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プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

ソフトパワーとバカにならない読書術

 国家生き残り戦略としての日本語リストラ
 なかなか面白い視点ですが、タイトルだけ釣り臭くて好きになれません。(まぁタイトルの半ば以上は釣りなんでしょうが)
言語を学ぶ人の数は言語自体の優劣ではなく、ハードパワーとソフトパワーによるものだと思います。英語が世界中で使われているのは、言語として優れているからではなく、現時点で英語圏の経済/情報が世界一だからです。だから自然と英語を学ぶ人が沢山いるのです。今、中国語を学ぶ人の数が増えてきているのは、中国の経済成長に伴いハードパワーが上がって来ているからでしょう。日本がこれに対抗するには、日本語の敷居を下げるのではなくハードパワーもしくはソフトパワーを上げるしかないでしょう。そういった意味では漫画を読もうと日本語を学ぶ人が増えて来ているのは、日本のソフトパワーの一例かと思います。
 ですので、国家百年の計を考えるのであれば、ハード/ソフトパワーを如何に上げるかだと思います。言語自体は恐らくソフトパワーになり得ません。


 ところで、この海部さんのエントリーを読んでいて思い出したのが養老孟司さんのバカにならない読書術という本です。今回の論点とは違うのですが、文字と脳の関係について成る程と思うことが多々あります。まず脳の専門家の見地から、漢字・ひらがな・アルファベットを読む時の脳の働き方を解説しています。周知のことかもしれませんが、漢字のような表意文字と平仮名・片仮名のような表音文字では、脳の使う部分が違うようです。つまり日本語を読むときは表意文字(英語)だけ、表音文字(中国語)だけより、2倍脳を使っているのです。このことを優位点と考え、その特性を活かしたロジックの組み立てをする訓練をするべきなんじゃないかと思います。


以下、面白いなぁと思った部分の引用です。
P40

 外国人も文字を読む場合は、日本人が仮名を読むときと同じ脳内の場所で文字を読んでいます。アルファベットは音声と完全に連絡しています。ハングルもそうです。それは日本語でいうと仮名に相当する。音声と連結した文字しか使っていない。アルファベットや仮名、ハングル、これらは表音文字ともいいますね。
 ところが日本人の場合は、「意味」と連結した文字も使う。表音文字に対して表意文字ともいいますが、それが感じでう。意味に連結していて、音声には連結していないから、同じ「重い」という字を「重大」「重複」「重い」「重ねる」というふうに何通りにも読む。日野原重明さんなら、「シゲアキ」でしょう。しかも、その読み方の中には音声的なルールがまったくないから、とんでもない読み方も可能なわけです。
 そんな言語を系統的に外国人に教えようとしたら、万歳するのが当たり前でしょう。だから今、日本語を上手にしゃべる外国人はいっぱいいるけど、読める人はあまりいない。
 つまり言語を読む=読書については、日本人は世界の中でもちょっと変わった人種だということです。

P42

 それからもう一つ、日本の小学校では問題にならない障害があります。それは「読字障害」というもので、アメリカ人の小学生なら八パーセント、つまり100人中八人くらいの頻度で出現します。
 〜〜中略〜〜
 読字障害とは何か。アルファベットを読む場合、まず記号として目から脳に入ります。それを脳の中で音声に変換する。これが「読字」です。
 〜〜中略〜〜
 ところがこの読字障害が、日本人にはほとんどない。なぜかというと、日本語の場合、音声に変換しなくても意味が通ずる漢字を使っているからです。記号を音声に変換するのではなく、意味を表す漢字から入ることができる。つまり意味経由。「犬」という字を見たら、これは犬だろうと。
 本当は日本人にも読字障害の人が八パーセントぐらいはいるはずです。でも、それが問題にならない。音声変換のほうに不都合が起きても、それをいい経由のほうでカバーする。だから、アメリカ人のように、「障害」として表面かしていないだけなのでしょう。

 海外で車を運転すると、どうしても困ることがあります。それが道路の標識。文字を読んで頭の中でそれが何を意味するかを組み立ての作業が必要になって、どうしても日本の漢字の標識をみたように素早い判断ができませんでした。上の事例は同じようなことなのかもしれませんね。


バカにならない読書術 (朝日新書 72)
養老 孟司 池田 清彦 吉岡 忍
朝日新聞社
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