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「指導の徹底」は対策ではない!!JR西日本は何を学んだのか?

 ほのぼのニュースとして、JR西日本の奈良線六地蔵駅の二度寝の報告が話題になっています。
奈良線 六地蔵駅の営業開始が遅延した事象について:JR西日本

4 原因
 六地蔵駅の社員が起床後に二度寝したためです。

5 対策
 指導教育を徹底し、同様の事象を二度と発生させないよう努めてまいります。

 ネットの反応は割と好意的で、報告書で二度寝という部分に受けているようです。まぁ少しのミスも許されずバッシングされるような社会になると余裕が無くなって、かつての重大事故の二の舞になると思うので、よい傾向なのかなぁと思います。


 一方でJR西日本の事象報告については、問題があると思います。原因と対策の内容についてです。まず原因についてですが、二度寝の為と端的に書いてあります。一点の間違いは無いと思います。しかし、原因には、直接原因と根本原因の二種類があります。ここで書かれているのは、直接原因です。これに対して根本原因はどういったものでしょうか?例えば寝坊という直接原因の裏に、過酷な勤務体系で終電業務から始発業務の時間差が数時間しかなくて充分な休息が取れないとかが根本原因になります。(今回の場合の根本原因は解りませんが)
 直接原因だけ見てると、寝坊しないように気を引き締めろという精神的な対策になりますが、根本原因をみると業務体制の見直し等が出来るかもしれません。というところで、今回の原因と対策は深堀りが足りないと思います。さらに言うと人間は必ずミスをするものです。だからミスをするという前提で、どうやって問題の発生を防ぐのか。また問題が発生しても被害を最小限にする方法をどう構築するかが対策になります。


 この辺りを学問として研究しているのが失敗学です。

恥や減点の対象ではなく、肯定的に利用することが、失敗を生かすコツ。個人の成長も組織の発展も、失敗とのつきあい方で大きく違う。さらに新たな創造のヒントになり、大きな事故を未然に防ぐ方法も示される―。「失敗は成功の母」を科学的に実証した本書は、日本人の失敗に対する考えを大きく変えた。

JR西日本内でも研究されていて『事例でわかるヒューマンファクター』として社内外に配布されていて、高い評価を得ているようです。現場にまでしっかり浸透されることを切に願います。


See Also:
失敗学の教材