プログラマでありたい

おっさんになっても、プログラマでありつづけたい

最新のCDP!!Amazon Web Services クラウドデザインパターン 設計ガイド 改訂版を頂きました

 古参のAmazonのソリューションエンジニアかつクラウドの設計定石集であるCDPの発起人であるNinja of Threeの一人である#ヤマンこと片山さんに、「Amazon Web Services クラウドデザインパターン 設計ガイド 改訂版」を頂きました。ありがとうございます!!

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初版と改訂版の違い



 初版と改訂版の違いは、発売後に様々なAWSのサービスが追加になったことで最適なデザインパターンが変わったことへの対応や、より厳しいセキュリティや可用性のニーズに対する対応が増えています。。CDP部分を目次レベルで比べると、下記のようになっています。赤字部分が変更箇所です。

改訂版 初版
基本パターン Snapshot /
Stamp /
Scale Up /
Ondemand Disk
Snapshot /
Stamp /
Scale Up /
Ondemand Disk
可用性向上パターン Multi-Server /
Multi-Datacenter /
Floating IP/
Deep Health Check
 Multi-Server/
Multi-Datacenter/
Floating IP/
Deep Health Check/
Routing-Based HA
動的コンテンツの処理パターン Scale Out /
Clone Server /
NFS Sharing /
NFS Replica /
State Sharing /
URL Rewriting /
Rewrite Proxy /
Cache Proxy /
Scheduled Scale Out
Clone Server/
NFS Sharing/
NFS Replica/
State Sharing/
URL Rewriting/
Rewrite Proxy/
Cache Proxy/
Scheduled Scale Out
IP Pooling
静的コンテンツの処理パターン Web Storage /
Direct Hosting /
Private Distribution /
Cache Distribution /
Rename Distribution /
Private Cache Distribution
Web Storage/
Direct Hosting/
Private Distribution/
Cache Distribution/
Rename Distribution/
Private Cache Distribution
Latency Based Origin
データアップロードのパターン Write Proxy /
Storage Index /
Direct Object Upload
Write Proxy/
Storage Index/
Direct Object Upload
リレーショナルデータベースのパターン DB Replication /
Read Replica /
Inmemory DB Cache /
Sharding Write
DB Replication/
Read Replica/
Inmemory DB Cache/
Sharding Write
バッチ処理のパターン
⇒非同期処理/バッチ処理のパターン
Queuing Chain /
Priority Queue /
Job Observer/
Scheduled Autoscaling
Queuing Chain/
Priority Queue/
Job Observer/
Fanout
運用保守のパターン Bootstrap /
Cloud DI /
Stack Deployment/
Server Swapping /
Monitoring Integration/
Web Storage Archive /
Weighted Transition
Bootstrap/
Cloud DI/
Stack Deployment/
Server Swapping/
Monitoring Integration/
Weighted Transition/
Ondemand Activation
ネットワークのパターン OnDemand NAT /
Backnet /
Functional Firewall/
Operational Firewall /
Multi Load Balancer/
WAF Proxy /
CloudHub
Backnet/
Functional Firewall/
Operational Firewall/
Multi Load Balancer/
WAF Proxy/
CloudHub/
Sorry Page
Self Registration
RDP Proxy
Floating Gateway
Shared Service
High Availability NAT


 赤字の部分を中心に読んでいたのですが、その背景になるシチュエーションが色々思い浮かんでフムフムとよんでいました。必要なのが随時追加されていますね。またRoute53の機能の追加等、CDPに大きな影響を与えるものも、漏らさず追加されていました。次は、EFSが出たらCDPがどう変わるのか。注目しています。

改訂版と増刷の違い。そしてKindleの扱い



 ちなみにたまに聞かれるので補足しておきます。改訂版と増刷の違いです。増刷は基本は印刷・出荷した分が品薄・品切れになり、同じものをそのまま販売されます。ただし、増刷の場合も誤字脱字程度は修正されることが多いです。改訂されずにそのまま2回増刷した場合は、初版第3刷といった感じで表記されます。これに対して、改訂版は内容を大幅に変更されます。基本的には別の本扱いになり、書籍の一意な識別子であるISBNも別のものを付与されます。クラウドデザインパターン 設計ガイドであれば、初版のISBNは4822211967に対して、改訂版は4822277372になっています。表記としては幾つかパターンありますが、改訂版第1刷といった形になります。
 また最近知ったのですが、Kindelの場合は申請すると改訂版を無料でダウンロードできるようです。今まさにKindleのセールをしているので、旧版のKindleを買っておいて改訂版のKindle版がでたらアップデートするのも手かもしれませんね。

クラウドデザインパターン 設計ガイド 改訂版の著者陣について



 実は今回のクラウドデザインパターン 設計ガイド 改訂版の著者は3人ほど増え、野村総合研究所から、野上忍さん、瀬戸島敏宏さん、坂西隆之さんの3人が参画しています。実はグループ会社で面識もあり、改訂版の話も事前に聞いていました。私が「Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド」を出した時は買ってねとお願いしてたので、自前で買おうと思ってたのですが貰ってしまいました。そういうことで、Kindle版が出たら買おうと思います。

まとめ



 クラウドネイティブな設計をするのであれば、クラウドデザインパターン(CDP)は正に定石集となります。是非、早い段階で読んでおきたい一冊になります。また、実はこの内容はオンラインでもそのまま公開されています。CDPを普及させたいという心意気がでていますね。
 また、CDP実装面についてはクラウドデザインパターン実装ガイドがあり、最近改訂されています。そちらも合わせて参照するといいと思います。また、AWS全般に関する分厚い本もありますので、そちらの方もよろしくおねがいします。

Amazon Web Services クラウドデザインパターン 設計ガイド 改訂版

Amazon Web Services クラウドデザインパターン 設計ガイド 改訂版

Amazon Web Services クラウドデザインパターン 実装ガイド 改訂版 日経BP Next ICT選書

Amazon Web Services クラウドデザインパターン 実装ガイド 改訂版 日経BP Next ICT選書

  • 作者: アマゾンデータサービスジャパン玉川憲,片山暁雄,アイレット鈴木宏康
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2015/04/01
  • メディア: Kindle版
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Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド  一番大切な知識と技術が身につく

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド  一番大切な知識と技術が身につく

  • 作者: NRIネットコム株式会社,佐々木拓郎,林晋一郎,小西秀和,佐藤瞬
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: Kindle版
  • この商品を含むブログを見る


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本を書く前に準備したこと、執筆中にしていたこと

Kindleで最大50%ポイント還元セール実施中

 開催期間不明ですが、AmazonのKindleで最大50%ポイント還元セールが実施中です。実施対象の詳細は解りませんが、マンガや技術書、一般書など見た限りは殆ど適応されています。たぶん紙の本の価格に対して、Kindle本の価格が50%以下に設定されていない限りは適応されているのではないでしょうか。
 例えば、紙の本の定価が2,484円のローマ人の物語Ⅰは、Kindle版は890円で64%オフです。この本は、50%ポイント還元の対象ではなかったです。
※ 2015/6/1の昼に終了した模様です。

どの本を買ったか



 さて、セールを知って何を買ったかです。じっくり探す時間はなかったので、自分のウィッシュリストの中からKindle版が出ているものを買いました。

帝国の構造: 中心・周辺・亜周辺

帝国の構造

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繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史

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史上最強の内閣

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本を出したい人の教科書 ベストセラーの秘密がここにある

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 正直、ウィッシュリストに入っていた本の殆どはKindle化してなかったのですが、まぁ良しとします。


技術書などいかが?



 Kindleのセール、基本的には古典や名著と呼ばれる本を買うのが良いと思います。理由としては、世代を超えて読み続けられる本は、やはりそれだけの価値があるからです。またそういった本は何度も読み返すことがあるので、かさばらず手元においておけるKindleがお勧めです。
 それ以外には、技術書もKindleが良いかなと思います。理由としては、ほぼ同じ理由でかさばらずいつでも読めるから。技術書は分厚いのが多いので、電車等の合間の時間で読むのは少し大変です。そんな時、Kindleであれば手軽で便利です。もう1つは、改訂版対策です。先日質問を受けて少し調べてみたのですが、改訂版が出た場合にKindleは申請すれば新しいものを入手できるようです。技術書は割りと改訂が多いので、Kindleで買うのがお勧めです。

まとめというか、ダイレクト・マーケティング



 長々と書きましたが、下記の2冊も絶賛セール中です。定価で買うには少し高いですが、これを機会に是非どうぞ!!

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド  一番大切な知識と技術が身につく

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  • 作者: NRIネットコム株式会社,佐々木拓郎,林晋一郎,小西秀和,佐藤瞬
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Rubyによるクローラー開発技法

Rubyによるクローラー開発技法  巡回・解析機能の実装と21の運用例

Rubyによるクローラー開発技法  巡回・解析機能の実装と21の運用例

AWS書籍活用術 JAWS-UG初心者支部第一回に登壇してきました

 先日、JAWS-UG初心者支部の第一回に参加してきてAWS書籍活用術というタイトルで登壇してきました。

www.slideshare.net

JAWS-UG初心者支部と登壇の経緯



 JAWSUG大阪時代から何かとお世話になっている青木さんが、東京で初心者向きの支部を開設するという話を聞きました。AWSの本を執筆した関係や仕事でAWSの導入を行っていることもあり、初心者が疑問に思うことや求める事について興味がありました。そういった理由で、お手伝いしますよと伝えていたところ、第一回目から声を掛けて頂いた次第です。

発表内容について



 依頼されたテーマは、AWS書籍の活用術です。内容としては、AWS本の紹介とそれを使った勉強方法とのことです。AWS本については世の中に出ている本は大体おさえているので問題ないのですが、勉強方法は少し悩みました。私は、世間一般に比べるとかなり本を読むのが好きです。一方で、技術書を熟読して勉強するかというと、あまりしません。ざっと読んで、大体の内容を押さえておいて、必要なところだけゆっくり読んで試すというスタイルです。
 そのスタイルは良し悪しがあります。飛ばして読むので、体系的な理解が進まない恐れもあります。ただ、自分が実践していない一般論を話しても仕方がないので、ある程度誤解をうむ可能性がある自分のスタイルを紹介することにしました。なお、一般書を含まて読書論については何回も書いているので、下の方のリンクを参照してください。

感想



 一回目ながら予想以上の参加者に驚きました。また、Twitterやアンケートでのフィードバックが多く、登壇者としてもありがたかったです。感想の中には、読んでいる本の著者と会えて感激という言葉を頂きました。実体はただのおっさんですが、虚像でもイベントの盛り上がりに役立てて良かったです。
 また懇親会の参加率および雰囲気も良かったです。参加者の大半がJAWSUGに初参加ということもあり、懇親会でも初対面の人が多かったです。古参の勉強会の懇親会はメンバーが固定化しがちな側面があるので、なかなか新鮮でした。
 運営面でも、今回の立ち上げメンバーは運営初心者です。私は横で見ているだけでしたが、試行錯誤しながらもどういった支部にしたいかというビジョンが明確で、パッションもあふれていました。かなり大変だったと思いますが、まずは第一回目大成功だったと思います。ありがとうございました。


Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド  一番大切な知識と技術が身につく

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  • 作者: NRIネットコム株式会社,佐々木拓郎,林晋一郎,小西秀和,佐藤瞬
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2015/03/25
  • メディア: Kindle版
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「Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド」の目次
『Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド』を書きました
今まで読んで良かった本 100冊
読書のコストの話。或いは電子書籍が本の頁数を変えるかもという予想
社会人向けに本の選び方について一言
「読書について」を読まずに本を読むべからず
本の読み方がもう少し上手くなるの5つのTips

参照:
JAWS-UG初心者支部を立ち上げました_2015年5月14日 - yuka_rin’s blog
AWS初心者に贈る〜AWS関連コンテンツを使い倒そう_20150514 #jawsug_bgnr #jawsug @applebear_a…
re:invent へ行こう ~ 仲間作りのワークショップ - JAWS-UG 初心者支部 第1回
https://niheitokyo.s3.amazonaws.com/Create_Account_SPL.pdf?AWSAccessKeyId=AKIAJ5HSIYX72QFVIYVA&Expires=1433634920&Signature=mlnAlVCzAzTxFSdm7EhWvAkidJg%3D
JAWS-UG初心者支部【第1回】 #jawsug_bgnr - Togetterまとめ

『Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド』の執筆陣の登壇予定

 発売後1ヶ月を迎えた『Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド』です。以前、販売好調で、増刷に向けていろいろ準備をしています。さて、ぼちぼち勉強会等にお呼ばれして、発表する機会が出てきました。決まっている範囲で、紹介します。

第一回JAWS-UG初心者支部勉強会 2015年5月14日(木)



jawsug-beginner.doorkeeper.jp

 第一弾は、新規発足のJAWS-UG初心者支部です。テーマはAWSを学ぶ上で、書籍の活用方法です。ぼっち歴が長く、ほぼ独習であった経験を伝えようと思います。私が登壇します。

JAWS-UG Osaka 第13回勉強会 「オペレーションじょうず」 2015-05-23(土)



jawsugosaka.doorkeeper.jp
 ホームグランドのJAWS-UG大阪では、運用特化の会に佐藤さんが登壇します。SIerのAWS運用というタイトルで、レガシーアプリの運用やBeanstalkの導入・運用/BCPの構築・運用、AutoScaling利用時のデプロイ・監視、infrastructre as codeの実践など、盛り沢山です。私も見守りに参加する予定です。

第67回 Ruby関西 勉強会 2015-06-13(土)



rubykansai.doorkeeper.jp
 Rubyによるクローラー開発技法でお世話になっているRuby関西では、RubyとAWSという観点で、アプリケーションからクラウドを使い倒すという話をしようと思います。今年は、AWSをアプリケーションレイヤーで扱うことに重点を置いていく予定です。これも私が登壇する予定です。

まとめ



 今回は東阪複数の執筆者で書いているので、比較的調整しやすいです。都合あえばどこでも行くつもりなので、ぜひ声をかけてください。今年はアプリケーションとAWSの連携を重点を置きたいです。ということで、アプリケーション系のイベント、特にモバイル関係のところを強化したいです。その辺りの勉強会にあまり参加したことがないので、良いのがあれば是非教えて下さい。

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド

Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド

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「Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド」の執筆環境
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『Rubyによるクローラー開発技法』を書きました
本を書く前に準備したこと、執筆中にしていたこと

WEB+DB PRESS vol.86を読んだ。Atomの衝撃的な事実

技評さんにWEB+DBの最新号頂いたので、さっそく読みました。何か最近いろいろ貰いすぎて申し訳ない感じです。
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特集記事



 この号の特集は、次の3つです。4月ということで、全般的に新入社員を意識しているようですね。

  • チーム開発 6つの心得
  • 実践Atom
  • Docker実践投入

 個人的な感想として、一番驚いたのがAtomの特集で、理解が深まったのがDockerの特集。そして、タイムリーだったのが伊藤さんの連載のReactです。

Atomの衝撃



 この特集の構成としては、Atomとは何ぞやという所から始まって、実際の使い方であるインストールや設定、各言語ごとでの使い方や開発環境としてのAtomと、WEB+DBの読者層の利用想定と一致した内容となっています。
 この中で驚いたのが、何気にAtomとはなんぞやの部分です。今まで知らなかったのですが、Atomはブラウザのエンジンの上で動いていて、HTMLやJavaScript,CSSで構成されているとのことです。今までAtomは利用していて、前著のAmazon Web Services パターン別構築・運用ガイドもAtomを利用して書いていました。使い勝手もよくネイティブアプリだと思っていたら、ブラウザベースのアプリだったとはと衝撃を受けました。
 自分の中でWebベースのアプリであれば、動作感とか多少の制約があって仕方がないよねという固定概念があったのですが、それを粉々に打ち砕いてくれました。これは、もっと研究しないと気付くキッカケになりました。

React



 Atomの衝撃の後に読んだのが、伊藤直也さんの連載であるEmerging Web Technology研究室の「Reactによるフロントエンド開発の変革」です。html+javascriptの可能性を再認識した後に、じゃぁフレームワークをどれを選ぶべきという疑問が湧いてきます。これについては、そもそも作るものであったり、開発する人やチームの状況があるので、一概に正解は無いと思います。Angluer.jsやBackborn.jsなど色々ありますが、3年後にどれが残るかを予想するのは非常に難しいです。
 そんな中で注目しているフレームワークの一つに、Reactがあります。先日、FacebookがiOS向けにReact Nativeを発表したことで話題になっていますが、対象としている領域と考え方の選択が良いと思っています。ReactはMVCでいう所のビューのみを提供します。また、DOM操作の複雑性を排除する考え方があります。この辺り、解り易く解説されているので、是非読んで欲しいです。
 ということで注目のReact。簡単なプロトタイプアプリを作って試してみようと思います。

Docker



 最後にDockerです。私が直接話を伺った中で、一番Docker導入に対しては熱心に取り組んでいる企業は、はてなさんとWantedlyさんです。今回は、Wantedlyの中の人による執筆で、実運用をする上でのノウハウがふんだんに盛り込まれています。
 私自身は、Dockerを使ったベストプラクティスは、まだ見出せていません。巷でよく言われているアプリケーションの可搬性については、それ程困ったこともないです。そんな中でこの記事を読むことにより大分整理ができました。
それは、1コンテナ1プロセスの原則です。一つにのコンテナには、一つにの役割しか担わせないということです。例えば、nginxとrailsが必要な場合、同じコンテナ内に同居させるのではなく、別のコンテナとして構築し連携させます。これで腑に落ちました。疎結合にして、管理を容易にすることですね。Microservicesと同じですね。

感想



 面白かったです。技評に掲載されている記事は、背景の思想とかがしっかり書かれているので、そこの部分が特にありがたいですね。

WEB+DB PRESS Vol.86

WEB+DB PRESS Vol.86

  • 作者: 結城洋志,沖元謙治,足永拓郎,林健太郎,大竹智也,内田誠悟,伊藤直也,中山裕司,hiroki.o,泉水翔吾,佐藤太一,高橋俊幸,西尾泰和,舘野祐一,中島聡,橋本翔,はまちや2,竹原,麻植泰輔,WEB+DB PRESS編集部
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  • メディア: 大型本
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新社会人に向ける保険の選び方

 全国津々浦々のオフィスビルで展開されているであろうのが、新入社員向けの生命保険の勧誘。社会人になったのだから、「自分で保険に入るのが当たり前」という論調で勧められると思います。世の中のことを何も解っていなかった、幼気な自分もいそいそと加入していました。
 結論を先に言うと、社会人になったからと生命保険に入る必要は、殆どの場合はないです。理由については保険の役割から考えていきましょう。保険の役割は、主に2点です。一つは、病気になった場合の保障です。もう一つは、死亡した場合の残された人に対する保障です。この二つを基軸に考える必要があります。

病気になった場合の保障



 保険の基本的な役割の一つに病気になった場合の保障があります。入院したり手術したりする際に、支給されるお金です。人生の中で、入院・手術する確率は、それ程低くないです。10年くらい社会人をしていると、会社の同僚や友人知人で何人かは入院したという話を聞くことになるでしょう。これに対しての手当てを考えることは、悪いことではないですね。
 問題は、その手当てのバランスです。保険によりますが病気になった場合の保障は、手術に対するまとまった支給と、入院日数×所定の金額という形が殆どです。恐らく後者のケースが多いです。1日あたりの保障額は、5,000円もしくは10,000円という形式が多いのではないでしょうか。
 ここで重要になるのは、入院日数です。例えば1ヶ月入院するとなると、休職中の保障や日々の費用、場合によっては差額ベッド代とかなりの出費になります。このあたりを考えて、保険に入りたくなる気持ちは解ります。しかし、実際のところ何日くらい入院するのでしょうか。ケースバイケースなので答えようがないので、こういった場合には統計を使います。「退院患者の平均在院日数等」によると、32.8日になります。結構、長いですね。しかし、ここに統計の罠があります。平均すると32.8日ですが、30代であれば入院患者の半数は7日以内で退院します。30日以上入院する割合は、1割以下です。つまり、一部の長期入院患者によって、平均日数が延びているということですね。
 7日ということは、1日につき1万円の支給であれば7万円ですね。つまり数十万程度の貯蓄があるのであれば、基本保険は必要ないのです。高額医療がという話もありますが、その辺り日本の医療制度はしっかりしています。ある一定以上の負担にはならないような仕組みがあります。ということで、もしもの入院に備えて月1万円もするような保険に入るのは、効率が悪いことが解りますね。貯蓄がなくて心配ということであれば、共済のような掛け捨ての最低限のものに加入し、その分を貯蓄に回すという方が良いでしょう。

残された人に対する保障



 次に残された人に対する保障についてです。独身の場合は、自分の葬式代だけ手当できれば充分なので、あまり必要ではないですよね。次に、既婚者の場合。配偶者が働いているかどうかでも変わってきます。基本的には、一人で生計を立てられるようになるまでのサポート+アルファくらいで考えるのが良いのではないでしょうか。最後に子供がいる場合、このケースこそが保険を考えるべき人たちです。まぁ新卒の入社したてで結婚しているケースの方がレアなので、残された人のための保障を考える必要がある人は少ないでしょう。

保険を考える3つのタイミング



 では、保険を考えるタイミングはいつなのでしょう。私は下記の3つだと思っています。

  • 子供が産まれた時
  • 家を買った時
  • 定年になった時

 なお、子供が産まれた時以外は、保険を減額の方向で見直すタイミングです。家を買う場合、ローンを組むことが多いと思います。その際は、必ず団信(団体信用生命保険)に入ることになります。これは、ローンを払っている人が死亡等で支払えなくなった時に肩代わりする保険です。つまり住宅ローンがチャラになって、家も残ります。ということで、それまで入っていた保険の保障とかぶるので見直して減額し、住宅ローンの返済に回すべきです。
 定年のタイミングも同じです。保険は働けなくなった場合の保障なので、そもそも働かなくなったら見直すべきです。もっとも定年後まで払い込む必要がある保険に入っている人は少数だと思います。

まとめ



 20歳から60歳まで、毎月1万円の保険に入っていたとしたら、払い込む金額は480万円です。保険は人生の中で、家の次に高い買い物と言われる所以です。資産・家族構成・収入によって生命保険の必要性は違ってきます。焦って入らなくても大丈夫なので、一度じっくり勉強してみましょう。かなり学習にたいして投資対効果の高い分野の1つですよ。

生命保険はだれのものか

生命保険はだれのものか


See Also:
もし私が死んだら?或いは、遺族基礎年金と遺族厚生年金について
生命保険について勉強してみた
勝手に補足。学資保険は必要か?
『本当の問題は死ぬに死ねない時』は、生命保険営業の殺し文句

上級者向けの技術書が少ない理由

 AWS本やクローラー本を出していると、「上級者向けの本は出さないのですか」とよく聞かれるます。残念ながら日本のIT業界向けの出版事情を考えると、なかなか難しいというのが正直なところです。

IT業界向け出版物の市場規模



 難しい理由として、市場規模があります。IT業界で働く人の数は定義次第なので幅がありますが、100万人程度と仮定します。市場の規模は、この母数に対して1人あたり何冊買うかが上限となります。この段階で、コミックや一般書に較べて、著しく小さいことが解ると思います。
 さらに初級・中級・上級とカテゴライズすると、この母数に対して更にフィルタリングすることになります。コミックだと対象年齢はある程度はあるものの、レベルによってフィルタリングすることはないですね。市場規模は下の概念図のとおり、上級者の市場は必ず初級・中級者の市場より小さくなります。
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細分化されたカテゴリ



 この段階で上級者向けの本の厳しさというのが伝わると思いますが、もっと厳しい問題があります。実際のコンピュータ書という市場は、一つのカテゴリではなく複数のカテゴリに細分化されています。例えば、インフラエンジニア向けやアプリエンジニア向けといったざっくりとした分類の下に、プログラミングであればJavaやRubyといった各言語ごとに細分化されます。
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細分化したカテゴリに対応する方法は?



 それでは、どうしたら上級者向けの本を出せるのでしょうか。答えとしては、小さな市場でも利益が出るようにするしかありません。一つの方法は、単価を高くする方法です。医療書などは、1冊数万円といった値段なので、そのイメージですね。もう1つは、出版に関するコストを下げるということです。
 紙の本を出版するとなると、かなりのコストがかかります。装丁や図表・DTP化などで色々な業界の人が関与します。これを簡略化し、執筆者自身で完結できるようにすればコストを下げられます。また、紙の本の場合、流通のこともあるのである程度の分量のものでないと出版できません。
 しかし、1テーマに特化した30ページくらいの本であれば、執筆・校正期間も短くできます。Kindleをはじめとする電子書籍であれば、価格設定の自由度も高いです。また印税率も紙の本よりも優遇されているケースが多いです。そういった点から、細分化したカテゴリや上級者向けの本は、Kindleで出版するのが面白いと考えています。

カテゴリ横断の共通リテラシは?



 話は少しずれますが、より多くの人に届けたいのであれば、細分化したピラミッドの共通の土台にあたる部分に向けて本を出せば良いのではという発想になります。私も長らく、その共通カテゴリはなんだろうと探していました。技術のレイヤーで言うとWindowsなどOSになるのですが、全ての人にOSの本を読む必要はないでしょう。また、入門書を読まないといけないようなOSであれば、そもそも設計としてダメでしょう。
 そして最近その答えが解りました。それはExcelです。「たった1日で即戦力になるExcelの教科書」という本が、2014年10月にでているのですが半年たった今でも、コンピュータ・ITカテゴリの上位に君臨し続けています。半年累計で10万冊近く売れているという化け物のような本です。ここ数年でコンピュータ書としてはトップクラスに売れているリーダブルコードですら累計3万冊くらいということなので、ぶっちぎり感が解ると思います。
 ということで、今の所のIT業界の共通リテラシとしてはExcelという結論です。Microsoftを支えているのは、WindowsではなくてExcelということがよく解りますね。
※実際のところはIT業界以外の人も買っているのがヒットの要因だと思います。半分冗談として流してください。

感想



 少し脱線しましたが、紙の本という制約を無くせば、今まで市場として成り立たなかったニッチな分野にも進出できます。それにより、出版物の多様性はもっと増えるはずです。なかなか面白そうなので、今年挑戦してみます。ただし、自分の力量で上級者向けの本を出せるかは解らないので、勝負するところは考えてみます。

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