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技術書典20で一番売れたのは、AWSの本ではなくお金の本だった

 技術書典20で新刊として出した『エンジニアとお金』について、改めて紹介します。

エンジニアとお金

なぜ、この本を書いたのか

 自分の収入源がいくつあるか、即答できますか。
たぶん、ほとんどの人は「給料」の1つだと思います。自分もずっとそうでした。
先日、確定申告の書類を見ていたら、給料、技術書の印税、技術同人誌の販売収入、投資の損益と、4つの入金が並んでいました。10年前は給料の1行しかなかったのに。

 1行が4行になるまでに20年かかりました。その過程を振り返ると、そのままこの本の目次になっています。FXで100万円失った回り道も、ブログからアクセスが激減した3年間も、全部含めて。最初の一歩はブログで得た数十円でした。金額としてはほとんど意味がありません。でもあの数十円がなければ、この本は書けませんでした。

 AWSの薄い本シリーズを8冊書いてきて、初めて技術以外のテーマで本を書きました。書くと決めたとき、やっぱりリスクは感じました。自分のお金の話を赤裸々に開示するのは、既に公開することに関して感覚が壊れている自分にも大きなリスクです。ただ結果的に、技術書典20で300冊近く売れて、一番反響が大きかった本になりました。一般的なマネー書にはない、リアルさが受けたのでしょう。

この本は、何であり何でないか

 よく聞かれるのが「NISA本ですか?」「副業の本ですか?」という質問です。どちらでもありません。

 この本が扱うのは、収入の「金額」ではなく「構造」の話です。同じ100万円でも、給料の100万円と副収入の100万円と資産からの100万円は、未来への効き方がまったく違います。その違いを理解した上で、自分の収入構造をどう設計するか。煽りもポジショントークもなしで書きました。

 もう一つ大事なことがあります。この本は「こうすれば必ず成功する」という本でもありません。自分の20年を振り返って、成功より失敗の方が多いです。その失敗の構造を正直に書いています。

成功も失敗も、全部入っている

 FXで100万円近くを失った話を書いています。短期売買はエンジニアの本業の集中力を破壊しました。コードを書いているのに為替が気になって仕方がない。高い授業料を払って、自分に向いていない戦い方だと学びました。

 ブログ収入が月7〜8万円あったのに、Googleのアップデートで流入が激減してほぼゼロになった話もあります。原因の特定に3年かかりました。プラットフォームに依存するということは、別の一本足を作るだけでした。

 一方で、最初の副収入はブログで得た数十円でした。金額としてはほとんど意味がありません。でも、給料以外にお金を得る方法がある、という事実そのものが見え方を変えました。この小さな気づきから、本書は始まります。

技術の経験値は勝手に貯まる。お金の経験値は、貯まらない

 エンジニアがお金を後回しにするのには、構造的な理由があると考えています。

 一つは、相対的に給料が高いこと。困っていないから考えません。二つ目は、転職で給料が上がるので最適化する必要がないように見えること。三つ目は、技術職は売上との距離が遠く、金銭感覚が育ちにくいことです。

 若いうちは困らないからこそ差が見えず、気づいたときには構造的な差が開いています。技術の経験値は仕事をしているだけで貯まりますが、お金の経験値は意識しないと貯まりません。この非対称性に、早めに気づいてほしい。そのための本です。

目次

  • 第1章 数十円が、収入観を変えた
  • 第2章 給料は強い。だから、外への一歩が踏み出せる
  • 第3章 給料以外で稼ぐと、世界の解像度が上がる
  • 第4章 差は、どこで広がるのか
  • 第5章 エンジニアの複利設計(技術・英語・発信・資産形成)
  • 第6章 次の1年を設計する(3つのモデルケース付き)

 第6章には、28歳バックエンドエンジニア、35歳・育児中のSRE、42歳テックリードという3つのモデルケースと、年次収入設計シートを用意しました。完璧でなくて構いません。空欄があっても大丈夫です。大事なのは、見えていなかったものを見える場所に置くことです。

書いてみて

 技術書を8冊書いてきた中で、この本への感想は質が違いました。「自分の話かと思った」「もっと早く読みたかった」という声が多いです。技術の正解を伝える本ではなく、自分の現在地を確認するための本だからかもしれません。

 AWSの本を書いている人が、なぜお金の本を書いたのか。20年の実体験をベースに、技術書の経験値を使って「お金の構造」を言語化しようとした一冊です。結果的に、AWSの薄い本シリーズのどの巻よりも速いペースで売れていくという、想定外の展開でした。

購入方法

 BOOTHと技術書典オンラインマーケットで購入できます。

techbookfest.org

booth.pm

 BOOTHでは物理本+電子版セットが電子版と同じ価格で、送料は全国一律270円です。
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始めるのに遅すぎることはありません。ただ、早く気づいた人ほど長く使えます。