どこぞの公式ブログっぽいタイトルになりましたが、AmazonのクラウドであるAWSの仮想サーバのec2に新タイプのインスタンスが追加されました。T2タイプです。その名の通り、t1.microの後継です。t1.microは、全インスタンスタイプの中で唯一CPUのバースト特性を持ったインスタンスです。バースト特性とは、短期的(十秒程度)に本来のCPU性能以上のリソースを利用できる機能です。サーバの用途として、普段のCPU使用率は10%以下でたまに跳ね上がるというものは割りと多いので、バースト特性は割りと面白いサービスです。しかし、t1.micorは、メモリが0.613GBです。21世紀になって14年という時を考えると、余りにストイック過ぎました。
T2シリーズとは
そこで登場したのが、今回のT2シリーズです。ラインナップは、microだけでなくsmall,mediumもあります。当然、メモリも増量です。1GB,2GB,4GBと、それなりのミドルウェアをインストールできるレベルです。価格もm1,m3シリーズより安いです。以下、東京リージョンでの参考価格です。
名前 | vCPUs | ベースライン性能 | RAM (GiB) | 1時間あたりのCPUクレジット | 1時間あたりの料金 | Price / Month |
---|---|---|---|---|---|---|
t2.micro | 1 | 10% | 1.0 | 6 | $$0.020 | $14.60 |
t2.small | 1 | 20% | 2.0 | 12 | $0.040 | $29.20 |
t2.medium | 2 | 40% | 4.0 | 24 | $0.080 | $58.40 |
ベースラインやCPUクレジットの考え方は、バースト特性に深く関わります。どれだけバースト期間が続き、性能がどれくらいでるのかということです。私自身も、まだ深く検証していなので、そのうち試してみたいです。
旧シリーズとの性能・コスト比較
一般的な話をすると常にCPUの利用率が50%以上を上回っているような使い方をしている場合は、かなり効率的に利用できていると思います。Webサーバ用途などであれば、可用性のために冗長構成を基本とすると、割りと低いCPU利用率になることが多いのではないでしょうか。そんな際に、T2シリーズを利用するとコスト削減効果が高いと思います。参考のために、m1.smallとt2.small、m3.mediumとt2.mediumの対比を見てみましょう。
名前 | 比較対象 | m*シリーズとのCPU | m*シリーズとのメモリ比 | m*シリーズとのコスト比 |
---|---|---|---|---|
t2.micro | t1.micro | - | 1.62倍 | 0.77倍 |
t2.small | m1.small | 1vCPU | 1.18倍 | 0.66倍 |
t2.medium | m3.small | 1vCPU | 1.07倍 | 0.79倍 |
バースト特性をどう評価するか難しいところがありますが、m1.smallに対してt2.smallのコスト効果が高いことが解ります。
注意点
t2インスタンスは、r3と同様にHVMタイプのAMIのみ利用できます。HVMは、Hardware Virtual Machineの略で日本語訳が完全仮想です。何に対して完全かというと、もうひとつの仮想化方式であるparavirtual(準仮想)です。旧来のAMIはparavirtual方式で作られていて、最近はHVM形式で提供されることが多いです。色々な所で、いつHVMベースに変えるか議論されていますが、そろそろ新規のインスタンスについてはHVMを使い、旧来のAMIも可能であればHVMに変更するという方向に舵を切ったほうがよさそうですね。
まとめ
可能であれば、m1.smallはt2.smallに乗り換えた方が良いですよという話です。AMIのHVMからparavirtualへの再構築も、Chefのような仕組みを使っていれば簡単にできるんでしょうね。
参照:
Amazon Web Services ブログ: 【AWS発表】バースト可能な性能を持つ新しい低コストEC2インスタンス