プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

私とAWSの9年間


 新幹線の中で、もうすぐ発売される「Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド」の前書きを考えています。ふと、AWSとの出会いはどうだったのかなと思い、過去の記録と記憶をサルベージしてみました。

AWSとの出会い



 AWSとの出会いは、2006年のAmazon S3です。当時はアメリカのシリコンバレーで働いていて、レンタルサーバのようなものを探していました。幾つか探している時に、ちょうどAmazonがWebサービスを出すというニュースが飛び込んできました。ストレージのWebサービスとは何か、さっぱり見当つかなかったものの、とりあえず惹かれるものを感じ使いだしたのが最初です。実はそれ以前から、Amazon Web Serviceという名称は存在して、当時は商品を操作するAPIとして提供されてました。今でいうProduct Advertising APIですね。がっつり使っていたので、AmazonのAPIの延長という間隔で、それほど違和感は感じていませんでした。何か全く別の方向性で来たなぁくらいの感覚だったと思います。
 プログラムからストレージ自体を操作できるということで、面白がって用途を考えていました。一方で、米国の一般家庭での回線は結構遅いので、オンラインでストレージ使うのはバックアップ以外は厳しいなぁと感じました。また、当時はストレージ単価も今より高く、データのアップロードにも課金されてたような気がします。個人ユースで使うには少し高いとの感想を持ち、結局その後は積極的に利用しなくなりました。
 ちなみに過去のブログみたら、初めてS3の概念に触れた時のことがそのまま残っていました。後半、自分でも何を書いているか解らないけど。


Amazon S3 - Simple Storage Service - プログラマでありたい


 その後EC2が出て来たのですが、名前だけみてアマゾンのショップ関係のサービスなのかと思ってスルーしていました。たぶん使いだしたのは、2007年になってから。ルートアカウントのアクセスキーの生成日をみたら、2007年4月になっていたので少なくともその辺りでは使ってたっぽいです。ただ本格的に使い出すようになったのは、2007年末。どうやらSimpleDBに触発されて、再度使いはじめた模様です。自分は何をしようとしてたんだろう?そこからは、ちょくちょく使っていた模様です。

サービスごとの感想



 過去ログを見る限り、EBSが出たり固定IPが使えるようになったりで、狂喜してたみたいですね。今だと当たり前の機能だし、逆にないとどうやって使ってたんだろうと謎にもなります。ちょっと面白いので、当時の感想を引っ張りだしてみます。
aws カテゴリーの記事一覧 3ページ目 - プログラマでありたい

週末プログラマに朗報 Amazon Elastic Block Store(EBS)
 S3を使わずにデータを永続化できることが、画期的なことと捉えています。

エンタープライズ分野に本気で殴り込み Amazon EC2でOracle
 AWS上にOracleのライセンスを持ち込めるようになったことに、ひどく驚いていた模様。当時のクラウドは、許されざる者だったのか?

Amazon EC2をGUIで操作する公式管理ツール AWS Management Console
 GUIが使えるようになったのは、3年近く立ってからなんですね。
エンタープライズ分野でガチンコ勝負!!Amazon Virtual Private Cloud
 この辺りからビジネスで使うことを意識しだしてた模様

最大の失敗



 AWSの最初期から見続けてきた訳ですが。そんな中で失敗したなぁと思うことがあります。それは、今みたいに誰もがAWSを使うようになるとは全く予想しなかったことです。当初のAWSは、GUIのコンソールがないことからも解るように、ユーザビリティも最小限でした。機能的にも足りないことが多く、今でいうオンプレミスのインフラに比べるとナイナイ尽くしでした。クラウドというのは便利で凄いという認識はあったものの、単なるニッチなカテゴリーにとどまり続けると思っていました。先を見通す力が無かったと改めて思います。
 一方で、個人的には面白くエンジニア同士には勧め続けていました。社内にも布教し、2009年には社内ユースではそれなりに利用していました、また、2010年に発表した自社サービスのインフラに使ったりとしながら、なぜもっとビジネス展開を考えなかったんだろうなというのが反省です。
 ちなみに、この記事にあるように、2009年段階で後発のクラウドに対してAWSの圧倒的な優位性は認識してた模様です。(優位であるという論拠は、殆ど間違っていましたが。)


ITベンダー製のクラウドは、Amazon EC2に対抗出来るのか? - プログラマでありたい

感想



 振り返ってみると、どっぷりイノベーションのジレンマにハマっていたことに気が付きました。AWSのような破壊的イノベーションは、持続的イノベーションと同じ尺度で比較してもダメだということを身をもって体感しました。一方で、クラウドというカテゴリの誕生から、その成長の過程を見続けることにより多くのことを学んできています。見るだけではなく、プレイヤーとしても活動してきている訳ですし。最近、LambdaやCognitoなど、アーキテクチャを根本的に変えるサービスがでてきています。これこそが、次の破壊的イノベーションの最有力候補と考えています。これ使って色々企みたいところですね。
 前書きを考えようとしたら反省文になってしまいました。そっちの方は頭を切り替えて、考えます。どんな前書きが来るか、楽しみにしていてください。3月25日発売です!!

See Also:
AWSパターン別本の狙い。例えばAutoScalingを使えるように。「Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド」の裏話
『Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド』を書きました
『Rubyによるクローラー開発技法』を書きました
本を書く前に準備したこと、執筆中にしていたこと