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「Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイド」という本を書きました

 AWS本の第三弾として、Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイドという本を書きました。その名のとおり、企業内でAWSを使うということにテーマを据えています。ユーザー企業の情シスの人も、事業部で直接AWSを使っている人も、或いはSIerでユーザー企業にAWSを提案している人にも読んで欲しい内容となっています。

Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイド

Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイド

  • 作者: NRIネットコム株式会社:佐々木拓郎,林晋一郎,株式会社野村総合研究所:瀬戸島敏宏,宮川亮,金澤圭
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018/01/20
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る

Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイドを書いた理由


 過去2冊AWSの本を書いていて、一冊目のAmazon Web Services パターン別構築・運用ガイドは、AWS上にサーバーサイドのシステムをどう作るのかをサービスを中心に解説しています。2冊目のAmazon Web Services クラウドネイティブ・アプリケーション開発技法は逆にアプリケーションエンジニア目線で、AWSのサービスを使ってどうやって楽してアプリを作るかという本です。
 3冊目であるAmazon Web Services 業務システム設計・移行ガイドは、技術ではなく利用する人をベースにしています。例えば、企業内でのアカウント管理。普通に使っていると、AWSアカウントは1つではなく5個10個とドンドン増えてきます。それをどう管理すれば良いのか。開発環境や本番環境を、1つのアカウントで運用するのか、或いは環境ごとにアカウントをわければ良いのか。ケースバイケースで違うのですが、その考え方を書いています。
 つまりこの本は、普段業務としてAWSの導入支援する際にユーザーから相談されることをベースに、その1つの解になるように目指しています。対象とする範囲は、アカウント管理やIAMユーザー管理、社内システムとの連携をベースにしたネットワーク設計からセキュリティ・データ移行・運用と多岐に渡ります。企業にAWSを導入する際には、必ず参考になると思います。

Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイドの構成


 本書は、7章構成です。 ページ数も400ページ弱と、前2作に比べて、だいぶ薄めになっています。最初にAWSのサービスを紹介した上で、2章で本書で取り扱う内容の説明と指針をかいています。その後、3章以降で具体論を解説しています。わりと実用的な内容になっているのではと思います。

Chapter1 AWSサービスの概要
Chapter2 全体設計(管理方針と移行計画)
Chapter3 アカウント管理と権限付与
Chapter4 ネットワーク接続の設計・構築・維持管理
Chapter5 システム設計とサービスの導入
Chapter6 移行テクニック
Chapter7 運用監視の設計・実施

Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイドの執筆陣


 本書は、NRIグループの5人で書いています。林 晋一郎さんは、1冊目であるAmazon Web Services パターン別構築・運用ガイドの共著者で、NRIネットコムでAWS構築・運用の実務面の責任者です。何十というシステムの構築・運用を手掛けて来て、運用する自分自身が困らない設計・構築技法を身に着けています。6章の移行テクニックと、7章の運用監視の設計・実施を執筆しました。
 瀬戸島 敏宏さんは、野村総合研究所でAWSの実務面を取り仕切っています。Amazon Web Servicesクラウドデザインパターン設計ガイドの改訂版も執筆していました。また、NRI主催の各種ハッカソンやOne JAPANという企業横断プロジェクトのNRI代表などをしている多芸な人です。今回は、5章のシステム設計とサービスの導入を執筆しています。
 宮川 亮さんは、NRIグループのAWS周りのネットワークを一手に引き受けるスペシャリストです。NRIが提供するダイレクトコネクトサービスの設計・運用責任者として、通信キャリアやAWSと日々ハードネゴシエイトしています。開設したダイレクトコネクトの数は、おそらく日本有数だと思います。4章のネットワーク接続の設計・構築・維持管理を執筆しました。
 金澤 圭さんは、普段は大手B2C企業のAWSシステム構築を担当しています。最近はもっぱらサーバーレスアーキテクチャに傾倒していますが、今回は業務システムの話を書いてもらいました。何気に5人の中で、担当した部分が一番多いです。3章のアカウント管理と権限付与と、5章のシステム設計とサービスの導入を執筆しています。
 私(佐々木拓郎)の方は、全体的な構成と1章のAWSサービスの概要と2章の全体設計(管理方針と移行計画)を担当しています。

 著者陣に共通するのは、みんなAWSを使い倒しているということです。SIerの中の人と聞くと、手配師になってExcel方眼紙を触るだけの人と想像するかもしれません。しかし、そんなやり方をしないメンバーが集まって、この本を書き上げました。

まとめというか感想


 本書は、とにかく執筆に苦労しました。下のコミット履歴をみてみると、2月くらいから手掛けていて出版までほぼ一年掛かっています。理由としては、今まで執筆してきた中で一番業務に直結することなので、どこまで書けばよいのか逆に解りづらくなってしまったことにあります。また執筆は、業務時間外の平日夜間や休日に書くこともあり、本書の内容から土日も仕事をしているような感じでモチベーションが沸かなかったこともあります。まぁ凄いメンバーで何とか書ききれたので、私としては満足です。

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Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイド

Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイド

  • 作者: NRIネットコム株式会社:佐々木拓郎,林晋一郎,株式会社野村総合研究所:瀬戸島敏宏,宮川亮,金澤圭
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2018/01/20
  • メディア: 単行本
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目次編
Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイドの目次


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