さっき寝る前に積読してあった死神の精度を手に取って軽く読んでたら、結局最後まで読んでしまいました。伊坂幸太郎は、魔王に続き2冊目です。相変わらず書き方が上手いですね。伊坂幸太郎の得意とする(?)ちょっと特異な特徴を持つ主人公の物語。今回の主人公は死神です。
どこかの作家のエッセーで読んだのですが、非現実的な話にリアリティを持たせるには大きな非現実を中心に、周辺部分は徹底的にリアリティを持たせるのがコツだそうだ。例えば、阿部公房の砂の女みたいに。(阿刀田高か星新一が言ってたような気がします。)伊坂幸太郎の小説も、ご多分に漏れずその辺りが上手いです。ついでに文章が突き放したような透明感があって、独特の味がいいですね。
そんな話はどうでも良いのですが、この本は微妙に絡み合っている6つの短編で構成されています。推理小説風で事件や人間関係の背景が徐々に謎解かれていくのですが、根本的な謎は全く解かれないのが良い味を出しています。例えば主人公が時折自問している死神の仕事の意味とか。その肝心の部分が解らないもどかしさが、ページをめくらすのでしょうね。
私もそれなりに人生生きてきて人並みに出会いとか別れを経験してきた訳ですが、稀に人生の答え合わせをしたくなる時があります。あの時相手はどう考えてたのがとか、自分をどう感じてたのかとか。何十年後かに再開した時に聞いてみるのも一興かなと思う事もありましたが、知らないまま解らないまま生きていくのも良いかもなと思うようになりました。だって、全てを知ってしまうと興ざめですし、謎がない人生は退屈ですもん。