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Dropboxの2GB無料というのは、どういう計算か?


 Amazon S3の利用料金の試算をしていた時に、ふと頭に浮かんだのでメモがてらに残しておきます。Dropboxは2GBまで無料ですが、インフラ面でのキャッシュ・フローというか損益分岐点はどれくらいなんだろうという疑問です。


 DropboxのバックエンドはAWS(アマゾンのクラウド)を使っているそうです。そしてファイルストレージとしてはAmazon S3をつかっているのでしょう。Amazon S3の利用料金は完全に従量課金でその内訳は、月辺りの保存サイズと転送サイズ・リクエスト数になります。このうちリクエスト数は保存・転送サイズに比べ無視しても問題ないくらいの金額なので、この2点に絞って考えます。


 それでは、コスト構造についてです。まず保存サイズに対する課金ですが、テーブル制で使用量によって段々安くなります。正確な使用量は解りませんが、TechCrunchの記事によると2,500万ユーザなので、間違いなく最上のテーブルである5,000TB/月を超えているでしょう。これだと月当たりの課金は、$0.055 /GBとなります。(実際は個別契約でもっと安くなっているでしょうが)
 次に転送量ですが、こちらは推測で計算するしかありません。まぁ適当に保存量の20%と仮定しておきます。これも$0.050 /GBで計算します。つまり1GB辺りの維持費が0.65$となります。1ユーザあたりデフォルトで2GBまで、1ヶ月で1.3$ということです。(平均するともっと安いと思います。)この他にも、アプリケーションサーバの費用や人件費といったものが掛かりますが、今回は無視してストレージのみで考えます。


 コストに対して、入ってくるお金はどうなのでしょうか?Pro50で50GBまで、月9.99$。Pro100で100GBまでで、月19.99$です。(もうちょっとPro100をサービスしろよという気はしますが)
 先程の計算で言うと1GBあたりの費用が0.65$なので、Pro50でふるふる使われたとしたら32.5$となります。完全に赤字ですね。どういうことでしょうか?


 推測ですが、使用率の問題だと思います。有料ユーザでもその容量ギリギリまで使っている人は殆どいないでしょう。無料の範囲を少し超えた人が大半を占めるのではないでしょうか。またTechCrunchが言うように、容量を抑える努力。同一のファイルをまとめたり、圧縮したりとしていると思います。
 Freeのモデルでいうと、一部の有料ユーザが無料ユーザを支えるという構造になります。問題は1人の有料ユーザが何人の無料ユーザを支えているかです。自分の周りをみてると、1:20かそれ以上だと思うのですがどうなんでしょう?恐らく無料ユーザの大半は、100MBも使っていないので想像以上にコストがかからない構造になっているんでしょうね。
 Dropboxは自身のキャッシュ・フローの範囲で上手くやっているようですが、興味深い世界ですね。