プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

技術書典18 オフラインに新刊『AWS の薄い本6 IAMのマニアックな話2025』とともに出展してきました(売上報告)

 2025年6月1日に池袋サンシャインシティで開催された技術書典18 オフライン開催にブース出展してきました。今回は、自身の新刊と会社の同僚3人が書いた委託本を引っ提げての参加です

技術書典18のブースの様子
技術書典18のブースの様子

新刊について

 今回の新刊については、JAWS Daysのセッション等で書くと宣言していたIAMのマニアックな話2025です。他の勉強会含めて数百人の前で書くと宣言していたので、なんとか期限が間に合って出版できてホッとしております。

AWSの薄い本6 IAMのマニアックな話
AWSの薄い本6 IAMのマニアックな話

techbookfest.org

各章のテーマ

目次

第1章 IAMの基礎と進化
 1.1 AWSアカウントと IAMの関係
  1.1.1 AWSアカウントと IAM
  1.1.2 AWS Organizationsと AWSアカウント
  1.1.3 AWS Organizationsと IAM
 1.2 IAMの基本的な4つの機能
  1.2.1 IAMユーザー
  1.2.2 IAMグループ
  1.2.3 IAMロール
  1.2.4 IAMポリシー
 1.3 2019年~2025年の IAM関連のアップデート
  1.3.1 主なアップデートの一覧
  1.3.2 IAM関連のアップデートの潮流
 1.4 まとめ

第2章 AWS Organizationsと IAM
 2.1 AWS Organizations
  2.1.1 AWS Organizationsの概要
  2.1.2 AWS Organizationsの構成要素
  2.1.3 組織単位(OU)と階層構造
 2.2 組織ポリシー—承認ポリシーと管理ポリシー
  2.2.1 サービスコントロールポリシー(SCP)
  2.2.2 リソースコントロールポリシー(RCP)
  2.2.3 SCPと RCPのユースケースの違い
  2.2.4 タグポリシー
 2.3 AWS Organizationsと IAMの関係
  2.3.1 IAMの権限に対する SCPの位置づけ
  2.3.2 IAMの権限に対する RCPの位置づけ
  2.3.3 ポリシーの評価ロジック
  2.3.4 IAM Identity Centerとの連携
  2.3.5 アカウントをまたいだ IAMロールの利用(クロスアカウントアクセス)
  2.3.6 IAM Access Analyzerと Organizations
 2.4 まとめ

第3章 AWS IAM Identity Centerと IAM
 3.1 IAM Identity Centerの概要
  3.1.1 AWS IAM Identity Centerとは何か
  3.1.2 IAM Identity Centerと IAMの役割の違い
 3.2 構成要素と動作の仕組み
  3.2.1 インスタンス
  3.2.2 アイデンティティソースの選択肢
  3.2.3 許可セット(Permission Set)と IAMロールの関係
 3.3 マルチアカウント時代における IAM Identity Centerの必然性と課題
  3.3.1 許可セット設計の難しさとスケーラビリティの限界
  3.3.2 SCIM連携・外部 IdP統合時の権限割り当て運用の複雑さ
  3.3.3 IdPが1組織に1つしか設定できないという制約
  3.3.4 管理主体の分散による運用の複雑化
 3.4 課題を解決するための設計パターン例
 3.5 まとめ

第4章 IAM Access Analyzerと CCoE
 4.1 IAM Access Analyzerの基本
  4.1.1 IAM Access Analyzerとは
  4.1.2 外部アクセスアナライザー
  4.1.3 未使用アクセスアナライザー
  4.1.4 ポリシー生成
  4.1.5 ポリシーチェック
  4.1.6 カスタムポリシーチェック
 4.2 IAM監査体制と CCoEの役割
  4.2.1 組織全体で実現する IAM監査体制と CCoEの役割
  4.2.2 IAM監査における代表的なチェックポイントと Access Analyzerの役割
  4.2.3 リアルタイム監査の実装と組織
 4.3 AIを活用したポリシー提案への夢
  4.3.1 なぜ AIが必要なのか ~現状の課題と AI導入の意義~
 4.4 まとめ

第5章 AWS Verified Accessと IAM
 5.1 AWS Verified Accessの概要
 5.2 AWS Verified Accessの構成要素
  5.2.1 Verified Accessインスタンス
  5.2.2 信頼プロバイダー(Trust Provider)
  5.2.3 Verified Accessグループ
  5.2.4 Verified Accessエンドポイント
  5.2.5 Verified Accessポリシー
  5.2.6 Verified Accessのアーキテクチャ構成例
 5.3 Verified Accessと IAMの関係
  5.3.1 Verified Accessのユースケース
  5.3.2 IAMロールと Verified Accessの関係
 5.4 ゼロトラスト時代の認証認可のあり方
  5.4.1 Verified Accessの役割
  5.4.2 デバイス認証
 5.5 まとめ

第6章 IAMベストプラクティス集
 6.1 IAMベストプラクティスの変遷
  6.1.1 削除されたベストプラクティス
  6.1.2 追加されたベストプラクティス
 6.2 ベストプラクティスに向けての対応事項
  6.2.1 長期認証情報から一時的な認証情報への移行
  6.2.2 Access Analyzerの活用
  6.2.3 多要素認証の位置づけと管理
  6.2.4 ガードレール設計
  6.2.5 最小権限の実現方法の高度化
  6.2.6 マルチアカウント環境のガバナンス強化
  6.2.7 権限委任の体系化
  6.2.8 自動化とツールの活用
 6.3 AWS Well-Architected Frameworkと IAM
  6.3.1 ID管理のベストプラクティス
  6.3.2 アクセス許可の管理
 6.4 まとめ

第7章 長期認証情報から一時的な情報へ、そして動的認可
 7.1 IAMユーザーによる長期認証の時代
  7.1.1 長期認証情報の特徴と課題
 7.2 IDフェデレーションと IAMロールによる一時的な認証への移行
  7.2.1 IDフェデレーションと一時的な認証情報の仕組み
  7.2.2 一時的な認証情報がもたらす利点
 7.3 コンテキストベースの動的認証・認可へ
  7.3.1 属性ベースのアクセス制御(ABAC)の導入
  7.3.2 コンテキストベースのアクセス制御(CBAC)に向けて
  7.3.3 AWS Verified Accessの可能性
  7.3.4 AWS IAM Roles Anywhereによる柔軟な認証
 7.4 AWS TEAMによる承認ベースの認可設定
  7.4.1 従来のスイッチロールの課題
  7.4.2 TEAMのアーキテクチャと動作
  7.4.3 TEAMの今後

第8章 IAMユーザーゼロへの移行ステップ
 8.1 Step 1: 現状分析と移行計画の策定
  8.1.1 現状の IAMユーザーの棚卸し
  8.1.2 利用パターンの分類と分析
  8.1.3 代替手段の選定
  8.1.4 移行優先順位の決定
  8.1.5 タイムラインの設定
 8.2 Step 2: AWS Identity Centerへの移行準備
  8.2.1 AWS Identity Centerの初期設定
  8.2.2 IDプロバイダーの選定と連携設定
  8.2.3 権限セットの設計
  8.2.4 グループとロールのマッピング設計
  8.2.5 先行ユーザーによる検証
 8.3 Step 3: プログラムアクセスの移行
  8.3.1 プログラムアクセスの移行戦略
 8.4 Step 4: 段階的な移行実施
  8.4.1 開発環境での先行実施
  8.4.2 パイロットユーザーでの検証
  8.4.3 グループ単位での順次移行
  8.4.4 並行運用期間の設定
  8.4.5 移行完了の確認
 8.5 Step 5: IAMユーザーの無効化と削除
  8.5.1 アクセスキーの無効化
  8.5.2 IAMユーザーのログイン無効化
  8.5.3 一定期間の監視
  8.5.4 問題がないことの確認
  8.5.5 IAMユーザーの完全削除
 8.6 緊急時の代替手段の確保
  8.6.1 緊急時専用アカウントの設定
  8.6.2 クロスアカウントロールの設定
  8.6.3 緊急アクセス手段の管理と監査
 8.7 まとめ

第9章 まとめと今後のトレンド
 9.1 IAMの今後の進化予測
  9.1.1 IAM Identity Centerの今後の展開
  9.1.2 IAMと AWS Verified Permissionsの連携
  9.1.3 AWS Verified Accessとコンテキストベースのアクセス制御
  9.1.4 AIによる IAMポリシーの自動最適化
 9.2 それでも単一アカウントの世界は残る
  9.2.1 進化の裏で残り続ける「昔ながらの IAM」
  9.2.2 なぜ「昔ながらの IAM」が残るのか
  9.2.3 未来と現実のバランス
 9.3 IAM管理者の今後
  9.3.1 IAM管理者の役割の変化
  9.3.2 今後の IAM管理者に求められるスキル
  9.3.3 IAM管理者のキャリアパスと学び
 9.4 まとめ

あとがき
 著者紹介
 既刊一覧

委託本について

当日は、同僚3人が書いた新刊を委託本としても販売しました。前回は、私含めての合同誌として出していたのですが、今回は私抜きの合同誌です。企画から製本まで同僚たちだけで実現していました。なんか成長が見て取れるようで、嬉しい限りです。そのうちに、それぞれが1冊出してみるということにも挑戦してくれることでしょう
「AWS、それぞれの戦い方」 ー認証基盤・ファイアウォール・データ移行との実践記ー

「AWS、それぞれの戦い方」 ー認証基盤・ファイアウォール・データ移行との実践記ー
「AWS、それぞれの戦い方」 ー認証基盤・ファイアウォール・データ移行との実践記ー

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当日のオフライン会場での売れ行きと考察

 さて、皆さんお待ちかねの売上報告です。今回は事前告知が不十分だったものの、比較的順調な売れ行きでした。全部で264冊売れて、そのうち208冊は新刊です。ほぼ8割が新刊ですね。委託販売も45冊としっかりと売れていたので、安心しました。既刊の動きをみると、もう流石に大きな動きはないものの全部まとめてなどの購入のされ方もあって、並べることの効果はまだまだありそうです。

 今回、新刊1冊+既刊6冊+委託本1冊と合計8冊も並べたこともあって、どれを買ったらいいのか悩んでいる人が結構いました。悩んでいる人には、簡単にそれぞれの本の特徴を案内をしていました。これはこれで、ブース出展の醍醐味ではあります。が、もう少し説明書きを増やした方がいいような気がしました。特にIAM本が2冊になったことで混乱に拍車をかけていました。初代IAM本はポリシーと運用設計の話であり、今回のIAM本2025はIAMの組織運用の話です。それぞれ別の目的の本ですよというのが、展示でしっかり解る必要があったかなと思います。


※簡易集計のために、微妙に数字が間違っています

過去開催回との比較と今後の展開の検討

 過去に出展した回の売れ行きと、技術書典全体の来場者数の推移をまとめてみました。新型コロナ前の最後の物理開催回である技術書典7は、1万人近くに人が来場しています。その後に物理開催を再開した14以降は、入場数の制限もあり2千人超の来場者で安定しています。今の自分の技術同人誌のテーマ設定としては、ニッチな部分を深ぼるという方針です。その方針の場合、だいたい会場の5〜8%くらいが興味をもってくれているようです。もちろんテーマによってこの数字は変わると思います。オフライン単体だと、今の冊数くらいが限界だと思うので、次回以降の執筆戦略についても考えていきます。

 一方で、オンライン開催が終わった後に別途ブログを書こうと思いますが、オンライン化のトレンドが花開こうとしているように思えます。オフラインの販売数の伸びに対して、オンラインの伸び率がすごく高いです。これは技術書典の会員数が増えて、会場にこれない人がオンラインで購入する。またSNS等の評判を聞いて、当日買わなかった本をオンラインで買う人が増えているのだと思います。これは、主催者の狙い通りだと思います。凄いなぁと思いつつ、それに向けてサークル主としてはどうすべきかも今後考えていく必要があります。

時間 技術書典7 技術書典14 技術書典15 技術書典17 技術書典18
11:00
151冊
43冊
24冊
42冊
62冊
12:00
94冊
37冊
23冊
43冊
55冊
13:00
82冊
48冊
30冊
37冊
48冊
14:00
43冊
25冊
49冊
28冊
47冊
15:00
45冊
22冊
26冊
28冊
24冊
16:00
36冊
11冊
4冊
17冊
19冊
合計
451冊
186冊
156冊
195冊
264冊
来場者数
9,700人
2,100人
2,200人
2,600人
2,800人

※集計漏れ等もあり、数字が一致しないところがあります(合計値が正しい)

次回に向けての準備

 技術書典への物理出展は、今回で6回目です。わりと手慣れて来ましたが、まだまだ抜け漏れが多いです。今回準備を忘れていた事項を、次回に備えて箇条書きで残しておきます。

  • テーブル背後に設置するポスタースタンド(200cm以内)
  • 新刊があることを強調して告知する方法
  • 商品の選択ガイド

まとめ

 今回は、会社の同僚たちだけで新刊を出した&自分も新刊を出せたということで、かなり大成功だったと思います。自分の新刊については、もっと早く書いて早割を活用したかったのですが、そこは無理でした。また、Cursor(AIを活用したエディタ)を始めて導入し、だいぶサポートのされ方もわかってきました。47歳になっても少しづつ成長できているということを信じて、今後とも頑張っていきたいものです。

 ということで、新刊『AWSの薄い本6 IAMのマニアックな話 2025』をよろしくお願いします。2025年6月15日まで、技術書典オンラインで物理本+電子版を送料無料で購入できます!!また、BOOTHでも販売中です。

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IAMのマニアックな話2025と初代IAM本の違い

こんにちは、佐々木です。(@dkfj)です。
この記事では、私が2025年に新しく書き下ろした技術同人誌 『AWSの薄い本6 IAMのマニアックな話2025』 と、2019年に刊行した 『AWSの薄い本Ⅰ IAMのマニアックな話(初代)』 を並べて、「何がどう変わったのか」を整理します。どちらを手に取るか迷っている方や、すでに初代をお持ちで「改訂版?それとも続編?」と思われた方の参考になれば幸いです。

最初に結論 ── 2025年版は“改訂版”ではなく完全新作の続編

 結論から言うと、2025年版は初代を加筆修正した“第2版”ではありません。ゼロから構成を起こし、最新のAWS IAM & Organizations事情を踏まえて書き下ろした一冊です。
 そのため、初代を読破済みの方でも「重複ページが続く…」という退屈さはありません。むしろ、IAMを取り巻く“組織的な運用”というまったく別のレイヤーにフォーカスしているので、初代とは全く違う知見が得られるはずです。

初代(2019 年):IAM 設計ノウハウにフォーカス

 初代は、私自身が 幾つものAWSアカウントの IAM 設計を支援する中で得た知見を、「どうやって最小権限をモデリングするか」とその「IAM設計を持続可能で運用できるか」いう点に収斂させた本でした。

  • ユーザー/ロール/ポリシーの正しい分割
  • クロスアカウントロールを使った実践的な管理
  • 大きすぎる権限と細かく管理する設計負荷のバランスの取り方

といった“粒度の細かいレシピ”を中心に据えています。いわば自分のIAM設計のノウハウをそのまま本にしたイメージで、実際のJSON サンプルなども多数掲載していました。

2025 年版:Organizations 時代の 運用戦略が主役

 一方の 2025 年版は、「マルチアカウント前提で IAM をどう回すか」が主題です。AWS Organizations、 IAM Identity Center(旧 SSO)といった 組織レベルの仕組み を軸に、

  • OU階層の設計と権限境界と、リソースベースのアクセス制御の関係
  • タグベースの ABAC など、IAMの新機能とその出現の背景
  • IAM Access Analyzerに対する期待
  • Verified Permissions / Verified Access とアプリ認可の可能性
  • IAMユーザーゼロへの道と、“緊急アクセス経路(BreakGlass)”の二律背反に向き合う

など、「ポリシーを書き終えたその後に待ち受けるリアル運用」を豊富な事例付きで掘り下げました。IAM 自体の文法解説は極小で、組織全体のガバナンスフレームワークとしてどう活かすかを重視しています。

 初代が主に扱ったのは IAM Access Analyzer 前夜 の IAM でしたが、2025 年版はこれら転換点をすべて踏まえた上で「次の5年を見据えた運用」を提案しています。

今後の AWS 管理 を勝手に予測

2025年本では、IAMの現在を語るだけでなく隣接領域まで視野を拡大し、次のようなトピックを論じました。

  • IAM Identity Centerの今後 —— 承認ベースの権限付与はどうなるか
  • AI によるIAMポリシージェネレーション —— LLM が最小権限を“提案”する時代
  • Context-Base Access Control (CBAC) —— AIのさらなる普及で“アクセスのコンテキスト”を判断する
  • IAM 管理者のキャリアパス —— IAM管理からCCoEへ

これらは単なる未来予想図ではなく、今のIAMに必要(不足している)なことを自分なりに整理したものです

どちらを読むべき?── ざっくり選書ガイド

  • まず IAM 設計の基礎を固めたい → 初代(2019)
  • マルチアカウント運用に踏み出す予定 → 2025 年版
  • 両方買うとシナジーが高い → 設計レシピ×運用戦略で“二刀流”に

旧版で権限モデリングを学び、最新版で OU やタグ戦略まで引き上げれば、組織横断でスケールする IAM 基盤が完成します。

おわりに

「IAM は“書いたら終わり”ではなく“運用が始まってからが本当のスタート”」

IAMに関しては、この一言に尽きます。ポリシー構築が終わった瞬間から、より長い 運用フェーズ が始まります。

初代を書いた 2019 年当時は、“最小権限の設計図” を示すだけで十分価値がありました。しかしいまは Organizations 時代の“運用設計図” まで描くことが、クラウド基盤の安全と俊敏性を両立させるカギです。

ちなみに今作からナンバリングをギリシア数字(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)からアラビア数字(1、2、3)に変更しました。これは、自分がⅤ(5)以上がぱっと認識できないからです。Ⅳもかなり怪しかったけど。。。

AWSの薄い本6 IAMのマニアックな話2025
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AWSの薄い本Ⅰ IAMのマニアックな話(初代, 2019)
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技術書典18にあわせて、IAMのマニアックな話の続きを書きました(改訂ではなく、別の本です)

本日、2025年5月31日から始まる技術書典18にあわせて、IAMのマニアックな話のその後の話を書きました。


AWSの薄い本6 IAMのマニアックな話2025

 IAMのマニアックな話2025は、過去に書いたIAM本の改訂ではなく全く別の本として執筆しています。1作目は、主に単一アカウントでどのように設計するかがテーマでした。今回の本は、組織アカウントの中のIAMという視点で書いています。また、IAMがどこに向かっているのか、個人的な見解を述べています。全104ページの力作です!!

IAMのマニアックな話2025の目次

第1章 IAMの基礎と進化
 1.1 AWSアカウントと IAMの関係
  1.1.1 AWSアカウントと IAM
  1.1.2 AWS Organizationsと AWSアカウント
  1.1.3 AWS Organizationsと IAM
 1.2 IAMの基本的な4つの機能
  1.2.1 IAMユーザー
  1.2.2 IAMグループ
  1.2.3 IAMロール
  1.2.4 IAMポリシー
 1.3 2019年~2025年の IAM関連のアップデート
  1.3.1 主なアップデートの一覧
  1.3.2 IAM関連のアップデートの潮流
 1.4 まとめ

第2章 AWS Organizationsと IAM
 2.1 AWS Organizations
  2.1.1 AWS Organizationsの概要
  2.1.2 AWS Organizationsの構成要素
  2.1.3 組織単位(OU)と階層構造
 2.2 組織ポリシー—承認ポリシーと管理ポリシー
  2.2.1 サービスコントロールポリシー(SCP)
  2.2.2 リソースコントロールポリシー(RCP)
  2.2.3 SCPと RCPのユースケースの違い
  2.2.4 タグポリシー
 2.3 AWS Organizationsと IAMの関係
  2.3.1 IAMの権限に対する SCPの位置づけ
  2.3.2 IAMの権限に対する RCPの位置づけ
  2.3.3 ポリシーの評価ロジック
  2.3.4 IAM Identity Centerとの連携
  2.3.5 アカウントをまたいだ IAMロールの利用(クロスアカウントアクセス)
  2.3.6 IAM Access Analyzerと Organizations
 2.4 まとめ

第3章 AWS IAM Identity Centerと IAM
 3.1 IAM Identity Centerの概要
  3.1.1 AWS IAM Identity Centerとは何か
  3.1.2 IAM Identity Centerと IAMの役割の違い
 3.2 構成要素と動作の仕組み
  3.2.1 インスタンス
  3.2.2 アイデンティティソースの選択肢
  3.2.3 許可セット(Permission Set)と IAMロールの関係
 3.3 マルチアカウント時代における IAM Identity Centerの必然性と課題
  3.3.1 許可セット設計の難しさとスケーラビリティの限界
  3.3.2 SCIM連携・外部 IdP統合時の権限割り当て運用の複雑さ
  3.3.3 IdPが1組織に1つしか設定できないという制約
  3.3.4 管理主体の分散による運用の複雑化
 3.4 課題を解決するための設計パターン例
 3.5 まとめ

第4章 IAM Access Analyzerと CCoE
 4.1 IAM Access Analyzerの基本
  4.1.1 IAM Access Analyzerとは
  4.1.2 外部アクセスアナライザー
  4.1.3 未使用アクセスアナライザー
  4.1.4 ポリシー生成
  4.1.5 ポリシーチェック
  4.1.6 カスタムポリシーチェック
 4.2 IAM監査体制と CCoEの役割
  4.2.1 組織全体で実現する IAM監査体制と CCoEの役割
  4.2.2 IAM監査における代表的なチェックポイントと Access Analyzerの役割
  4.2.3 リアルタイム監査の実装と組織
 4.3 AIを活用したポリシー提案への夢
  4.3.1 なぜ AIが必要なのか ~現状の課題と AI導入の意義~
 4.4 まとめ

第5章 AWS Verified Accessと IAM
 5.1 AWS Verified Accessの概要
 5.2 AWS Verified Accessの構成要素
  5.2.1 Verified Accessインスタンス
  5.2.2 信頼プロバイダー(Trust Provider)
  5.2.3 Verified Accessグループ
  5.2.4 Verified Accessエンドポイント
  5.2.5 Verified Accessポリシー
  5.2.6 Verified Accessのアーキテクチャ構成例
 5.3 Verified Accessと IAMの関係
  5.3.1 Verified Accessのユースケース
  5.3.2 IAMロールと Verified Accessの関係
 5.4 ゼロトラスト時代の認証認可のあり方
  5.4.1 Verified Accessの役割
  5.4.2 デバイス認証
 5.5 まとめ

第6章 IAMベストプラクティス集
 6.1 IAMベストプラクティスの変遷
  6.1.1 削除されたベストプラクティス
  6.1.2 追加されたベストプラクティス
 6.2 ベストプラクティスに向けての対応事項
  6.2.1 長期認証情報から一時的な認証情報への移行
  6.2.2 Access Analyzerの活用
  6.2.3 多要素認証の位置づけと管理
  6.2.4 ガードレール設計
  6.2.5 最小権限の実現方法の高度化
  6.2.6 マルチアカウント環境のガバナンス強化
  6.2.7 権限委任の体系化
  6.2.8 自動化とツールの活用
 6.3 AWS Well-Architected Frameworkと IAM
  6.3.1 ID管理のベストプラクティス
  6.3.2 アクセス許可の管理
 6.4 まとめ

第7章 長期認証情報から一時的な情報へ、そして動的認可
 7.1 IAMユーザーによる長期認証の時代
  7.1.1 長期認証情報の特徴と課題
 7.2 IDフェデレーションと IAMロールによる一時的な認証への移行
  7.2.1 IDフェデレーションと一時的な認証情報の仕組み
  7.2.2 一時的な認証情報がもたらす利点
 7.3 コンテキストベースの動的認証・認可へ
  7.3.1 属性ベースのアクセス制御(ABAC)の導入
  7.3.2 コンテキストベースのアクセス制御(CBAC)に向けて
  7.3.3 AWS Verified Accessの可能性
  7.3.4 AWS IAM Roles Anywhereによる柔軟な認証
 7.4 AWS TEAMによる承認ベースの認可設定
  7.4.1 従来のスイッチロールの課題
  7.4.2 TEAMのアーキテクチャと動作
  7.4.3 TEAMの今後

第8章 IAMユーザーゼロへの移行ステップ
 8.1 Step 1: 現状分析と移行計画の策定
  8.1.1 現状の IAMユーザーの棚卸し
  8.1.2 利用パターンの分類と分析
  8.1.3 代替手段の選定
  8.1.4 移行優先順位の決定
  8.1.5 タイムラインの設定
 8.2 Step 2: AWS Identity Centerへの移行準備
  8.2.1 AWS Identity Centerの初期設定
  8.2.2 IDプロバイダーの選定と連携設定
  8.2.3 権限セットの設計
  8.2.4 グループとロールのマッピング設計
  8.2.5 先行ユーザーによる検証
 8.3 Step 3: プログラムアクセスの移行
  8.3.1 プログラムアクセスの移行戦略
 8.4 Step 4: 段階的な移行実施
  8.4.1 開発環境での先行実施
  8.4.2 パイロットユーザーでの検証
  8.4.3 グループ単位での順次移行
  8.4.4 並行運用期間の設定
  8.4.5 移行完了の確認
 8.5 Step 5: IAMユーザーの無効化と削除
  8.5.1 アクセスキーの無効化
  8.5.2 IAMユーザーのログイン無効化
  8.5.3 一定期間の監視
  8.5.4 問題がないことの確認
  8.5.5 IAMユーザーの完全削除
 8.6 緊急時の代替手段の確保
  8.6.1 緊急時専用アカウントの設定
  8.6.2 クロスアカウントロールの設定
  8.6.3 緊急アクセス手段の管理と監査
 8.7 まとめ

第9章 まとめと今後のトレンド
 9.1 IAMの今後の進化予測
  9.1.1 IAM Identity Centerの今後の展開
  9.1.2 IAMと AWS Verified Permissionsの連携
  9.1.3 AWS Verified Accessとコンテキストベースのアクセス制御
  9.1.4 AIによる IAMポリシーの自動最適化
 9.2 それでも単一アカウントの世界は残る
  9.2.1 進化の裏で残り続ける「昔ながらの IAM」
  9.2.2 なぜ「昔ながらの IAM」が残るのか
  9.2.3 未来と現実のバランス
 9.3 IAM管理者の今後
  9.3.1 IAM管理者の役割の変化
  9.3.2 今後の IAM管理者に求められるスキル
  9.3.3 IAM管理者のキャリアパスと学び
 9.4 まとめ

あとがき
 著者紹介
 既刊一覧

2025年6月1日の池袋・サンシャインシティでのオフライン販売について

 6月1日の池袋・サンシャインシティ池袋展示ホールD(文化会館ビル2F)でのオフライン頒布会にも、もちろん出展します。
サークル名は『ササキです』で、場所は『お11』です。

 会場には終日いますが、メンバーで交代予定です。当日の予定は、後ほどアップデートします。非番の時にもブースにいる可能性はありますが、会場内をうろついている可能性が高いです。直接の御用がある時は、アップデート後の当番表を見てお伺いください。

オンライン販売について

 オンライン販売については、BOOTHと技術書典で販売します。Amazon Kindle版は9月以降に販売予定です。
技術書典オンラインの場合は、7月4日以降にまとめて発送になります。送料は無料です。
BOOTH版は入庫作業完了次第に発送となります。恐らく6月10日以降の発送になります。今でも購入受けつけていますが、配送サイズが未確定のために送料が少し高くなっています。入庫後を待って購入の方がいいかもしれません。

 最速で物理本を手に入れるには、6/1のオフライン頒布会に参加いただくことです。入場には事前に手続きが必要なのでご注意ください(無料です)

オフライン頒布会に向けて

お待ちしています!!

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re:Inventに持って行って良かった小物

 re:Invent本編のレポートが書けないままに、小ネタ系の消化です。
ガジェット系の持ち物リストはわりとあるので、本当に細かい持ち物系をまとめておきます。もちろん、来年の自分のための備忘録です。

ビタミン グミサプリ

 芋は畑で取れるから、野菜だぜというアメリカ人の言説を信じたとしても、やっぱり期間中に不足しがちなのが野菜です。毎年、最後の方になるとビタミン不足なのか、口内炎など口の中が荒れることが多かったです。そこで、今年はUHA味覚糖のマルチビタミンのグミサプリを持っていきました。錠剤じゃないので、水がなくてもいつでも飲めるのが優れものです。
 これのお陰か、今回は風邪をひくこともなく、口内炎もなく無事に帰ってこれました。オンラインだと2袋からと、少し買いにくいです。自分は定期購入していたので、それを持っていきました。お勧めです

パジャマ

 アメリカのホテルに泊まって何気に困るのが、寝間着です。アメリカのホテルには、基本的に寝間着は用意されていません。たまにバスローブが用意されているところもありますが、少し寝にくいというのもあります。お土産でもらったTシャツなどをパジャマ代わりに代用もできますが、だんだん歳をとってしんどくなってきたので、快適に寝れるように日本からパジャマ(ニットフリースセット)を持っていきました。暖かくて快適でした。

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アイマスク

 期間中は、どうしても睡眠時間が短くなります。寝れる時に、寝ること。そして、睡眠の質を高めることが大事です。そんな時に重宝するのが、アイマスクです。日本でも昼寝する時にも利用していたアイマスクを持って行って、飛行機の中や期間中に少し昼寝する時に使っていました。慣れるとつけた瞬間に睡眠のスイッチが入って、寝入るまでの時間も短縮されます。よく寝れるのでお勧めです。

ハンドクリーム

 ラスベガスは砂漠です。乾燥も半端なく、指先までカサカサになります。冗談じゃなく、乾燥しすぎてスマホの指紋認証が通らなくなったという人も出ていました。私は顔や肌に何か塗るのは好きじゃないので、基本的にクリームなどは使わないです。しかし、そうも言っていられないので、ラスベガス滞在中は朝晩にクリームを塗っていました。お陰様で、肌荒れもなく何とか過ごせました。

ダイソー製品各種

 日本のホテルでは、当たり前のように提供されている歯ブラシ・髭剃り・スリッパなど。アメリカのホテルで提供されるケースは稀です。もちろん、近所のショップで買うことも可能ですが、はっきり言って高いです。日本から用意していきましょう。例えば、髭剃り。近所のドラッグストアでみると、3個$15で売っていました。一個で十分ですが、三個から。そして2千円近く。ダイソーで買うと、全部揃えて330円(税込)で買えます。ということで、忘れずに用意しておくと物価高に泣かずに済みます。

省スペースのための小物

 海外に行く時は、持っていくものを如何に少なくするかがポイントです。帰る際にお土産が大量に増えるので、そのためのスペース確保というのがあります。それを抜いても、移動時の体力消耗を抑えるためにも、荷物が軽い方がよいでしょう。そういった際に、専用のケーブルをそれぞれ持っていくと荷物がかさばるというのがあります。
 ここに挙げているのは一例ですが、最近はUSB-Cの先に拡張して、いろいろな充電をできるデバイスが出ています。例えばShokzだったら、次のようなケーブル変換のものがあります。国内出張の時にも役にたつので、普段使いの充電ケーブルの見直しをしていても良いのかもしれません。

まとめ

 オチも捻りもありませんが、来年の備忘録です。今から行く前提としておりますが、来年もラスベガスに行けると良いですね。それでは、良いお年を!!

技術同人誌を売る技術 2024年バージョン

技術書典17が終わりました。
今回は技術同人誌としては、初めて会社のメンバーと1冊の本を作りました。私以外は、全員技術同人誌デビューという形でした。最初に成功体験を持って貰うのが大事だと思ったので、今回は特に売るということにこだわっていました。今後さらに売り方を洗練させるためにも、期間中の売上の推移とやったことをまとめてみます。

blog.takuros.net

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日ごとの販売実績の推移

新刊に絞った売上の推移です。11/3にオフラインが開催され、その翌日に集計しています。1日で一気に200冊近く売り上げています。しかし、注目すべきところは、その後にも200冊近く売れているところです。ここについては、後ほど解説します。

日時 技術書典オンライン物理+電子 技術書典オンライン電子 BOOTH物理+電子 BOOTH電子 技術書典オフライン 合計
11/02 15時 19冊 4冊 1冊 0冊 0冊 24冊
11/02 20時 30冊 4冊 11冊 0冊 0冊 45冊
11/03 8時 40冊 7冊 15冊 1冊 0冊 73冊
11/04 9時 83冊 22冊 27冊 10冊 117冊 259冊
11/05 10時半 100冊 30冊 29冊 12冊 117冊 288冊
11/08 14時半 120冊 41冊 33冊 16冊 117冊 327冊
11/11 10時半 129冊 50冊 33冊 17冊 117冊 346冊
11/12 12時半 136冊 51冊 33冊 17冊 117冊 354冊
11/14 14時 145冊 52冊 33冊 19冊 117冊 366冊
11/16 23時 151冊 57冊 33冊 20冊 117冊 378冊
11/18 10時 179冊 70冊 33冊 20冊 117冊 419冊
11/23 11時 179冊 72冊 34冊 20冊 117冊 422冊
12/28 12時 179冊 77冊 50冊 22冊 117冊 445冊

展示会当日

オフライン当日の売上の推移です。こちらは新刊のみではなく、既刊含めて記載しております。しかし売上の中心は、新刊ということが如実に出てきています。

時間 IAM本 セキュリティ
データ分析
設計本
昔話 データ分析
性能本
合本(新刊) 合計
11:00
3冊
5冊
2冊
2冊
1冊
29冊
42冊
12:00
5冊
3冊
6冊
3冊
2冊
24冊
43冊
13:00
6冊
3冊
3冊
2冊
1冊
22冊
37冊
14:00
6冊
4冊
2冊
2冊
0冊
14冊
28冊
15:00
5冊
0冊
1冊
1冊
0冊
21冊
28冊
16:00
3冊
0冊
2冊
3冊
1冊
7冊
16冊
合計
28冊
16冊
15冊
14冊
5冊
117冊
195冊

過去開催回との比較

過去の開催回との比較です。技術書典16も出展していたのですが、集計していなかったです。ご容赦を。
技術書典7は、新型コロナ流行前の最後の物理開催です。この時は入場規制がなく、1万人以上参加とのことでした。これに対して、技術書典17は約2,600人とのことです。一概には言えない部分もありますが、入場者は売上に対して重要なファクターであるのは間違いないでしょう。

時間 技術書典7 技術書典14 技術書典15 技術書典17
11:00
151冊
43冊
24冊
42冊
12:00
94冊
37冊
23冊
43冊
13:00
82冊
48冊
30冊
37冊
14:00
43冊
25冊
49冊
28冊
15:00
45冊
22冊
26冊
28冊
16:00
36冊
11冊
4冊
16冊
合計
451冊
186冊
156冊
195冊

オンラインでの販売と広告戦略

 新型コロナ後の技術書典は、会場内の適度な混み具合をコントロールして実現しています。以前のような歩けないほどの混雑する状況は二度と現れないでしょう。(※)
※出展者の自分としても、これ自体は大賛成です。
 そうなると技術書典の主戦場は、オンラインでどう売っていくかになります。もっと言うと、一日だけ開催されるリアル販売(オフライン会)で注目を浴びて、SNSで話題となってオンライン売上につなげるかです。今回、私達は次の作戦を取りました。

  • 販売開始前から、紹介ブログを書いて認知を高める
  • 著者全員が執筆箇所の紹介ブログを書いて、テーマごとに興味がある人を合本に誘導する
  • Twitter(X)での宣伝を、執拗におこなう
  • 購入者を見つけたら、リツイート

 この辺りを徹底すると、ある程度は効果があったようです。私の当初の予測は、かなり上手くいって新刊の売上の合計を350と読んでいました。結果としては、+100部の上振れです。当日の売上は、ほぼ予想通りだったので、オンライン販売戦略が上手くいったのではと考えています。

反省点

 一方で振り返ってみると2点ほど反省点があります

  • Twitter投稿を促す仕組みを作っていなかった
  • 合本という名前が適切でなかった

 1つ目は、Twitter投稿を促す仕組みを考えていなかったという点です。リアル販売会で買った人が、写真をアップしたくなるような仕組みを作っておけばよかったと後で気が付きました。2つ目は根本的な過ちです。合本を調べてみると、下記のような定義のようです。複数人で書いている場合は、合同誌と書くのが適当でした。次回作、どうしよう。しれっと、『AWSの薄い本の合同誌 Vol. 2』でいいのかな?

数冊の雑誌・小冊子などをとじ合わせて一冊にすること。またその本。合冊(がっさつ)。

まとめ

 技術同人誌としては、初めて複数人で執筆という経験でした。初めて執筆に挑戦した人も多く、成功体験を作るということにこだわり、発行部数という点では大きな成功をおさめられました。執筆者も、次回も挑戦したいという人が多くて、狙い通りでした。
 商業誌を書いている人が、技術同人誌の世界で売上を狙いにいって大人げないという意見もあるかもしれません。一方で、自分は参加するからには、自分のできることの限界までやり尽くしたいと思っています。過去何度か話したことがあるかもしれませんが、せっかく本やブログを書いても宣伝することに熱心な人は少ないです。良いものを書いても知られなければ、伝えられないのです。なので、プロの端くれとして、これからも売ることにもこだわっていく所存です。

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技術書典17 オフラインに新刊『AWS の薄い本の合本 Vol.01』とともに出展してきました(売上報告)

 2024年11月3日に池袋サンシャインシティで開催された技術書典17 オフライン開催にブース出展してきました。今回は、会社の同僚合計7人と書いた合本を引っ提げての参加です

新刊について

 今回の新刊については、こちらのエントリーで紹介しています。AWSに関係したテーマで、7人が1章づつ合計112ページの合本です。私は、S3を安全に使うをテーマに、10のお約束と題して1ページ1トピックで解説しています。それプラス、前書きとしてのS3の概要説明とまとめで15ページです。このページ数にまとめるのは、正直難しかったです。面白いテーマだと思うので、そのうちS3の薄い本(100ページ)を書きます。

各章のテーマ

 それぞれの章の内容については、執筆者がブログエントリーを書いています。どれも面白いテーマ選定だと自画自賛ですw

第 1 章 S3 を安全に使うための 10 の約束 (執筆: 佐々木拓郎)

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第 2 章 Security Hub を最大限活用するためのポイント (執筆: 大林優斗)

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第 3 章 IAM ベストプラクティスと CDK による効率化ガイド (執筆: 志水 友輔)

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第 4 章 CloudFormation StackSets でマルチアカウント統制 (執筆: 西 内渓太)

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第 5 章 1 コンテナで複数プロセスを起動し正常終了させる (執筆: 浮田博揮)

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第 6 章 マルチステージビルドで学ぶ Docker のイメージ軽量化 (執筆: 小山ちひろ)

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第 7 章 クイズで学ぶ AWS の機能と歴史: 厳選「機械学習」編 (執筆: 小西 秀和)

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当日の売れ行きと考察

 さて、皆さんお待ちかねの売上報告です。今回は事前にちゃんと告知していたこともあり、比較的順調な売れ行きでした。全部で195冊売れて、そのうち117冊は新刊です。ちょうど6割くらいが新刊ですね。共著者たちの今後のモチベーションにつながるので、しっかりと新刊が売れて良かったです。既刊の動きをみると、やっぱりIAMのマニアックな話が強いです。一方で執筆してから5年が経過しているので、そろそろ改訂せねばという状況です。今ある物理本がなくなっても増刷せずに、次は改訂版として新たに作る予定です。物理本の在庫はあと10部くらいなのですが、改訂がいつできるかは悩ましいところです。

時間 IAM本 セキュリティ
データ分析
設計本
昔話 データ分析
性能本
合本
(新刊)
合計
11:00
3冊
5冊
2冊
2冊
1冊
29冊
42冊
12:00
5冊
3冊
6冊
3冊
2冊
24冊
43冊
13:00
6冊
3冊
3冊
2冊
1冊
22冊
37冊
14:00
6冊
4冊
2冊
2冊
0冊
14冊
28冊
15:00
5冊
0冊
1冊
1冊
0冊
21冊
28冊
16:00
3冊
0冊
3冊
3冊
1冊
7冊
17冊
合計
28冊
16冊
16冊
14冊
5冊
117冊
195冊

過去開催回との比較と今後の展開の検討

 過去に出展した回の売れ行きと、技術書典全体の来場者数の推移をまとめてみました。新型コロナ前の最後の物理開催回である技術書典7は、1万人近くに人が来場しています。その後に物理開催を再開した14以降は、入場数の制限もあり2千人超の来場者で安定しています。自分のサークルの場合、雑に計算すると来場者の5%くらいに興味を持たれると言えるようです。これを10%の人が対象になるようなテーマを扱うのか、深耕(同一テーマでバラエティを増やす)するのか、このあたりがサークル主としての思案のしどころですね。

 個人的には、技術書典は自分の中で新しいトレンドを知る場所と位置づけています。今まで長いあいだAWS関連の本を書いてきましたが、そろそろ新機軸を打ち出してもいいのかもですね。AWSについては合本で出しつつ、自分の単著は新テーマに挑戦するという選択肢ができたのが、今回の技術書典の収穫でした。

時間 技術書典7 技術書典14 技術書典15 技術書典17
11:00
151冊
43冊
24冊
42冊
12:00
94冊
37冊
23冊
43冊
13:00
82冊
48冊
30冊
37冊
14:00
43冊
25冊
49冊
28冊
15:00
45冊
22冊
26冊
28冊
16:00
36冊
11冊
4冊
17冊
合計
451冊
186冊
156冊
195冊
来場者数
9,700人
2,100人
2,200人
2,600人

次回に向けての準備

 技術書典への物理出展は、今回で5回目です。わりと手慣れて来ましたが、まだまだ抜け漏れが多いです。今回準備を忘れていた事項を、次回に備えて箇条書きで残しておきます。

  • テーブル背後に設置するポスタースタンド(200cm以内)
  • 新刊があることを強調して告知する方法
  • 委託販売をする際には、それが解るようにする方法
  • 商品説明のポップ


まとめ

 今回の技術書典の挑戦は、会社の同僚と合本を出すということでした。売れ行きも好調で、同僚も次回以降に向けて、よりやる気が出ているようです。また、技術書典への出展へのノウハウも継承できたのじゃないかなと思います。個人的には大成功だと思っています。心残りとしては、単著の新刊を出せなかったことなので、これは次回に向けて計画的に進めていきます。可処分時間をどう増やすか、そして執筆に向けるかの戦いなんですよね。

 ということで、新刊『AWS の薄い本の合本 Vol.01』をよろしくお願いします。2024年11月17日まで、技術書典オンラインで物理本+電子版を送料無料で購入できます!!

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技術書典17で合本を書きました

本日、11月2日から始まる技術書典17に向けて、会社の同僚と合本を書きました。
AWS の薄い本の合本 Vol.01

techbookfest.org

AWS の薄い本の合本 Vol.01の構成

 7人がそれぞれMax15ページを書いています。目次、まえがき、あとがきを合わせると112ページの大作です。章ごとに執筆されていて、章タイトルと執筆者は次のようになっています。

第1章 S3を安全に使うための10の約束(執筆:佐々木拓郎)
第2章 Security Hubを最大限活用するためのポイント(執筆:大林優斗)
第3章 IAMベストプラクティスとCDKによる効率化ガイド(執筆:志水友輔)
第4章 CloudFormation StackSetsでマルチアカウント統制(執筆:西内渓太)
第5章 1コンテナで複数プロセスを起動し正常終了させる(執筆:浮田博揮)
第6章 マルチステージビルドで学ぶDockerのイメージ軽量化(執筆:小山ちひろ)
第7章 クイズで学ぶAWSの機能と歴史:厳選「機械学習」編(執筆:小西秀和)

 S3のように昔からあるサービスから、機械学習(AI)やコンテナ、CDKなどの今のメインストリーム、そしてSecurity HubやCloudFormation Stacksetsなど、使ってみたいけど中々手が出ないサービスまで、様々なテーマを網羅しています。

S3を安全に使うための10の約束

 私が担当したのは、1章の『S3を安全に使うための10の約束』です。AWSの強さの根幹の一つは、S3と確信しています。正しく使うと、ユーザーにとってこれほど有意義なサービスはありません。一方で、設定を誤ると重要なデータの漏えいといったことにもつながります。S3怖いとならないように、主な考慮点をエッセンスとしてまとめました。
 1章の詳細の目次は、次のようになっています。1章2項がメインのコンテンツで、10のお約束と称して1ページ1トピックでまとめています。1トピックについて、普通に書くと3〜5ページくらいになりました。それをギュッと圧縮しての1ページなので、大切な事を直ぐにつかめるように濃縮しています。

1.1 S3 の基本のキ
 1.1.1 Amazon S3 とは?
 1.1.2 オブジェクトストレージとは
 1.1.3 Simple Storage?
1.2 S3 を安全に使うための10 の約束
 1.2.1 S3 のアクセス制御の基本 3+1 のアクセス制御法
 1.2.2 EC2 に付与するIAM ロールを最小権限にする
 1.2.3 マネジメントコンソールからS3 へのアクセスに対する考え方
 1.2.4 バケットポリシーによりS3 へのアクセスを制御する
 1.2.5 機密データの保護とKMS
 1.2.6 EC2 からS3 への4つのアクセス経路
 1.2.7 S3 のデータバックアップの考え方
 1.2.8 S3 に関わるコスト
 1.2.9 S3 Webhosting とCloudFront
 1.2.10 ブロックパブリックアクセスを原則適用する
1.3 S3 のまとめ

オフライン販売について

 11月3日の池袋・サンシャインシティでのオフライン頒布会にも、もちろん出展します。サークル名は『ササキです』で、場所は『き01』です。

会場には終日いますが、メンバーで交代予定です。当日の予定は、下記のとおりです。非番の時にもブースにいる可能性はありますが、会場内をうろついている可能性が高いです。直接の御用がある時は、この予定をみてお伺いください。

 ご来場には、予め入場券の購入(無料)とアプリが必要ですので、ご注意ください。
blog.techbookfest.org

販売場所と販売期間について

 今回の新刊は合本です。売上の分担や、その後の納税時の手続きが煩雑となるため、期間内の販売とさせていただきます。技術書典17オフラインの開催中の11/2〜11/17と、BOOTHでの販売は2024年内を目処とさせていただきますのでご了承ください。BOOTHの商品ページはこちら

takuros.booth.pm