もうすぐボジョレー・ヌーヴォーなので、ワインのネタについて一つ。大手スーパーで取り扱っているワインは、特徴がなくて余り美味しくないのが多いと思いませんか?その理由を構造的に理由で考えてみました。例えばこの記事を見てると、イオンが直接調達するワインは年間2200万本。近所にイオンが無いので、どれくらいの種類を扱っているのか解りませんが多くても100種類はないでしょう。店舗ごとに独自に仕入れているとは思えないので、仮に100種類としたら1種類あたり2万本となります。
2万本といったらどれくらいの量なのでしょうか?ケースで言うと1600ケース強になります。1600ケースってどんな数字でしょうか?適当なデータは中々見つからなかったのですが、Wikipediaによると、アメリカのワイン産地の一つであるオレゴンの多くのワイナリーの出荷数は5,000ケースに満たないようです。ワインは、多くのところに売って評価を得てブランド価値を築いてなんぼの商品です。同じところに何割も納入するということは、通常ないでしょう。となると一つのところに何千ケースも納入出来るワイナリーは、ごく一部のメガ・ワイナリーだけでしょう。
そういったワイナリーは、どうやって作るかご存知ですか?ワイナリーのブランド価値を高める最上級のブランドのワインだけ自前の畑のぶどうから作って、セカンド/サード・ヴィンテージは近隣のぶどう畑から買い集めてブレンドして作ります。もちろん仕入れるところや醸造の仕方にノウハウはありますが、基本的には目指す所は一つです。出来るだけ均一の味で大量に生産することです。ということで、可もなく不可もなくのワインが大量に出来ます。そして大手スーパーはそういった所から、大量に買い入れることになります。
この辺りがスーパーのワインが、たいして美味しくも面白くもない理由なんではないかなぁと思います。また同じような理由で、インポーターも余り大きくなれません。大きくなるとどうしても大量に取り扱う必要が出来て、自然に大手ワイナリーのモノを優先して扱うようになります。そうなると、スーパーのワインと同じジレンマに陥りやすくなるのではないでしょうか。事実、ワインのインポーターで上場までしているのは、ベルナーとエノテカくらいだったのではと思います。(エノテカはTOBにより上場廃止)
上記のような構造になっているんではと私は推測しています。規模の経済が働かない市場って、面白いなぁと思います。上記のような理由で、中堅くらいのインポーターの直営店で物色するのが好きです。