日本のサービス業の労働生産性が低いとよく批判されていますが、個人的には余り意味がない批判だと思っています。生産性の定義をWikipediaの生産性から引用すると次のようになります。
生産性(せいさんせい:productivity)とは、経済学で、生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度のこと。あるいは資源から付加価値を生み出す際の効率の程度のこと。
一定の資源からどれだけ多くの付加価値を生み出せるかという測定法と、一定の付加価値をどれだけ少ない資源で生み出せるかという測定法がある。
サービスにおける付加価値をどう考えるか難しいですが、サービスに支払ってもらえる料金とサービスの原価(時給や設備費用)の差が付加価値と考えても間違いじゃないでしょう。例えば、10分1000円の手揉みマッサージサービスがあったとして10分あたりのサービス原価が500円だとしたら、(フル稼働したとして)1時間当たりに付加価値は3000円になります。競争が激しくなって、15分1000円と料金を安くしたら、1時間当たりの付加価値は1000円となっています。生産性=アウトプット/インプットで計算すると、生産性は下がったことになりますよねぇ。生産性を上げるには時間当たりの単価を上げるしかありません。でも、適切な競争が起こって安くなっているのですから、料金アップなんか無理な訳なんですよ。(まぁ、生産性を上げる別の解としては、短い時間で同じ満足を与えるということがあります。5分で1000円にすれば生産性が上がりますよね。でも、純粋に時間が必要なサービスなので無理でしょう。)マッサージ業界の場合は、競争されていないから生産性が低いのではなく、競争されているから生産性が低いのです。
何が言いたいかというと、十把一からげにサービス業の生産性が低いと言っても仕方がないんじゃないのかということです。マッサージ業を例にとりましたが、似たような業種は多々あると思います。海外に旅行に行ったり生活したら解りますが、日本は驚くほど低料金で高品質のサービスを提供しているんですよね。この辺りは生産性には全く反映されていません。この辺りもちゃんと考慮してから物を言えよと思います。
事実、規制等での参入障壁の高さで生産性が低くなっている業界も多々あるのも事実だと思います。ちなみに、私はSIの会社にいますが、日本のITサービス業の生産性の低さは問題だと思います。これはまた別の話で。