展した技術書典19で上梓した『AWSの薄い本7 S3の深淵を知るためにAmazonの奥地に行った』が、『第11回 刺され!技術書アワード』で大賞を受賞しました。合同誌含めて過去8冊出していますが、今回が初めてです。

booth.pm

『刺され!技術書アワード』とは

  刺され!技術書アワードは、技術書典19の出展作品の中から自薦・他薦でお勧めの技術書を紹介する企画です。応募された作品は、主催者である日高さん・高橋さんによって、コメントとともに紹介されます。
 プロの視点から自分の本の特徴を言語化してもらえるため、マーケティング面でも、著者としても嬉しい企画だと感じています。

 応募作品は100冊を超え、その中から以下の3部門でファイナリストが選出されます。その上で、各部門を横断して大賞が選ばれる仕組みです。

  • 刺さる部門
  • エポックメイキング部門
  • ニュースタンダード部門

 詳細については、こちらをご参照ください。

blog.techbookfest.org

受賞発表の様子

 当日の受賞発表の様子です。私のS3本は、ニュースタンダード部門でエントリーされていました。ニュースタンダード部門は、こういった基準で選ばれているようです。

技術書典とその読者の「枠」や「間口」を押し広げてくれるような、新たな視点・可能性を示した技術書に送られます。

www.youtube.com

 実は発表当日は体調不良で早々に寝てしまっており、ライブ配信を見ていませんでした。後からTwitterのタイムラインを追っていると、なんと自分の作品が受賞していることを知りました。
 一世一代の機会をライブで見られなかったのは残念ですが、それ以上にありがたい出来事でした。

受賞作品『AWSの薄い本7 S3の深淵を知るためにAmazonの奥地に行った』について

書籍についての紹介は、過去のエントリーで書いているので、こちらをご参照ください

blog.takuros.net

S3の深淵を書いた理由

 7冊目の「AWSの薄い本」シリーズとして、S3を選んだ理由についてです。以前から公言しているのですが、AWSの中で特に好きなサービスはS3とSQSです。どちらもクラウドらしさや、AWSの設計思想を強く体現しているサービスだと感じています。

 S3はクラウドを前提としたオブジェクトストレージであり、AWSのサービス群の源流の一つです。また、SQSはEC2やS3よりも前から提供されているサービスで、こちらもAWSの源流の一つと言えるでしょう。特にSQSは、うまく使うことでサービス同士を疎結合にできます。

 S3は、AWSを使っている人であれば、ほぼ誰もが利用しているサービスです。明示的に使っていなくても、裏側でS3を利用しているサービスは多く存在します。一方で、S3は非常に懐が深いサービスであるため、多少雑に使っていても大きな問題が起きにくく、「なんとなく使えてしまう」側面があります。
 そうした背景もあり、深く理解しないまま使っている人も多いのではないでしょうか。そんな人たちに、「もう少しS3を知ってみよう」と思ってもらうきっかけになればと考えて、本書を書きました。

評価されたと感じているポイント

 この本が評価された理由は何だったのでしょうか?幾つかコメント頂いていますが、この本にはAWSの管理画面やコンソール操作などは一切言及していません。ひたすらS3がどういうサービスなのか、またどのように使えばよいのかという考え方のみを書いています。そういった方針が、今の技術書典の潮流とは少しズレていて良かったのかもしれません。

PEAKSクラウドファンディングに向けて

 この技術書アワードの大賞は、副賞としてPEAKSクラウドファンディングで出版ができるそうです。具体的な部分については、これから調整していくことになるかと思いますが、せっかくの機会なので挑戦してみようかと思います。無事に出すことができそうであれば、大幅に増補して150〜300ページのマスター of S3みたいな感じで出したいですね。
 それくらいの分量であれば、S3 TablesやS3 Vectorsについても、たっぷりとページを割くことができます。相変わらずS3に対してどれくらいの需要があるか謎ですが。

Software Design誌に、S3の特集記事を寄稿しました

 S3関係の今月の予定として、1月17日発売の 『ソフトウェアデザイン2026年2月号』にS3の記事を寄稿しました。第二特集24ページ分、まるまる私の方で書かせて頂きました。話の内容としては、S3の深淵本と被ることも多いのですが、re:InventのS3関係のセッションの内容を聞いた上で、最新の情報やベストプラクティスについても盛り込んでいます。

 キッカケは編集者の方から、AWS の薄い本の合本 Vol.01で私が書いたS3の章をベースに書いてみないかと依頼がありました。ちょうどどの時に、S3の深淵本を執筆中で内容が被っても問題ない旨が確認とれました。あとはre:Inventの情報盛り込めば楽勝で書けるなと、甘く見積もった産物です。内容自体はしっかりと書けていると思いますが、楽に書けたかどうかはご想像にお任せいたします。

技術書典19の売上報告

 ここから話題が変わりますが、技術書典19の売上報告です。前回はオフライン会場を中心に、最初の2日間の売上をまとめましたが、今回は次回以降の参考として、会期全体の売上状況を記録しておきます。

全体の売上概要

 みんな大好き、売上報告です。メールからの集計で若干実数とあわないところがありますが、期間中の合計で520冊売れました。そのうち新刊のS3の深淵本は、369冊です。また、オフライン(会場)とオンラインでの比率は、212冊と308冊で約6割がオンラインでの販売となりました。


売上から見えた傾向

新刊のS3の深淵本の動向

 新刊については、前回のIAM2025本に比べて勢いが若干弱いです。要因としては、次の3つくらいがあるかなと思います。

  • 宣伝不足
  • IAM本に比べて、S3というテーマは新機軸だった
  • S3を学ぶ必要性を訴求できなかった

 1つ目の宣伝不足については、完全に自分の落ち度です。今回は多忙だったこともあり、新刊を見送るつもりでいましたが、直前になって「やはり新刊がないのは寂しい」と思い、突貫で執筆しました。結果として、執筆後は力尽き、十分な宣伝ができませんでした。これが最大の要因だと思っています。

 2つ目については、「IAMの人」というイメージが自分に定着している影響もあったのかもしれません。その人間がS3について何を書くのか、と感じた方もいたのではないでしょうか。
 3つ目は、冒頭でも触れた通り、S3が非常によくできたサービスであるがゆえに、「今すぐ学ばなくても困らない」と思われがちな点です。

 一方で、技術書典19の会期が終わっても、じわじわと売上は伸びていっています。これからの宣伝・マーケティング次第で、十分訴求できるという手応えも感じています。

オフライン(会場)とオンラインの傾向

 技術書典の目指している方向でもあるのでしょうが、ここ数年の傾向としてはオンラインの売上の力強さが顕著になってきています。従来は、会場販売の一発勝負だったのですが、今では総数としてはオンラインの売上比率の方が高くなっています。爆発的な売上というより、評判が良いものがしっかりと売れるという傾向になっています。会場で購入して頂けるアーリーアダプターに誰に向けての本なのかをしっかりと訴求し、それが広がればオンラインで広がるという設計になっています。
 逆に言うと、自分は購入者がSNSで呟きたくなる仕組みが不足していると反省しています。このあたりは次回に向けて、しっかりと仕組みを考えていこうと思っています。

まとめ

 少し長くなりましたが、技術書典19の総括です。記事中では触れていませんが、今後の執筆スタイルや方向性、セルフブランディング、マーケティングについても、多くの示唆を得ることができました。
 出展としては9回目になりますが、本気で向き合えば、まだまだ学ぶことは多いと実感しています。2026年も年2回開催されるようなので、引き続き新刊を出していきます。今後ともよろしくお願いいたします。
booth.pm