プログラマでありたい

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1万ブックマークを達成して気がついた3つのポイント。或いはソーシャル・ネットワークについて


 はてなダイアリーを始めて、早6〜7年です。先日、1万ブックマークを達成しましたので、備忘録がてらに記録を残しておきます。1万ブックマークを意識したのは、今年の4月です。例のはてなのブックマークアルゴリズムの変更もあって、ホットエントリーに載るのはそれ程難しくないなぁという状況に気が付きました。当時、4,800ブックマーク程あったので、月600超ブックマーク平均で8ヶ月続ければ年内に達成出来るなと算段しました。月10〜15エントリー書くとして、平均40〜60くらい。1つ2つ当たりが出れば100〜200は簡単に行くので、2エントリーで300と残りの10エントリーで300と考えていました。結果的には、ほぼそれに沿う形で前倒しで達成出来ました。
 そんな中で、ブックマークされるエントリーを考えながら8ヶ月を過ごして、幾つか気がついたことがあります。まとめてしまうと、これまた身も蓋も無い内容になってしまいますが、現時点での感想ということでご容赦ください。ちなみに1万ブックマークを目指した理由としては、それを狙ってみることでソーシャルで広報をする際に何かヒントになるかなというのを漠然と考えてです。

時間を掛けたエントリー≠ブックマークされるエントリー



 残念ながら丹念に調べて気合を入れて書いたエントリーがブックマークされる訳ではありません。直近の例で言うと、「意外に知らない日本の森林の話」と言うエントリーです。これはジャレド・ダイアモンドの「文明崩壊」が面白かったので、江戸時代から現代に渡っての日本の森林を10冊くらいの本を読んで得た知識をまとめたものです。しかし、結果としてはそれ程のブックマークを得られませんでした。
 逆にそれ程時間を掛けずに書いて大きな反響を得た例としては、直近のワイン関係のエントリーです。別のエントリー書いている途中でついでに10分くらいで簡単に書いたのが、「身も蓋も無い1,000円台のワインの選び方」になります。400ブックマークくらい付けたものの、色々と言われてグヌヌとなって書いたのが「私が旨いと思う、普段飲みの1,000円台のワイン」です。こちらも商品リンクを貼るのに時間は掛かりましたが、本文自体は15分くらいです。結果、800ブックマークと過去最高を記録しました。その後で狙って書いたのが、「ワインの品種。まずは3つだけ覚えておけば大丈夫」になります。100くらいは行くだろうと思っていましたが、結果は700オーバーと予想以上の反響を頂きました。


 記憶が定かな直近の例で書きましたが、ブックマークが伸びるものは次の3つの傾向があります。

  • 対象となる読者層の裾野が広い(あまり専門的過ぎない内容)
  • 読者からツッコミの余地がある
  • 情報を切り捨てる


 まず1つ目ですが、そもそも興味を引く対象が一定数ないと大きくは伸びません。はてなユーザだとコンピュータのカテゴリーだと潜在的には数千人くらいのブックマークしてくれるユーザがいて、数万人の閲覧者はいます。一方で、科学の真面目な研究成果などは、面白エピソード以外は数10ブックマークで留まっています。やはり母数というのはある程度重要になります。
 2つ目の読者からのツッコミの余地ですが、これが結構重要です。はてなブックマークは、ソーシャルブックマークです。ソーシャル・ネットワークとは人と人とのつながりです。つまり、対話する土壌が必要です。(私には書けないけど)情報として価値があり完結してエントリーを書いたとしましょう。恐らくタグ付けされて無言ブックマークの山が出来るでしょう。しかし、そういったエントリーを書ける人は稀有な存在だと思います。ソーシャルという特性を考えると、まずエントリーで俺はこう考えるとブチ上げて、それに対してブコメでそーじゃないだろう。こうだろうと突っ込んで貰って、また別の人にそれに対して解ってないなぁとブコメ上で議論して貰うのが伸びます。別名、炎上商法あるいはブコメ大喜利です。
 最後の情報を切り捨てるという点ですが、これも2つ目のツッコミの余地に通じる話です。思っていることを全部書くと、読む方は疲れます。要点だけ絞ってコンパクトにまとめた方が読み手としても楽です。また情報が切り捨てられているので読み手が想像して補ってくれるということもありますし、もっと直接的に補完する情報をURLで教えてくれることもあります。論文を書く訳ではないので、一番言いたいことだけ言いっぱなしでも良いのではと考えています。「ワインの品種。まずは3つだけ覚えておけば大丈夫」の例でいうと、恐らく主要なブドウの品種を10種類ほどあげて事細かく書いていたら殆ど反響が無かったと思います。私の中でも、最低5つは紹介したいけど泣く泣く3つに絞りました。案の定、これも必要だろうと色々コメントを頂けました。これが切り捨てるということの効果の1つです。

ブックマークされるエントリー≠長期的にアクセスが多いエントリー



 さて無事にブックマークされたエントリーですが、長期的にアクセスが多いかどうかは別の話になります。現状でいうとホットエントリーに載って、その後にはてブのトップに載ると1〜2万くらいのアクセスは期待出来ます。付随的にTwitterやFacebook経由で広まり、翌日にはGunosy経由でのアクセスも来て数千くらいのアクセスが来ます。しかし、基本的には数日後には効果はパタリと止まります。長期的にみると、ブックマークとアクセス数の相関関係はあまりありません。どちらかと言えば、SEOを意識して集めたいキーワードを元に記事を書くほうがアクセス効果は高いと思います。同様にブックマークされたエントリーと収益効果はびっくりするほど相関はありません。先日のワインの件でも、数万アクセスがあった上で直接的にワインのリンクをベタベタ貼っていたので、どれくらい売れるのかとドキドキしていました。結果は、雀の涙です。アクセスの件と同じように、売上をあげたければ検索経由でのアクセスを狙うというのが鉄板だと思います。明確に意志を持って来ているユーザと、ソーシャルでの評判で見ているユーザでは、行動が大きく違うということでしょうね。

はてブのコメントは気になる



 自分の性格もあるのですが、何百とブックマークがついてもブコメは全部読んで一喜一憂しています。私も人の記事にブコメをする際は、書いている人がいるということを忘れて辛辣なコメントを残すことがあります。やっぱり人間対人間ということを忘れずに、一定の配慮は必要なのではと思うようになりました。(遠慮しろと言う意味ではなく、礼を欠いていないかという意味です。)特に私は繊細なので優し目でお願いしたいと思います。

まとめ



 実験的にブックマークされることを狙って半年くらい活動してみて、ソーシャル・ネットワークというものが少しだけ理解出来たような気がします。ソーシャルで反響を得るということは一定の仕組みがあり、それに則った形で動かすと効率が良いという点です。また、ソーシャルで反響が得られたとしても、狙った効果が達成出来るかは別次元の問題ということです。もちろん私が感じたことはほんの一面にしか過ぎない可能性も多々ありますが、感触としてはウェブはグループで進化するで書かれていた内容に非常に近いという印象をうけました。
 最後に今までの経験則から言うと、このエントリーはダラダラと長いのでブクマされないでしょう。


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