プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

技術書執筆に関するお金の赤裸々な話

 本を書いてると、よく『儲かるの?』と聞かれます。私は決まって、『儲かりません』と答えます。総額ベースではそれなりに貰っているのですが、何故そう答えるか整理してみます。

印税の仕組み



 執筆に関する収入として、大きく2種類があります。1つはページ数に対しての単価が設定され、発売部数に関係なく支払われるタイプ。もう1つは、印税率を設定して書籍価格×出版部数×印税率が支払われるタイプです。前者は雑誌やムック本などに多く、それ以外のものは後者の印税のパターンが多いです。
 また印税にも契約条件が細分化されています。大きく分けると刷数に対して支払われるのと、実売ベースのものです。当然、筆者としては前者の方が有利になります。

1冊書くと、どれくらいの印税になるのか



 最近書いた『Amazon Web Services クラウドネイティブ・アプリケーション開発技法』のケースで考えてみましょう。この本の価格は、3,680円+税となっています。印税の対象は消費税は除外されます。税込み価格が3,974円ですが、3,680円に対して印税が支払われます。そして気になる印税率です。これは出版社や初版・増刷によって異なりますが、8〜10%というケースが多いのではないでしょうか。(詳細は内緒)そして、初版部数は技術書だと3,000〜4,000冊というところではないでしょうか。ということで計算式は次のようになります。

3,680(円) × 3,000(冊) × 0.08 = 883,200(円)

 88万円と聞くと、結構な金額に思えます。ただこれは、一人で全部書いた場合です。実際には、この本は6人で書いています。割り方は執筆者の間で取り決めですが、6等分したとしたら、147,200円です。どんどん小さくなってきましたね。

時間あたりの労働単価



 もう少し掘り下げて、時間辺りの労働単価は幾らになるのでしょうか。計算を単純化するために、1人あたり100ページで15万円支払われたとしましょう。ページあたり単価は、何と1,500円となります。そして問題になるのが、1ページをどれくらいの時間で書けるのか。一概に言えませんが、調査の時間とかを考えると2〜3時間は見ておいた方がよいでしょう。(もっと早く書ける場合もあるし、もっと時間が掛かる場合もあります。)3時間としたら、時給500円ですね。
 というところが、儲かりませんと答える所以です。まぁ上記は初版のみ考えていましたが、増刷時の旨味はあります。

感想



 とは言っても、儲からないから書くのは損だという訳ではありません。執筆に関する人生のボーナスは沢山あります。ということで、一度出すと繰り返して書いてしまうのですよね。

Amazon Web Services クラウドネイティブ・アプリケーション開発技法 一番大切な知識と技術が身につく (Informatics&IDEA)

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  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2016/04/20
  • メディア: 単行本
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