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新社会人に向ける保険の選び方

 全国津々浦々のオフィスビルで展開されているであろうのが、新入社員向けの生命保険の勧誘。社会人になったのだから、「自分で保険に入るのが当たり前」という論調で勧められると思います。世の中のことを何も解っていなかった、幼気な自分もいそいそと加入していました。
 結論を先に言うと、社会人になったからと生命保険に入る必要は、殆どの場合はないです。理由については保険の役割から考えていきましょう。保険の役割は、主に2点です。一つは、病気になった場合の保障です。もう一つは、死亡した場合の残された人に対する保障です。この二つを基軸に考える必要があります。

病気になった場合の保障



 保険の基本的な役割の一つに病気になった場合の保障があります。入院したり手術したりする際に、支給されるお金です。人生の中で、入院・手術する確率は、それ程低くないです。10年くらい社会人をしていると、会社の同僚や友人知人で何人かは入院したという話を聞くことになるでしょう。これに対しての手当てを考えることは、悪いことではないですね。
 問題は、その手当てのバランスです。保険によりますが病気になった場合の保障は、手術に対するまとまった支給と、入院日数×所定の金額という形が殆どです。恐らく後者のケースが多いです。1日あたりの保障額は、5,000円もしくは10,000円という形式が多いのではないでしょうか。
 ここで重要になるのは、入院日数です。例えば1ヶ月入院するとなると、休職中の保障や日々の費用、場合によっては差額ベッド代とかなりの出費になります。このあたりを考えて、保険に入りたくなる気持ちは解ります。しかし、実際のところ何日くらい入院するのでしょうか。ケースバイケースなので答えようがないので、こういった場合には統計を使います。「退院患者の平均在院日数等」によると、32.8日になります。結構、長いですね。しかし、ここに統計の罠があります。平均すると32.8日ですが、30代であれば入院患者の半数は7日以内で退院します。30日以上入院する割合は、1割以下です。つまり、一部の長期入院患者によって、平均日数が延びているということですね。
 7日ということは、1日につき1万円の支給であれば7万円ですね。つまり数十万程度の貯蓄があるのであれば、基本保険は必要ないのです。高額医療がという話もありますが、その辺り日本の医療制度はしっかりしています。ある一定以上の負担にはならないような仕組みがあります。ということで、もしもの入院に備えて月1万円もするような保険に入るのは、効率が悪いことが解りますね。貯蓄がなくて心配ということであれば、共済のような掛け捨ての最低限のものに加入し、その分を貯蓄に回すという方が良いでしょう。

残された人に対する保障



 次に残された人に対する保障についてです。独身の場合は、自分の葬式代だけ手当できれば充分なので、あまり必要ではないですよね。次に、既婚者の場合。配偶者が働いているかどうかでも変わってきます。基本的には、一人で生計を立てられるようになるまでのサポート+アルファくらいで考えるのが良いのではないでしょうか。最後に子供がいる場合、このケースこそが保険を考えるべき人たちです。まぁ新卒の入社したてで結婚しているケースの方がレアなので、残された人のための保障を考える必要がある人は少ないでしょう。

保険を考える3つのタイミング



 では、保険を考えるタイミングはいつなのでしょう。私は下記の3つだと思っています。

  • 子供が産まれた時
  • 家を買った時
  • 定年になった時

 なお、子供が産まれた時以外は、保険を減額の方向で見直すタイミングです。家を買う場合、ローンを組むことが多いと思います。その際は、必ず団信(団体信用生命保険)に入ることになります。これは、ローンを払っている人が死亡等で支払えなくなった時に肩代わりする保険です。つまり住宅ローンがチャラになって、家も残ります。ということで、それまで入っていた保険の保障とかぶるので見直して減額し、住宅ローンの返済に回すべきです。
 定年のタイミングも同じです。保険は働けなくなった場合の保障なので、そもそも働かなくなったら見直すべきです。もっとも定年後まで払い込む必要がある保険に入っている人は少数だと思います。

まとめ



 20歳から60歳まで、毎月1万円の保険に入っていたとしたら、払い込む金額は480万円です。保険は人生の中で、家の次に高い買い物と言われる所以です。資産・家族構成・収入によって生命保険の必要性は違ってきます。焦って入らなくても大丈夫なので、一度じっくり勉強してみましょう。かなり学習にたいして投資対効果の高い分野の1つですよ。

生命保険はだれのものか

生命保険はだれのものか


See Also:
もし私が死んだら?或いは、遺族基礎年金と遺族厚生年金について
生命保険について勉強してみた
勝手に補足。学資保険は必要か?
『本当の問題は死ぬに死ねない時』は、生命保険営業の殺し文句

WEB+DB PRESS vol.86を読んだ。Atomの衝撃的な事実

技評さんにWEB+DBの最新号頂いたので、さっそく読みました。何か最近いろいろ貰いすぎて申し訳ない感じです。
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特集記事



 この号の特集は、次の3つです。4月ということで、全般的に新入社員を意識しているようですね。

  • チーム開発 6つの心得
  • 実践Atom
  • Docker実践投入

 個人的な感想として、一番驚いたのがAtomの特集で、理解が深まったのがDockerの特集。そして、タイムリーだったのが伊藤さんの連載のReactです。

Atomの衝撃



 この特集の構成としては、Atomとは何ぞやという所から始まって、実際の使い方であるインストールや設定、各言語ごとでの使い方や開発環境としてのAtomと、WEB+DBの読者層の利用想定と一致した内容となっています。
 この中で驚いたのが、何気にAtomとはなんぞやの部分です。今まで知らなかったのですが、Atomはブラウザのエンジンの上で動いていて、HTMLやJavaScript,CSSで構成されているとのことです。今までAtomは利用していて、前著のAmazon Web Services パターン別構築・運用ガイドもAtomを利用して書いていました。使い勝手もよくネイティブアプリだと思っていたら、ブラウザベースのアプリだったとはと衝撃を受けました。
 自分の中でWebベースのアプリであれば、動作感とか多少の制約があって仕方がないよねという固定概念があったのですが、それを粉々に打ち砕いてくれました。これは、もっと研究しないと気付くキッカケになりました。

React



 Atomの衝撃の後に読んだのが、伊藤直也さんの連載であるEmerging Web Technology研究室の「Reactによるフロントエンド開発の変革」です。html+javascriptの可能性を再認識した後に、じゃぁフレームワークをどれを選ぶべきという疑問が湧いてきます。これについては、そもそも作るものであったり、開発する人やチームの状況があるので、一概に正解は無いと思います。Angluer.jsやBackborn.jsなど色々ありますが、3年後にどれが残るかを予想するのは非常に難しいです。
 そんな中で注目しているフレームワークの一つに、Reactがあります。先日、FacebookがiOS向けにReact Nativeを発表したことで話題になっていますが、対象としている領域と考え方の選択が良いと思っています。ReactはMVCでいう所のビューのみを提供します。また、DOM操作の複雑性を排除する考え方があります。この辺り、解り易く解説されているので、是非読んで欲しいです。
 ということで注目のReact。簡単なプロトタイプアプリを作って試してみようと思います。

Docker



 最後にDockerです。私が直接話を伺った中で、一番Docker導入に対しては熱心に取り組んでいる企業は、はてなさんとWantedlyさんです。今回は、Wantedlyの中の人による執筆で、実運用をする上でのノウハウがふんだんに盛り込まれています。
 私自身は、Dockerを使ったベストプラクティスは、まだ見出せていません。巷でよく言われているアプリケーションの可搬性については、それ程困ったこともないです。そんな中でこの記事を読むことにより大分整理ができました。
それは、1コンテナ1プロセスの原則です。一つにのコンテナには、一つにの役割しか担わせないということです。例えば、nginxとrailsが必要な場合、同じコンテナ内に同居させるのではなく、別のコンテナとして構築し連携させます。これで腑に落ちました。疎結合にして、管理を容易にすることですね。Microservicesと同じですね。

感想



 面白かったです。技評に掲載されている記事は、背景の思想とかがしっかり書かれているので、そこの部分が特にありがたいですね。

WEB+DB PRESS Vol.86

WEB+DB PRESS Vol.86

  • 作者: 結城洋志,沖元謙治,足永拓郎,林健太郎,大竹智也,内田誠悟,伊藤直也,中山裕司,hiroki.o,泉水翔吾,佐藤太一,高橋俊幸,西尾泰和,舘野祐一,中島聡,橋本翔,はまちや2,竹原,麻植泰輔,WEB+DB PRESS編集部
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2015/04/23
  • メディア: 大型本
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