プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

技術同人誌を売る技術 2024年バージョン

技術書典17が終わりました。
今回は技術同人誌としては、初めて会社のメンバーと1冊の本を作りました。私以外は、全員技術同人誌デビューという形でした。最初に成功体験を持って貰うのが大事だと思ったので、今回は特に売るということにこだわっていました。今後さらに売り方を洗練させるためにも、期間中の売上の推移とやったことをまとめてみます。

blog.takuros.net

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日ごとの販売実績の推移

新刊に絞った売上の推移です。11/3にオフラインが開催され、その翌日に集計しています。1日で一気に200冊近く売り上げています。しかし、注目すべきところは、その後にも200冊近く売れているところです。ここについては、後ほど解説します。

日時 技術書典オンライン物理+電子 技術書典オンライン電子 BOOTH物理+電子 BOOTH電子 技術書典オフライン 合計
11/02 15時 19冊 4冊 1冊 0冊 0冊 24冊
11/02 20時 30冊 4冊 11冊 0冊 0冊 45冊
11/03 8時 40冊 7冊 15冊 1冊 0冊 73冊
11/04 9時 83冊 22冊 27冊 10冊 117冊 259冊
11/05 10時半 100冊 30冊 29冊 12冊 117冊 288冊
11/08 14時半 120冊 41冊 33冊 16冊 117冊 327冊
11/11 10時半 129冊 50冊 33冊 17冊 117冊 346冊
11/12 12時半 136冊 51冊 33冊 17冊 117冊 354冊
11/14 14時 145冊 52冊 33冊 19冊 117冊 366冊
11/16 23時 151冊 57冊 33冊 20冊 117冊 378冊
11/18 10時 179冊 70冊 33冊 20冊 117冊 419冊
11/23 11時 179冊 72冊 34冊 20冊 117冊 422冊
12/28 12時 179冊 77冊 50冊 22冊 117冊 445冊

展示会当日

オフライン当日の売上の推移です。こちらは新刊のみではなく、既刊含めて記載しております。しかし売上の中心は、新刊ということが如実に出てきています。

時間 IAM本 セキュリティ
データ分析
設計本
昔話 データ分析
性能本
合本(新刊) 合計
11:00
3冊
5冊
2冊
2冊
1冊
29冊
42冊
12:00
5冊
3冊
6冊
3冊
2冊
24冊
43冊
13:00
6冊
3冊
3冊
2冊
1冊
22冊
37冊
14:00
6冊
4冊
2冊
2冊
0冊
14冊
28冊
15:00
5冊
0冊
1冊
1冊
0冊
21冊
28冊
16:00
3冊
0冊
2冊
3冊
1冊
7冊
16冊
合計
28冊
16冊
15冊
14冊
5冊
117冊
195冊

過去開催回との比較

過去の開催回との比較です。技術書典16も出展していたのですが、集計していなかったです。ご容赦を。
技術書典7は、新型コロナ流行前の最後の物理開催です。この時は入場規制がなく、1万人以上参加とのことでした。これに対して、技術書典17は約2,600人とのことです。一概には言えない部分もありますが、入場者は売上に対して重要なファクターであるのは間違いないでしょう。

時間 技術書典7 技術書典14 技術書典15 技術書典17
11:00
151冊
43冊
24冊
42冊
12:00
94冊
37冊
23冊
43冊
13:00
82冊
48冊
30冊
37冊
14:00
43冊
25冊
49冊
28冊
15:00
45冊
22冊
26冊
28冊
16:00
36冊
11冊
4冊
16冊
合計
451冊
186冊
156冊
195冊

オンラインでの販売と広告戦略

 新型コロナ後の技術書典は、会場内の適度な混み具合をコントロールして実現しています。以前のような歩けないほどの混雑する状況は二度と現れないでしょう。(※)
※出展者の自分としても、これ自体は大賛成です。
 そうなると技術書典の主戦場は、オンラインでどう売っていくかになります。もっと言うと、一日だけ開催されるリアル販売(オフライン会)で注目を浴びて、SNSで話題となってオンライン売上につなげるかです。今回、私達は次の作戦を取りました。

  • 販売開始前から、紹介ブログを書いて認知を高める
  • 著者全員が執筆箇所の紹介ブログを書いて、テーマごとに興味がある人を合本に誘導する
  • Twitter(X)での宣伝を、執拗におこなう
  • 購入者を見つけたら、リツイート

 この辺りを徹底すると、ある程度は効果があったようです。私の当初の予測は、かなり上手くいって新刊の売上の合計を350と読んでいました。結果としては、+100部の上振れです。当日の売上は、ほぼ予想通りだったので、オンライン販売戦略が上手くいったのではと考えています。

反省点

 一方で振り返ってみると2点ほど反省点があります

  • Twitter投稿を促す仕組みを作っていなかった
  • 合本という名前が適切でなかった

 1つ目は、Twitter投稿を促す仕組みを考えていなかったという点です。リアル販売会で買った人が、写真をアップしたくなるような仕組みを作っておけばよかったと後で気が付きました。2つ目は根本的な過ちです。合本を調べてみると、下記のような定義のようです。複数人で書いている場合は、合同誌と書くのが適当でした。次回作、どうしよう。しれっと、『AWSの薄い本の合同誌 Vol. 2』でいいのかな?

数冊の雑誌・小冊子などをとじ合わせて一冊にすること。またその本。合冊(がっさつ)。

まとめ

 技術同人誌としては、初めて複数人で執筆という経験でした。初めて執筆に挑戦した人も多く、成功体験を作るということにこだわり、発行部数という点では大きな成功をおさめられました。執筆者も、次回も挑戦したいという人が多くて、狙い通りでした。
 商業誌を書いている人が、技術同人誌の世界で売上を狙いにいって大人げないという意見もあるかもしれません。一方で、自分は参加するからには、自分のできることの限界までやり尽くしたいと思っています。過去何度か話したことがあるかもしれませんが、せっかく本やブログを書いても宣伝することに熱心な人は少ないです。良いものを書いても知られなければ、伝えられないのです。なので、プロの端くれとして、これからも売ることにもこだわっていく所存です。

techbookfest.org