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『Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド』を書きました

 たまに呟いていましたが、AWSを題材に『Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド』という本を書きました。今回は、所属している会社であるNRIネットコム株式会社の同僚たちと書いています。

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド

本を書いた理由



 前回執筆した『Rubyによるクローラー開発技法』が好評だったこともあり、SBクリエイティブさんからAWS本を出さないかという打診を受けました。AWSは長年親しんできたこともあり、また仕事でもAWSに関する事業を進めている関係で、願ったり叶ったりでした。
 一方で、やはり本を出すというのは大変です。私個人の問題で済めば良いのですが、やはり家族にも負担をかけます。前回の出版から間もないこともあり悩みました。その結果、共著という形で社内のメンバーと分担して書くことにしました。お陰でだいぶスムーズに書くことができました。
 ちなみに、JAWSUGなど対外的な発表は私がすることが多いのですが、社内には私以上にAWSについて詳しい人間は何人もいます。そんなメンバーと一緒に執筆がしていると、改めて勉強になることが多く、一段階成長できたように思えます。

本書の構成



 章題は変わるかもしれませんが、5章構成になっています。

1. AWSの基本
2. AWSを利用する
3. パターン別構築例
4. AWSのセキュリティ
5. 管理と運用

 あっさりした章題ですが、450ページ以上の大作です。1&2章が、AWSの概念と基本的な利用の仕方、3〜5章が実際の構築運用を見据えたパートとなっています。EC2やS3,RDSは無論のこと、SNS,SQS,SESをはじめとするアプリケーションサービスなども取り入れ、AWSのポテンシャルを引き出す使い方を大公開しています。
 書く段階から意識してきたことは、単なる使い方ではなく考え方を伝えたいということです。AWSはサービスのアップデートが早いので単なる使い方を書くだけであれば、すぐに時代遅れになります。考え方を伝えることが出来れば、例え新しいサービスが出てきたとしても役に立つはずです。そういう前提のもと、構築・運用とセキュリティについてしっかり書いてきたつもりです。
 あとはCloudAutomatorやTwilio,SendGrid,Mackrelなど、AWSと一緒に使うことをお勧めするサービスを幾つか紹介しています。そのあたり、割りと自由に書いたので楽しかったです。

対象としている読者



 本書の対象としては、AWSを少し使ったことがあるものの、本格的に使うには至っていない人を想定しています。JAWSUGの参加者たちから、よく相談を受けるポイントを意識しています。AutoScalingの設定のポイントや、セキュリティグループとネットワークACLの使い分けなどが一例ですね。
 一方で1〜2章で基本的な使い方を書いたので、初めての人でも大丈夫なようにしています。ここの部分、さらっと書く予定が気が付いたら150ページ超です。社内やお客さんとの研修で使えるなぁと話しています。
 また、ElasticBeanstalkのWorker TierやRoute53,IAMの運用なども書いているので、熟練者でも楽しんで頂けるのではと思います。あとはCognitoを使ったモバイルの2Tierアーキテクチャなど、わりと新しい取り組みもしています。それ以外にもAWSの導入を検討するにあたって避けては通れないコストとセキュリティについても取り上げています。社内を説得する一助になればと思います。
 実際、私も他のメンバーが書いたところを読んで、なるほどなぁと思うところが多々ありました。この本は、インフラ寄りの人間、アプリ寄りの人間、AWSを使ったシステムの導入を提案する人間、小規模から大規模なAWSのシステムを運用し続けてきたメンバーで書き上げられています。色々な視点を織り込んだものになっているので、どんな人にもきっと新しい気付きがあると思います。

苦労した点



 AWSのサービスアップデート多すぎです。利用者としては嬉しいですが、書いていてこれ程大変なことはなかったです。特に最近でたIAMのManaged Policy。これのお陰で、最後の最後で書き直す場所が沢山でました。※いや、Managed Policyは素晴らしい機能ですよ。これ使えば、運用設計がだいぶ楽になります。

まとめというか感想



 11月から執筆の話が始まり、ようやくここまで辿りつけました。その間、やはり嫁さんや子どもたちには迷惑掛けっぱなしでした。今回も家族の協力のお陰で何とか書き上げることができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。
 また今回は会社のメンバーと共著です。彼らと一緒に執筆できて、本当に良かったです。ややもすると、私がボトルネックになることが多く、それを適切にフォローしてもらうことにより何とか完成させることができました。ありがとうございます。
 3/25発売なので、あと数週間です。最後の最後まで校正して、できるだけ良い物を届けます。サブタイトルは、「プロの知識が絶対に身に付く」です。これ読んで、プロの知識を身につけましょうw
※タイトル・サブタイトルは、出版社側が決めました。


続き
AWSパターン別本の狙い。例えばAutoScalingを使えるように


Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド


See Also:
『Rubyによるクローラー開発技法』を書きました
本を書く前に準備したこと、執筆中にしていたこと