昔から読みたいなぁと思っていた本の一つが、「銃・病原菌・鉄 ―1万3000年にわたる人類史の謎」です。本屋さん大賞にも選ばれたこともあるようです。
人類の発展史を、環境の差異に着目して分析しています。ありそうで無かったこの視点ですが、読んでいて度肝を抜かれます。農耕が始まった地域と始まらなかった地域。大陸が東西に広がっているのと、南北に伸びていることの違い。家畜化出来る野生種の有無が、文明に与えた影響。文字を発明するということの困難さ。不毛の大地・オーストラリア。興味深い分析の数々で、読むのが止められなかったです。
例えば、農耕について。今では大規模な農業地になっているところでも、古代では狩猟採集しか行われていないところは多数あるようです。この原因は何か?単純にそこに住んでいた人の資質・文化ではなく、野生種によるところが大きいとか。実は、野生の植物で栽培化することが出来るものは非常に少ないそうです。また、その分布にも偏りがあるそうです。例えば麦類でも、肥沃な三角地帯と呼ばれる人類が最初に農耕を始めたとされる地域では栽培可能な野生種は多数あっても、アメリカ大陸やオーストラリアでは殆ど存在しなかったそうです。農耕が出来るか出来ないかでは、土地1ヘクタールあたりの採取可能なカロリー数も格段と違ってくるので、この時点から発展の差異が出てくるとか。
上記のように今まで考えもしなかった視点で、文明の発展史を分析しています。よく頭の中で、特定のパラメータ(歴史的事件)が変わると人類の発展はどう変わるかなぁと想像してましたが、うーん前提条件が違うからあんまり変わらないかなぁと残念に思ったりもしてしまいます。
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